舎利弗の物語 阿弥陀経の黙った主役
概要:
お釈迦さまのまえで絶句する舎利弗は私たちになにを教えてくれるのか
『阿弥陀経』の舞台は祇園精舎。
お釈迦さまは弟子の長老である舎利弗の名をなんども呼びながら、語りかけます。舎利弗にどうしても伝えたいことがあるのです。お釈迦さま究極の教え、念仏往生です。多くの大乗経典で成仏できないとされる舎利弗に、『阿弥陀経』でお釈迦さまは、成仏できる念仏往生を勧めます。ところが舎利弗は一言の返事もできず、黙ったまま。智慧第一のすぐれた弟子であるのに。舎利弗は成仏できるのか。私たちはこれをどう受け止めればいいのか。これが『阿弥陀経』です。
著者の大窪住職は舎利弗の物語をじっくりひもとき、その語らぬ声に耳を傾け、現代を生きる私たちに突きつける意味をさぐっていきます。
本書の、前半・本文は入門編として分かりやすく、後半・註釈ではくわしい研究を交えて解説します。 (四六版、全80ページ)
【目次】
はじめに
I 『阿弥陀経』の概要
II 声聞であり智慧第一と称される舎利弗
1 声聞は仏に成るか
2 『維摩経』、『法華経』における舎利弗
3 智慧第一の舎利弗とは
III 思い込みというこころの闇が破られる舎利弗
1 『大経』『観経』そして『阿弥陀経』の関連性
2 「舎利弗、汝が意において云何」
3 舎利弗に問われる「倶会一処」の極楽国土
4 舎利弗よ、あなたは臨終来迎を信じますか
5 なぜ舎利弗は言葉を失い黙っていたのか
IV はじめて問いに立つ舎利弗のすがた ─「舎利弗 汝が意において云何」─
1 問いに立ち中道を歩む舎利弗
2 はじめて聞こえてきた六方諸仏の声
3 舎利弗一人に説かれた釈尊の出世本懐
V 舎利弗のすがたが“こだま”となって呼びかけるもの
おわりに
【註 釈】
【著者】
大窪康充
1965年石川県白山市(旧松任市)生まれ。真宗大谷派浄土寺住職。
大谷大学大学院博士後期課程満期退学。真宗大谷派擬講。金沢教区教学研究室元室長。金沢真宗学院指導主任。
主な著作 『念仏の音が聞こえるとき 『正信偈』『歎異抄』との対話』(法藏館)、『浄土を生きる足音』(編著、北國新聞社出版局)、『念仏の声が宝となるとき 生活にいきる『教行信証』の言葉』(法藏館)
販売(無期限): ¥ 1,100(税込)