種田山頭火
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タイトル: 鉄鉢と魚籃と ――其中日記から――出版社: ConTenDo概要: 九月三日。 曇、さすがに厄日前後らしい天候。 朝は梅茶三杯ですます。 身心を浄化するには何よりもこれがよろしい。 前栽の萩――それは一昨年黎々火君と共に裏山から移植したもの――が勢よく伸びて、びっしり蕾をつけている。 早いのはぽつぽつ咲きだしている。 萩は何とな...商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: 砕けた瓦 (或る男の手帳から)出版社: ConTenDo概要: 私は此頃自から省みて『私は砕けた瓦だ』としみじみ感ぜざるをえないようになった。 私は瓦であった、脆い瓦であった、自分から転げ落ちて砕けてしまう瓦であったのだ。 玉砕ということがあるが、私は瓦砕だ。 それも他から砕かれたのではなくて、自から砕いてしまったのだ。 見よ、砕けて散った...商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: 私を語る ――(消息に代えて)――出版社: ConTenDo概要: 私もいつのまにやら五十歳になった。 五十歳は孔子の所謂、知命の年齢である。 私にはまだ天の命は解らないけれど、人の性は多少解ったような気がする。 少くとも自分の性だけは。 ―― 私は労れた。 歩くことにも労れたが、それよりも行乞の矛盾を繰り返すことに労れた。 袈裟のかげに...商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: 鎖ペンを握って ――三月十九日 夜―― 山頭火出版社: ConTenDo概要: △春と共に白楊社が生れた。 あのポプラ若葉のようにすくすくと伸びゆけよと祈る。 △会名の『白楊社』は可い。 (たしか二三年前に東京郊外在住の画家連中が同名の会合を組織していたと思う。 今では解散したらしい)『四十女の恋』は本集の内容にふさわしくない。 次号からはもっと適切な名をつ...商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: 草木塔出版社: ConTenDo概要: 若うして死をいそぎたまへる 母上の霊前に 本書を供へまつる 鉢の子 大正十四年二月、いよいよ出家得度して、肥後の片田舎なる味取観音堂守となつたが、それはまことに山林独住の、しづかといへばしづかな、さびしいと思へばさびしい生活であつた。 松はみな... ...商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: 私の生活(二)出版社: ConTenDo概要: 御飯ができ、お汁ができて、そして薬缶を沸くようにしておいて、私は湯屋へ出かける。 朝湯は今の私に与えられているゼイタクの一つである、私は悠々として、そして黙々として朝湯を享楽する(朝湯については別に扉の言葉として書く)。 過現未一切の私が熱い湯の中に融けてしまう快さ、とだけ書いてお......商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: 雑信(二)出版社: ConTenDo概要: △今朝、思いがけなく本集をうけとりました。 前集ほど振っていないという評には誰も異議はありますまい。 句が総じてダレています。 無理に拵えたらしい痕跡があります。 △私は此度もまた出句することが出来ませんでした。 自分は出句もしないで、こういう勝手な文句を並べる――実は済まない、不都...商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: 雑信(一)出版社: ConTenDo概要: 新年句会には失敬しました、あれほど堅く約束していた事ですから、私自身は必ず出席するつもりでしたけれど、好事魔多しとやらで、飛んでもない邪魔が這入って、ああいうぐうたらを仕出来しました、何とも彼とも言訳の申上様もありません、ただただ恐縮の外ありません、新年早?ぐうたらの発揮なんぞ... (本...商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: 赤い壺(二)出版社: ConTenDo概要: 自分の道を歩む人に堕落はない。 彼にとっては、天国に昇ろうとまた地獄に落ちようとそれは何でもない事である、道中に於ける夫々の宿割に過ぎない。 優秀な作品の多くは苦痛から生れる。 私は未だ舞踏の芸術を解し得ない。 私は所謂、法悦なるものを喋々する作家の心事を疑う。 此意味に於て、....商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: 赤い壺(三)出版社: ConTenDo概要: 物を弄ぶのはその物の真髄を知らないからである。 理解は時として離反を齎らすけれど、断じて玩弄というような軽浮なものを招かない。 鏡を持たない人は幸福である。 その人は自分が最も美しいと信じきっている。 私はそういう見すぼらしい幸福を観るにも堪えない。 自己を愛するとい... ...商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: 道中記出版社: ConTenDo概要: 三月十二日 晴、春寒、笹鳴、そして出立――八幡。 