久坂葉子
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タイトル: 久坂葉子の誕生と死亡出版社: ConTenDo概要: 今からざっと三年半前、一九四九年の夏前に、久坂葉子は、この世に存在しはじめた。 人間の誕生は、偶然に無意識のうちに、それでいておごそかに行われるものだと思う。 しかし、この名前は、自分の意識的な行為によって名附けられ、誕生を強いたのであった。 この名を、原稿用紙の片隅に記した時は、私....商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: 幾度目かの最期出版社: ConTenDo概要: 熊野の小母さんへ。 あなたには四、五年も昔から、よくお便りしてます。 けれど、こんな殺風景な紙に、宿命的な味気ない字を書くことは、はじめてです。 いつも、信州の紙とか、色のついたアート紙に、或いはかすれた筆文字で、或いは、もっと、面白くきれいな字――いやこれは、おこがましいかな....商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: 華々しき瞬間出版社: ConTenDo概要: 南原杉子。 うまれは火星日である。 地球に最も近い軍神マルスの影響をうけ、最も強烈に、そのエネルギーを放射。 戦闘的性質を有し、目的に対して積極的なれど、多難な運命である。 その上、人生の終局に於いて、複雑な交叉点に、信号を無視して立脚し、自ら禍をまねく。 一 ....商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: 落ちてゆく世界出版社: ConTenDo概要: ある日―― 足音をしのばせて私は玄関から自分の居間にはいり、いそいで洋服をきかえると父の寐ている部屋の襖をあけました。 うすぐらいスタンドのあかりを枕許によせつけて、父はそこに喘いでおります。 持病の喘息が、今日のような、じめじめした日には必ずおこるのです。 秋になったというのに....商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: 入梅出版社: ConTenDo概要: わたしは庭に降りて毛虫を探し、竹棒でそれをつきころしていた。 それは丁度、若葉が風にゆらいでいきいきとしており、モスの着物が少しあつすぎる入梅前のこと、素足にエナメル草履の古いのをつっかけて庭掃除に余念がなかった。 毛虫は、ほんの二坪位の庭より十匹余りも出て来た。 石のくつぬぎに行儀....商品価格: ¥0(税込)