『桜の園』四幕の喜劇 現代語訳チェーホフ四大劇Ⅱ
概要:
『桜の園』は「チェーホフ四大劇」の一つである。44歳という若さで、結核で没したチェーホフの最後の作品である。この作品は特に何かが起こるという訳でもなく話が展開する。主人公のラネーフスカヤは現実から逃避して、パリに行き、失意の中で故郷に帰って来る。そこでも、彼女の心の拠り所であった「桜の園」も彼女の経済観念のなさにより喪失してしまう。ところが、彼女はこの喪失により自己反省する訳でもない。ここがチェーホフらしいと言えば、それまでだが、やり切れなさを感じる。この作品は最後の場面が気に掛る。みんなが出て行った後、一人残されてベンチに横たわる老人の心境を思うと胸が詰まる。寂寥感、孤独感は言葉では言い表せない。特に、「桜の園」の桜の木が伐られている音がする中では…。この作品には独特のペーソスが静かな音調として流れ、それが私たち読者の心に読み終えた後でも、桜の木を伐る音のようにいつまでも木霊すのである。
著者紹介:
今西 薫(いまにし かおる)
1949年京都市生まれ。関西学院大学法学部卒業、同志社大学英文学部前期博士課程修了(修士)、イギリス・アイルランド演劇専攻。元京都学園大学教授。著書に『21世紀に向かう英国演劇』(エスト出版)、
『The Irish Dramatic Movement: The Early Stages』(山口書店)、『New Haiku: Fusion of Poetry』(風詠社)、『Short Stories for Children by Mimei Ogawa』(山口書店)、『The Rocking-Horse Winner & Monkey Nuts』(あぽろん社)、『The Secret of Jack’s Success』(エスト出版)、『The Importance of Being Earnest』〔Retold版〕(中央図書)、『イギリスを旅する35章(共著)』(明石書店)、『表象と生のはざまで(共著)』(南雲堂)、『詩集 流れゆく雲に想いを描いて』(風詠社)、『フランダースの犬・ニュルンベルクのストーブ』(ブックウェイ)、『心をつなぐ童話集』(風詠社)、『恐ろしくおもしろい物語集』(風詠社)、『小川未明&今西薫童話集』(ブックウェイ)、『なぞなぞ童話・エッセイ集(心優しき人への贈物)』(ブックウェイ)、『この世に生きて 静枝ものがたり』(ブックウェイ)、『フュージョン・詩 & 俳句集 ─訣れのPoetry─ 』(ブックウェイ)、『アイルランド紀行 ―ずっこけ見聞録―』(ブックウェイ)、『果てしない海 ―旅の終焉─』(ブックウェイ)、『J. M.シング戯曲集 The Collected Plays of J. M. Synge(in Japanese)』(ブックウェイ)、『社会に物申す』純晶也[筆名](風詠社)、『徒然なるままに ─老人の老人による老人のための随筆─』(ブックウェイ)、『「かもめ」&「ワーニャ伯父さん」─現代語訳チェーホフ四大劇Ⅰ─』(ブックウェイ)、『Newマジメが肝心 ―オスカー・ワイルド日本語訳─』(ブックウェイ)、『ヴェニスの商人』七五調訳シェイクスピア〈1〉(ブックウェイ)、『マクベス』七五調訳シェイクスピアシリーズ〈2〉(風詠社)、『リア王』七五調訳シェイクスピアシリーズ〈3〉(風詠社)、『テンペスト』七五調訳シェイクスピアシリーズ〈4〉(風詠社)、『ちっちゃな詩集 ☆魔法の言葉☆』(風詠社)、『ハムレット』七五調訳シェイクスピアシリーズ〈5〉(風詠社)、『ジュリアス・シーザー』七五調訳シェイクスピアシリーズ〈6〉(風詠社)、『オセロ ─ヴェニスのムーア人─』七五調訳シェイクスピアシリーズ〈7〉(風詠社)、『間違いの喜劇』七五調訳シェイクスピアシリーズ〈8〉(風詠社)、『十二夜』七五調訳シェイクスピアシリーズ〈9〉(風詠社)、『(真)夏の夜の夢』七五調訳シェイクスピアシリーズ〈10〉(風詠社)がある。
- ジャンル:
- 芸術・教養 > 演劇
- 販売開始:
- 2024/05/01
- ページ数
- 120ページ
- ファイルサイズ:
- 2.32MB
- CODE:
- J0010380BK0153210001
- 対応デバイス:
購入 | レンタル | |
---|---|---|
商品価格(税込) | ¥396 | - |
閲覧可能期間 | 無期限 | - |
ダウンロード可能期間 | 無期限 | - |
ダウンロード回数 | 制限なし | - |
原則、返金不可
詳細はこちら
この著作者による商品
販売(無期限): ¥ 396(税込)