岡本かの子
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タイトル: 鯉魚出版社: ConTenDo概要: 一 京都の嵐山の前を流れる大堰川には、雅びた渡月橋が架っています。 その橋の東詰に臨川寺という寺があります。 夢窓国師が中興の開山で、開山堂に国師の像が安置してあります。 寺の前がすぐ大堰川の流で「梵鐘は清波を潜って翠巒に響く」という涼しい詩偈そのままの境域であります....商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: 恋愛といふもの出版社: ConTenDo概要: 恋愛は詩、ロマンチツクな詩、しかも決して非現実的な詩ではないのであります。 恋愛にも種々あります、幼時の初恋、青年期中年期の恋、その何れもが大部分自分の意識する処は、詩的感激、ロマンチツクな精神慾ではありますが、意識無意識にかゝはらず、その底には厳として、肉体的意慾が横はり、それ... ...商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: みちのく出版社: ConTenDo概要: 桐の花の咲く時分であった。 私は東北のSという城下町の表通りから二側目の町並を歩いていた。 案内する人は土地の有志三四名と宿屋の番頭であった。 一行はいま私が講演した会場の寺院の山門を出て、町の名所となっている大河に臨み城跡の山へ向うところである。 その山は青葉に包まれて昼も杜鵑が鳴...商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: 風と裾出版社: ConTenDo概要: 風と裾 ――何人か良案はないか?―― 岡本かの子 春の雷が鳴つてから俄に暖気を増し、さくら一盛り迎へ送りして、今や風光る清明の季に入らうとしてゐる。 ところで、この季節の風であるが、春先からかけて関東は随分吹く。 その激しいときは吹きあげる砂ほこりで空は麦粉色に......商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: 慈悲出版社: ConTenDo概要: ひとくちに慈悲ぶかい人といえば、誰にでもものを遣る人、誰のいうことをも直ぐ聞き入れてやる人、何事も他人の為に辞せない人、こう極めて仕舞うのが普通でしょう。 それはそうに違いないでしょう、それが慈悲ぶかい人の他人に対する原則ですから。 然し、原則というのは結局原則であります。 も....商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: 縮緬のこころ出版社: ConTenDo概要: おめしちりめんといふ名で覚えてゐる――それでつくられてゐた明治三十年代、私の幼年時代のねんねこ。 それも母のきものをなほしたねんねこだつたからそれよりずつとむかし、明治二十年前後の織物だつたかもしれない。 そのねんねこで若いきれいな守女におぶさるのがうれしかつた。 柄は紫の矢はづだつ....商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: ある男の死出版社: ConTenDo概要: A! 女学校では、当時有名な話でありました。 それは 『二時間目事件。 』 といふのでした。 新学期がはじまつてから二ヶ月程後のある日、朝から二時間目の歴史の時間に起つたこと。 と書きたてるほど大げさなことでもないのに、それをそれほど有名にしたのは、まつたく、その男の――...商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: 秋雨の追憶出版社: ConTenDo概要: ○ 十月初めの小雨の日茸狩りに行つた。 山に這入ると松茸の香がしめつた山氣に混つて鼻に泌みる。 秋雨の山の靜けさ、松の葉から落ちる雨滴が雜木の葉を打つ幽かな音は、却つて山の靜寂を増す。 水氣を一ぱいに含んだ青苔を草履で踏む毎に、くすぐつたい感觸が足の甲をつゝむ。 咲...商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: 五月の朝の花出版社: ConTenDo概要: ものものしい桜が散った。 だだっぴろく……うんと手足を空に延ばした春の桜が、しゃんら、しゃらしゃらとどこかへ飛んで行ってしまった。 空がからっと一たん明るくなった。 しんとした淋しさだ。 だが、すこし我慢してじっと、その空を仰いでいた。 じわじわと、ど...商品価格: ¥0(税込)