織田作之助
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タイトル: アド・バルーン出版社: ConTenDo概要: その時、私には六十三銭しか持ち合せがなかったのです。 十銭白銅六つ一銭銅貨三つ。 それだけを握って、大阪から東京まで線路伝いに歩いて行こうと思ったのでした。 思えば正気の沙汰ではない。 が、むこう見ずはもともと私にとっては生れつきの気性らしかったし、それに、大阪から東京まで何里あ....商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: 蛍出版社: ConTenDo概要: 登勢は一人娘である。 弟や妹のないのが寂しく、生んでくださいとせがんでも、そのたび母の耳を赧くさせながら、何年かたち十四歳に母は五十一で思いがけず姙った。 母はまた赧くなり、そして女の子を生んだがその代り母はとられた。 すぐ乳母を雇い入れたところ、おりから乳母はかぜけがあり、それがう....商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: 雨出版社: ConTenDo概要: 一 子供のときから何かといえば跣足になりたがった。 冬でも足袋をはかず、夏はむろん、洗濯などするときは決っていそいそと下駄をぬいだ。 共同水道場の漆喰の上を跣足のままペタペタと踏んで、ああええ気持やわ。 それが年ごろになっても止まぬので、無口な父親もさすがに冷えるぜエと、たしな....商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: 馬地獄出版社: ConTenDo概要: 東より順に大江橋、渡辺橋、田簑橋、そして船玉江橋まで来ると、橋の感じがにわかに見すぼらしい。 橋のたもとに、ずり落ちたような感じに薄汚い大衆喫茶店兼飯屋がある。 その地下室はもとどこかの事務所らしかったが、久しく人の姿を見うけない。 それが妙に陰気くさいのだ。 また、大学病院の建物も...商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: 大阪発見出版社: ConTenDo概要: 一 年中夫婦喧嘩をしているのである。 それも仲が良過ぎてのことならとにかく、根っから夫婦一緒に出歩いたことのない水臭い仲で、お互いよくよく毛嫌いして、それでもたまに大将が御寮人さんに肩を揉ませると、御寮人さんは大将のうしろで拳骨を振り舞わし、前で見ている女子衆を存分に笑わせ... ...商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: 秋の暈出版社: ConTenDo概要: 秋の暈 織田作之助 秋という字の下に心をつけて、愁と読ませるのは、誰がそうしたのか、いみじくも考えたと思う。 まことにもの想う人は、季節の移りかわりを敏感に感ずるなかにも、わけていわゆる秋のけはいの立ちそめるのを、ひと一倍しみじみと感ずることであろう。 私もまた秋のけはいを......商品価格: ¥0(税込)