南部修太郎
検索結果10件中1件から10件までを表示
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タイトル: 下手の横好き ―将棋いろいろ―出版社: ConTenDo概要: =1=町内の好敵手 住み馴れてやがて三十年、今では僕も町内一二の古顏になつてしまつたが、麻布區新龍土町といふと、うしろに歩兵第三聯隊のモダアン兵營を控えた戸數六七十の一區劃だが、ロオマ法王使節館、土耳古公使館、佛蘭士大使館武官館以下西洋人の住宅が非常に多い外になかなか特... ...商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: 死の接吻 スウェーデンの殺人鬼出版社: ConTenDo概要: 猫の唸聲 「ふウん、臺所に電氣がついてる‥‥」 凍りついた雪の道に思はず足を止めて、若い農夫のカアルソンは宵闇の中に黒く浮んでゐる二階建の別荘の方へおびえたやうな視線を投げた。 千九百三十二年三月四日、ちやうど金曜の晩のこと、ストツクホルムから程近いモルトナス島... ...商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: 疑惑出版社: ConTenDo概要: ――水野敬三より妻の藤子に宛てた手記―― 昨日、宵の内から降り出したしめやかな秋雨が、今日も硝子戸の外にけぶつてゐる。 F――川の川音も高い。 町を挾んだ丘の斜面の黄ばんだ木の葉の色も急に濃くなつたやうだ。 J――峠から海の方へ展がる山坡に沿うて、雨を含んだ灰色の雲が躍るやうに千切....商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: 麻雀を語る出版社: ConTenDo概要: 1 話はだいぶ古めくが、大正十一年の秋の或る一夜のことだ。 三ヶ月ほどの南北支那の旅を終つて、明日はいよいよ懷しい故國への船路に就かうといふ前の晩、それは乳色の夜靄が町の燈灯をほのぼのとさせるばかりに立ち罩めた如何にも異郷の秋らしい晩だつたが、僕は消息通の一友と連れ立つて上... ...商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: 日曜日から日曜日まで出版社: ConTenDo概要: 日曜日――。 明方四時頃例に依り輕い喘息發作に眼が覺める。 アストオル吸入で發作を鎭めて再び眠りに就いたが、この一ヶ月近く毎朝さうして眠りを中斷されるのは叶はない。 幸ひ重い發作に進まないので實際助かるが、明方のシインとした寢臺に自分の喘鳴と吸入操作のゴム球の音に一人耳を傾けて....商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: 文芸作品の映画化出版社: ConTenDo概要: 最近、偶然に文藝作品の映畫化されたものをつゞけて三つ見た。 ワイルドの「ウヰンダアミア夫人の扇」、ウエデキントの「春の眼覺め」、ロチの「氷島の漁夫」がそれだ。 その中で「ウヰンダアミア夫人の扇」は原作とどうかうと云ふことは別問題として、流石にルビツチの監督したものだけあつて、映畫と......商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: 猫又先生出版社: ConTenDo概要: 高橋順介、それが猫又先生の本名である。 先生はT中學校の國語並に國文法の先生で、私達が四年級に進んだ年の四月に新任されたのである。 而も、當然私達の擔任たるべく期待されてゐた歴史の杉山先生が、肺患が重つた爲めに辭任されたので、代つて私達のクラスを擔任されることになつた。 杉山先....商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: 霧の夜に出版社: ConTenDo概要: 霧の深い、暖かな晩だつた。 誘はれるやうに家を出たKと私は、乳色に柔かくぼかされた夜の街を何處ともなく彷徨ひ歩いた。 大氣はしつとりと沈んでゐた。 そして、その重みのある肌觸りが私の神經を異樣に昂ぶらせた。 私の歩調はともすれば早み勝ちだつた。 ――私達はK自身の羸ち得た或る幸福に...商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: 自分のこと出版社: ConTenDo概要: 明治二十五年の秋、仙臺で生れた。 このことは姓と結び合せて自分を宮城縣人と思ふ人もあるらしいが、たゞ生誕の地といふだけで、三ヶ月後には仙臺を去り、それから土木技師である父の轉勤につれて東京・神戸・熊本・博多・長崎と轉住した。 長崎には住むこと七年、小學校課程の大半をこゝで過し、少年......商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: ハルピンの一夜出版社: ConTenDo概要: 頭の禿げた、うす穢いフロツク姿の老人の指揮者がひよいと立ち上つて指揮棒を振ると、何回目かの、相變らず下品な調子のフオツクス・トロツトが演奏團席の方で始まつた。 落ちぶれ貴族の息子とでも云ひさうな若いロシヤ人、眼の動かし方に厭味のある、會社の書記風のイギリス人、髪の毛を妙に凝つた仕... ...商品価格: ¥0(税込)