昨夜は夜通し眠れなかつた、出立前に、アメリカ同人の贈物ポピーを播いてをく! 今朝の誓願、今後は焼酎を飲むまいぞ、総じて火酒は私に向かない、火酒を飲んでロクな事があつたタメシがない、火酒は地獄の使だ! やつとこさで、九時... ...商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: 旅日記出版社: ConTenDo概要: 年頭所感―― 芭蕉は芭蕉、良寛は良寛である、芭蕉にならうとしても芭蕉にはなりきれないし、良寛の真似をしたところで初まらない。 私は私である、山頭火は山頭火である、芭蕉にならうとも思はないし、また、なれるものでもない、良寛でないものが良寛らしく装ふことは良寛を汚し、同時に自分を... ...商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: 私の生活出版社: ConTenDo概要: あんまり早く起きたところで仕方がないから、それに今でもよく徹夜するほど夜更しをする性分の私だから、自分ながら感心するほど悠然として朝寝をする。 といっても此頃で八時九時には起きる。 起きる直ぐ、新聞を丸めた上へ木炭を載せかけた七輪を煽ぎ立てる。 米を洗う、味噌を摺る。 冬の水は冷たい...商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: 夜長ノート出版社: ConTenDo概要: 小春日和のうららかさ。 のんびりとした気持になって山の色彩を眺める。 赤い葉、黄色い葉、青い葉、薄黒い葉――紅黄青褐とりどりのうつくしさ。 自然が秋に与えた傑作をしみじみ味わうたのしさ。 いつしか、うっとりとして夢みごころになる。 自然の無関心な心、秋の透徹した気、午後三時頃の温か...商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: 物を大切にする心出版社: ConTenDo概要: 物を大切にする心はいのちをはぐくみそだてる温床である。 それはおのずから、神と偕にある世界、仏に融け入る境地へみちびく。 先年、四国霊場を行乞巡拝したとき、私はゆくりなくHという老遍路さんと道づれになった。 彼はいわゆる苦労人で、職業遍路(信心遍路に対して斯く呼ばれる)としては....商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: 道〔扉の言葉〕出版社: ConTenDo概要: いつぞや、日向地方を行乞した時の出来事である。 秋晴の午後、或る町はずれの酒屋で生一本の御馳走になった。 下地は好きなり空腹でもあったので、ほろほろ気分になって宿のある方へ歩いていると、ぴこりと前に立ってお辞儀をした男があった、中年の、痩せて蒼白い、見るから神経質らしい顔の持主だっ......商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: 俳句に於ける象徴的表現出版社: ConTenDo概要: 井泉水氏は印象詩乃至象徴詩としての俳句について屡々語られた。 しかし俳句に於ける象徴の本質に就ては説かれない。 筆端が時々此問題に触れたとも言うべき程である。 私は此の根本的説明に接するを待つよりも、こういう問題はお互に協力して研究すべきものではないかと思う。 病雁の夜寒に落ちて...商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: 寝床〔扉の言葉〕出版社: ConTenDo概要: ここへ移って来てから、ほんとうにのびやかな時間が流れてゆく。 自分の寝床――それはどんなに見すぼらしいものであっても――を持っているということが、こんなにも身心を落ちつかせるものかと自分ながら驚ろいているのである。 仏教では樹下石上といい一所不住ともいう。 ルンペンは『寝たとこ....商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: 独慎〔扉の言葉〕出版社: ConTenDo概要: 昭和八年一月一日、私はゆうぜんとしてひとり(いつもひとりだが)こここうしてかしこまっていた。 昨年は筑前の或る炭坑町で新年を迎えた。 一昨年は熊本で、五年は久留米で、四年は広島で、三年は徳島で、二年は内海で、元年は味取で。 ―― 一切は流転する。 流転するから永遠である、と...商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: 漬物の味〔扉の言葉〕出版社: ConTenDo概要: 私は長いあいだ漬物の味を知らなかった。 ようやく近頃になって漬物はうまいなあとしみじみ味うている。 清新そのものともいいたい白菜の塩漬もうれしいが、鼈甲のような大根の味噌漬もわるくない。 辛子菜の香味、茄子の色彩、胡瓜の快活、糸菜の優美、――しかし私はどちらかといえば、粕漬の濃....商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: 草木塔出版社: ConTenDo概要: 茶の花 庵のまわりには茶の木が多い。 五歩にして一株、十歩にしてまた一株。 私は茶の木を愛する、その花をさらに愛する。 私はここに移ってきてから、ながいこと忘れていた茶の花の趣致に心をひかれた。 捨てられるともなく捨てられている茶の木は『佗びつくしたる佗人...商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: 述懐出版社: ConTenDo概要: ――私はその日その日の生活にも困っている。 