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徳田秋声

検索結果20件中1件から20件までを表示
  • タイトル: 佗しい放浪の旅
    著者: 徳田秋声
    出版社: ConTenDo
    概要:  別府も私の行つた時分は、創始時代とでもいふのであつたらう。 居るあひだに不老泉といふ階上階下の浴槽開きのお祝ひなどあつた事を覚えてゐるが、今は全然趣きが変つてゐるらしい。 多分日露戦争以後どんどん開けたのだと思はれる。 だから私が行つた時分葭簾張や菰囲ひであつたやうな湯までが、今は立....
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  • タイトル: のらもの
    著者: 徳田秋声
    出版社: ConTenDo
    概要:  一 「月魄」といふ関西の酒造家の出してゐるカフヱの入口へ来た時、晴代は今更らさうした慣れない職業戦線に立つことに、ちよつと気怯れがした。 その頃銀座には関西の思ひ切つて悪どい趣味の大規模のカフヱが幾つも進出してゐた。 女給の中にはスタア級の映画女優にも劣らない花形女給... ...
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  • タイトル: 絶望
    著者: 徳田秋声
    出版社: ConTenDo
    概要: 『オイ/\何處へ行くんだよ。 』  とお大と云ふ裏町のお師匠さんが、柳町の或寄席の前の汚い床屋から往來へ聲をかける。  聲をかけられたのは、三人連の女である。 孰も縞か無地かの吾妻に、紺か澁蛇の目かの傘を翳して、飾し込んでゐるが、聲には氣もつかず、何やら笑ひさゞめきながら通過ぎや....
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  • タイトル: 媒介者
    著者: 徳田秋声
    出版社: ConTenDo
    概要:  青山夫人と自分と出來て了つた翌朝のこと二人の仲を取り持つた指井から電話が掛つてた。 尤も明白地に指井とは云はぬ、『友人です、お掛りになれば分明ります。 』とだけで名前を云はない。 『隨分變なお方ですね。 』  と取り次いだ女中が言つた。  掛つてみると、電話口ながら何とや...
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  • タイトル: 挿話
    著者: 徳田秋声
    出版社: ConTenDo
    概要: 一  道太が甥の辰之助と、兄の留守宅を出たのは、ちょうどその日の昼少し過ぎであった。 彼は兄の病臥している山の事務所を引き揚げて、その時K市のステーションへ著いたばかりであったが、旅行先から急電によって、兄の見舞いに来たので、ほんの一二枚の著替えしかもっていなかったところから... ...
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  • タイトル: 蒼白い月
    著者: 徳田秋声
    出版社: ConTenDo
    概要:  ある晩私は桂三郎といっしょに、その海岸の山の手の方を少し散歩してみた。  そこは大阪と神戸とのあいだにある美しい海岸の別荘地で、白砂青松といった明るい新開の別荘地であった。 私はしばらく大阪の町の煤煙を浴びつつ、落ち着きのない日を送っていたが、京都を初めとして附近の名勝で、かね......
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  • タイトル: チビの魂
    著者: 徳田秋声
    出版社: ConTenDo
    概要:  彼女も亦人並みに――或ひはそれ以上に本能的な母性愛をもつてゐた。 間歇的ではあつたが、五年も六年も商売をしてゐたお蔭で、妊娠の可能率が少ないだけに、尚更ら何か奇蹟のやうに思へる人の妊娠が羨ましかつたり、子持の女が、子をもつた経験のないものには迚も想像できない幸福ものであるやうに思... ...
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  • タイトル: 町の踊り場
    著者: 徳田秋声
    出版社: ConTenDo
    概要:  夏のことなので、何か涼しい着物を用意すればよかつたのだが、私は紋附が嫌ひなので、葬礼などには大抵洋服で出かけることにしてゐた。 紋附は何か槍だの弓だの、それから封建時代の祖先を思はせる。 それに、和服は何かべらべらしてゐて、体にしつくり来ないし、気持までがルウズになるうへに、ひどく......
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  • タイトル: 風呂桶
    著者: 徳田秋声
    出版社: ConTenDo
    概要:  津島はこの頃何を見ても、長くもない自分の生命を測る尺度のやうな気がしてならないのであつた。 好きな草花を見ても、来年の今頃にならないと、同じやうな花が咲かないのだと思ふと、それを待つ心持が寂しかつた。 一年に一度しかない、旬のきまつてゐる筍だとか、松茸だとか、さう云ふものを食べても......
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  • タイトル: 花が咲く
    著者: 徳田秋声
    出版社: ConTenDo
    概要:  磯村は朝おきると、荒れた庭をぶら/\歩いて、すぐ机の前へ来て坐つた。  庭には白木蓮が一杯に咲いてゐた。 空からの白さで明るく透けてゐるやうに思へた。 花の咲く時分になつてから、陽気が又後戻りして来て、咲きさうにしてゐた花を暫し躊躇させてゐたが、一両日の生温い暖かさで、それが一時....
