「科学者」校長の学校改革 対話と探究でつくる新時代の教育
概要:
大学で脳研究に従事していた著者は、学生が総じて受け身であることに課題意識を持ち、中等教育の改革に取り組むべく、茨城県の公立中高一貫校の校長に転身しました。人間や教育の本質を見極めながら、これからの時代を幸せに生きる上で大切な「主体的に学び続ける力」を育む学校づくりを目指しました。
「主体性を守る」ことを学校全体で共有し、対話と探究活動を核とした活性化を進めた結果、保守的な地域風土にある創立120年の伝統校でありながら、頭髪規定の撤廃を含む校則の大幅な見直し、制服のリニューアル、部活動顧問の完全希望制の実現など、わずか2年でそれまでにない大きな変化が起こりました。また、異学年探究チームが自然発生的に結成され、国際大会に出場したり、全国規模のコンテストで上位入賞するなど、潜在力が開花しました。そして、そのような生徒の変化に呼応するかのように、予定調和に縛られていた職員会議も、自由で建設的な議論が交わされるようになりました。
民間人校長に対しては、教員経験のない門外漢が学校運営などできるわけがないなど、批判的に捉える向きがあります。成果主義や効率重視といったような企業の論理で学校運営が行われるのではと不安を感じ、身構えてしまう教員もいるようです。本書は、そのような固定化されたイメージを払拭します。著者は、赴任1年目の副校長時代に先生方と対話を積み重ねながら信頼関係を築き、2年目からの学校運営の土台としました。改革の主役は、先生方と生徒たち。彼らと対等な立場で、一緒に理想の学校づくりに取り組むことが大切と考え、多様な提案を受け入れながら、その実現をサポートしました。一人ひとりの納得感は意識変容につながり、自律的かつ永続的な改革の駆動力となります。
学校運営の課題を抱える現職の先生方、教職志望の学生、そしてチームづくりに苦慮する組織のリーダーにとって、未来への希望の光となる一冊です。
著者紹介:
鈴木 清隆(すずき きよたか)
シンフォニックブレイン代表/ユーセンスメディカル株式会社CTO 博士(工学)
1968年宮城県生まれ。大学院修了後、医療機器メーカーでMRI(磁気共鳴画像)装置の開発に従事。その後、新潟大学で教鞭をとりながら、国内最高性能のMRI装置を用いた脳機能研究に取り組む。学習障害の研究において、脳科学と教育の接点を見出す。一人ひとりが幸せを実感できる創造的な社会を築くには教育改革が必要との思いから、2019年茨城県の校長公募に応募。20倍以上の難関を突破し、2020年4月から県立中高一貫校の副校長に。翌年4月より2年間、校長として改革に取り組む。
退職後は独立し、大手自動車メーカー、AI関連スタートアップ、大学や医療機関等から研究開発業務を請け負う傍ら、探究活動を中心に中等教育支援にも力を入れている。
原則、返金不可
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