食うや食わずで昨日今日を送り迎えている。 多分明日も――いや、死ぬるまではそうだろう。 だが私は毎日毎夜句を作っている。 飲み食いしないでも句を作ることは怠らない。 いいかえると腹は空いていても句は出来るのである。 水の流れるように句心...商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: 白い路出版社: ConTenDo概要: 熟した果実がおのずから落ちるように、ほっかりと眼が覚めた。 働けるだけ働いて、寝たいだけ寝た後の気分は、安らかさのうちに一味の空しさを含んでいる。 …… 妻はもう起きて台所をカタコト響かせている。 その響が何となく寂しい。 ……寂しさを感じるようではいけないと思って、ガバと起きあ...商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: 白い花出版社: ConTenDo概要: 私は木花よりも草花を愛する。 春の花より秋の花が好きだ。 西洋種はあまり好かない。 野草を愛する。 家のまわりや山野渓谷を歩き廻って、見つかりしだい手あたり放題に雑草を摘んで来て、机上の壺に投げ入れて、それをしみじみ観賞するのである。 このごろの季節では、蓼、りんど...商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: 雑記出版社: ConTenDo概要: 私には私らしい、庵には庵らしいお正月が来た。 明けましてまずはおめでとうございます、とおよろこびを申しあげる。 門松や輪飾りはめんどうくさいから止めにして、裏山から歯朶を五六本折ってきて瓶に挿した。 それだけで十分だった。 歯朶活けて五十二の春を迎へた お屠蘇は緑平老から、数...商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: 三八九雑記出版社: ConTenDo概要: なんとなく春めいてきた、土鼠がもりあげた土くれにも春を感じる。 水のいろも春めいたいもりいつぴき 私もこのごろはあまりくよくよしないようになった。 それはアキラメでもなければナゲヤリでもない、むろんサトリでもない、いわば、老のオチツキでもあろうか。 近眼と遠眼とがこんが....商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: 最近の感想出版社: ConTenDo概要: 現時の俳壇に対して望ましい事は多々あるが、最も望ましい事の一つは理解ある俳論の出現である。 かつて島村抱月氏は情理をつくした批評ということを説かれた。 それとおなじ意味に於て、私は『情理をつくした俳論』を要望する。 合しても離れても、また讃するにしても貶するにしても、すべてが理....商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: 草と虫とそして出版社: ConTenDo概要: いつからともなく、どこからともなく、秋が来た。 ことしは秋も早足で来たらしい。 昼はつくつくぼうし、夜はがちゃがちゃがうるさいほど鳴き立てていたが、それらもいつか遠ざかって、このごろはこおろぎの世界である。 こおろぎの歌に松虫が調子をあわせる。 百舌鳥の声、五位鷺の声、或る...商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: 片隅の幸福出版社: ConTenDo概要: 大の字に寝て涼しさよ淋しさよ 一茶の句である。 いつごろの作であるかは、手もとに参考書が一冊もないから解らないけれど、多分放浪時代の句であろうと思う。 とにかくそのつもりで筆をすすめてゆく。 ―― 一茶は不幸な人間であった。 幼にして慈母を失い、継母に虐められ、東漂西泊するより...商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: 赤い壺出版社: ConTenDo概要: 『あきらめ』ということほど言い易くして行い難いことはない。 それは自棄ではない、盲従ではない、事物の情理を尽して後に初めて許される『魂のおちつき』である。 私は酒席に於て最も強く自己の矛盾を意識する、自我の分裂、内部の破綻をまざまざと見せつけられる。 酔いたいと思う私と酔うま....商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: 『鉢の子』から『其中庵』まで出版社: ConTenDo概要: この一篇は、たいへんおそくなりましたけれど、結庵報告書ともいうべきものであります。 井師をはじめ、北朗兄、緑平兄、酒壺洞兄、元寛兄、白船兄、樹明兄、そのほか同人諸兄姉の温情によって、句集が出版され、草庵が造作されました。 おかげで私は山村庵居の宿題を果すことが出来て、朝々、山のしずけ......商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: 四国遍路日記出版社: ConTenDo概要: 十一月一日 晴、行程七里、もみぢ屋という宿に泊る。 ――有明月のうつくしさ。 今朝はいよいよ出発、更始一新、転一歩のたしかな一歩を踏み出さなければならない。 七時出立、徳島へ向う(先夜の苦しさを考え味わいつつ)。 このあたりは水郷である、吉野川の支流がゆるやかに流...商品価格: ¥0(税込)