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  • タイトル: 或売笑婦の話
    著者: 徳田秋声
    出版社: ConTenDo
    概要:  この話を残して行つた男は、今どこにゐるか行方もしれない。 しる必要もない。 彼は正直な職人であつたが、成績の好い上等兵として兵営生活から解放されて後、町の料理屋から、或は遊廓から時に附馬を引いて来たりした。 これは早朝、そんな場合の金を少しばかり持つて行つた或日の晩、縁日の植木などを....
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  • タイトル: 霧ヶ峰から鷲ヶ峰へ
    著者: 徳田秋声
    出版社: ConTenDo
    概要:  今年は何の意味にもハイキングに不適当である。 平原のハイキングならまだしもだが、少くとも山岳の多い日本でのハイキングに或る程度山へ入らなければ意味を成さないのに、今年のやうにかうじめ/\した秋霖が打続いたのでは、よほど運が好くなければハイキングの快味を満喫するといふ訳には行かない... ...
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  • タイトル: 和解
    著者: 徳田秋声
    出版社: ConTenDo
    概要:  一  奥の六畳に、私はM―子と火鉢の間に対坐してゐた。 晩飯には少し間があるが、晩飯を済したのでは、夜の部の映画を見るのに時間が遅すぎる――ちやうどさう云つた時刻であつた。 陽気が春めいて来てから、私は何となく出癖がついてゐた。 日に一度くらゐ洋服を著て靴をはいて街へ出てみ......
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  • タイトル:
    著者: 徳田秋声
    出版社: ConTenDo
    概要:  四五日前に、善く人にじゃれつく可愛い犬ころを一匹くれて行った田町の吉兵衛と云う爺さんが、今夜もその犬の懐き具合を見に来たらしい。 疳癪の強そうな縁の爛れ気味な赤い目をぱちぱち屡瞬きながら、獣の皮のように硬張った手で時々目脂を拭いて、茶の間の端に坐っていた。 長いあいだ色々の労働で鍛......
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  • タイトル:
    著者: 徳田秋声
    出版社: ConTenDo
    概要:  一  最初におかれた下谷の家から、お増が麹町の方へ移って来たのはその年の秋のころであった。  自由な体になってから、初めて落ち着いた下谷の家では、お増は春の末から暑い夏の三月を過した。  そこは賑やかな広小路の通りから、少し裏へ入ったある路次のなかの小さい平家... ...
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  • タイトル:
    著者: 徳田秋声
    出版社: ConTenDo
    概要:  一  笹村が妻の入籍を済ましたのは、二人のなかに産れた幼児の出産届と、ようやく同時くらいであった。  家を持つということがただ習慣的にしか考えられなかった笹村も、そのころ半年たらずの西の方の旅から帰って来ると、これまで長いあいだいやいや執着していた下宿生活の荒れ... ...
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  • タイトル: 足迹
    著者: 徳田秋声
    出版社: ConTenDo
    概要:  一  お庄の一家が東京へ移住したとき、お庄はやっと十一か二であった。  まさかの時の用意に、山畑は少しばかり残して、後は家屋敷も田もすっかり売り払った。 煤けた塗り箪笥や長火鉢や膳椀のようなものまで金に替えて、それをそっくり父親が縫立ての胴巻きにしまい込んだ。 ......
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  • タイトル: 新世帯
    著者: 徳田秋声
    出版社: ConTenDo
    概要: 一  新吉がお作を迎えたのは、新吉が二十五、お作が二十の時、今からちょうど四年前の冬であった。  十四の時豪商の立志伝や何かで、少年の過敏な頭脳を刺戟され、東京へ飛び出してから十一年間、新川の酒問屋で、傍目もふらず滅茶苦茶に働いた。 表町で小さい家を借りて、酒に醤油、薪に炭......
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  • タイトル: 仮装人物
    著者: 徳田秋声
    出版社: ConTenDo
    概要: 一  庸三はその後、ふとしたことから踊り場なぞへ入ることになって、クリスマスの仮装舞踏会へも幾度か出たが、ある時のダンス・パアティの幹事から否応なしにサンタクロオスの仮面を被せられて当惑しながら、煙草を吸おうとして面から顎を少し出して、ふとマッチを摺ると、その火が髯の綿毛に... ...
    商品価格: ¥0(税込)
  • タイトル: あらくれ
    著者: 徳田秋声
    出版社: ConTenDo
    概要: 一 お島が養親の口から、近いうちに自分に入婿の来るよしをほのめかされた時に、彼女の頭脳には、まだ何等の分明した考えも起って来なかった。 十八になったお島は、その頃その界隈で男嫌いという評判を立てられていた。 そんなことをしずとも、町屋の娘と同じに、裁縫やお琴の稽古でもし... ...
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