アートと対話であなたが変わる ネット時代における美術鑑賞のすすめ
概要:
今なぜアートに向き合い対話をする場が大切なのでしょう?対話を介した協働的な美術鑑賞の研究や実践を続けてきた筆者が、インターネット・SNS時代だからこそ際立つあらたなアートの役割や対話の場の重要性を明らかにします。
現代は大手テック企業によるスマートフォンユーザーの注意(アテンション)の争奪戦に警鐘が鳴らされスマホ脳・スマホ依存なども指摘される時代です。一方、解説(情報)なしに作品をみて、心のうちに生じる感覚や思考に集中し語りあう時間は、自身の経験や知識が反映された注意を自然に働かせつつ、他者の異なる注意のありように意識を向ける“共同注意”の場をつくりだします。そこでは、注意が外からキャッチされ情報処理に追われるネット空間では得難い、スローな心身の働き(感覚・記憶・思考・想像等)に身をゆだねるマインドフルな場、いいね数による承認ではない直接的な自己承認や他者承認の場が広がります。
セルフィー的な自己や“みんな”への同調から一旦身を離し、アートを、“他者”や“異質性”に出会えるツール、長期記憶を呼び覚まし(ネットでは短期記憶のみが働きがちです)それぞれの意識のコンテンツを差異化するツール、そして、ルーティン化しがちな知覚の働きを刷新するツールとして生かすことを、作品やセッション例を交えながら提案した上で、美術を介した対話の場がAIならぬヒューマンインテリジェンスを誘発する場になりえる理由を身体性認知の観点から論じます。
著者紹介:
長井 理佐(ながい りさ)
慶應義塾大学法学部政治学科卒業後商社勤務を経て文学部に学士入学。
慶應義塾大学文学研究科美学美術史専攻修士課程修了、横浜国立大学教育学研究科修士課程修了。
ブリヂストン美術館ガイドスタッフ2006(ギャラリートーク及び各種教育プログラム実施)、国立西洋美術館FUN DAY2007企画・実施、すどう美術館小学校向け出前授業、真鶴アートフェスティバルスタッフ・一般向け鑑賞講座、丸善雄松堂知と学びのコミュニティ主催ワークショップをはじめとした一般・社会人向け各種ワークショップ等で講師を務める。
非常勤講師として横浜国立大学学校教育課程で美術史・美術理論を担当し東京女子体育大学では様々なテーマのもとでの対話を介した美術鑑賞授業を行っている。鎌倉市在住。
主要研究業績:
「マティスの色彩」前田富士男編『色彩からみる近代美術―ゲーテより現代へ』三元社,2013.
「対話型鑑賞の再構築」『美術教育学』30,2009.
「VTSと学習支援―構成主義的学習における支援のありかたをめぐって」『美術教育学』32,2011.
「学習者の“みる行為”をめぐる一考察―VTS,TETAC,ヴィジュアルカルチャー教育の比較考察を通して」『美術教育学』33,2012.
「“視覚的思考”を育成する新たな教養科目の構築―VTSの分析とその援用を通じて」『大学教育学会誌』34巻第2号,2012.
「“身体性”を意識化した“イメージ”との対話―対話型鑑賞への“身体性”の導入を目指して」『美術教育学』35,2014.
「メディア時代における鑑賞教育―個体化のプロセスを支えるイメージ経験として」『美術教育学』40,2019.
- ジャンル:
- 芸術・教養 > 芸能・美術一般
- 販売開始:
- 2023/06/08
- ページ数
- 158ページ
- ファイルサイズ:
- 9.85MB
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- J0010380BK0140043001
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