平山千代子
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タイトル: ハナとタマシヒ出版社: ConTenDo概要: ハナ いつごろだつたのか、誰であつたか、多分、渡辺千代子さんだつたと思ふが、私をそつと手招きして、校庭のすみへつれて行つた。 そして小さな声で、 「あのね、ハナッて、何んだか知つてる?」 「ハナ? ハナッて……この鼻?」と私は鼻を指先で叩いてみせた。 「うん、... ...商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: カイダイ出版社: ConTenDo概要: 四年の三学期であつた。 国語の教生が来て、平家物語の重盛諫言のところを教へることになつた。 教生といふのは今年卒業する大学部の学生の中から、一番か二番の人で、卒業後の練習のため女学校へ教へに来る人のことである。 その時の国語の教生は、私たちが一年の時の五年生で、キツ....商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: 転校出版社: ConTenDo概要: 誰にとつてもいやなのは転校である。 私は二年になる時に仙台から東京へ、東京で小学校を卒業して、女子大の附属へ入り、その年の九月に名古屋へ、翌年の九月に又、女子大へと、四度、いやな思ひをした。 中でも最もいやな思ひ出を残したのが、女学校に這入つてからの二つ、名古屋へと、東京へと......商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: 小説出版社: ConTenDo概要: 私つて、まあ、一体どういふんだらう。 本がよみたいけど、何か本をかして下さらない? ツて言つたので、お母様が明治大正文学全集の森鴎外をかして下さつた。 文章がきれいだから、ワケなんか考へずに、大ザツパによんでごらんなさいとおつしやる。 仰せかしこみて棒ヨミにずら/\....商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: 汽車出版社: ConTenDo概要: 小学校を卒業した春休み、おばあ様とお母様と節ちやんと洋ちやんと、湯ヶ原の門川温泉へ行つたことがある。 三、四日を面白く暮して、いよいよ帰る日だつた。 随分混んでるので、――夕方六時ごろかしら、――もう、うす暗いころ、熱海発の汽車で帰ることにして、いつもの様に早めに驛へ行つた。 ....商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: お泊り出版社: ConTenDo概要: 名古屋へ行つた年の夏だから、女学校一年の夏である。 東京へいらしつたお帰りに、すみ子叔母様が名古屋へお立寄りになつた。 そしてお帰りに「千代ちやん一しよに行かない?」とおつしやつた。 「帰りは芳子と一しよに帰ればいゝから……」と云つて下さつたし、神戸のお家でいつかピア....商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: 石出版社: ConTenDo概要: 私の家に門から玄関まで、ずつと石が敷いてある。 私は、始めは土をふんで歩いた。 その頃からこの石とはお馴染である。 何度この石につまづいて、口惜しい思ひをしただらう。 「こんな邪魔な石! どけちやえばいゝのに……」と、けとばして見たことも何度かあつた。 この憎まれた...商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: 赤ちやん出版社: ConTenDo概要: 七月十四日、私は丁度西生田の勤労奉仕でクタ/\だつたが、とにかくお母様をお見舞することとした。 病院へ行つて靴を預けようとしたら、意地悪な下足のお婆さんに、 「そんな汚い靴! そこへ置いときな!」と叱られた。 四階へ行つて暫らく間ごつき、ヤツと見つけて戸を開けたら、手前の小......商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: 「みの」の死出版社: ConTenDo概要: 気狂ひの様になつて帰つて来たゑみやから、「みのが轢かれた」ときいて、私が飛び出して行つたとき、みのは黄バスのガレーヂの傍に倒れて、かなしい遠吠えをしてゐた。 「みの! みの!」私は人前もかまはず、さう呼んで、冷いコンクリートに膝を突いてしまつた。 「みの! どうしたの/\」......商品価格: ¥0(税込)