rTMSと集中的作業療法による手指機能回復へのアプローチ 第1版1刷
概要:
近年の脳神経科学の進歩は、従来の脳卒中上肢麻痺に対するリハビリテーションの概念の見直しを迫っている。これまでは、発症4ヶ月を過ぎると対象の95%はプラトーになり改善は見込まれないとして利き手交換を行うのが定説となっていた。本書は反復性経頭蓋磁気刺激(rTMS)に集中的作業療法を組み合わせることで、これまでプラトーとされ諦められていた患者の手指機能回復に新たな可能性を提唱する。慈恵医大のグループが積み上げてきた実践とその根拠を一冊にまとめた、リハビリテーション医、作業療法士にとって必須の書籍である。
目次:
序 作業療法の役割の重要性 / 安保雅博
Ⅰ章 脳卒中の現在
1.脳卒中の病態と危険因子 / 角田 亘
2.脳卒中の症状とその画像診断 / 角田 亘
3.脳卒中の急性期治療 / 角田 亘
4.脳卒中の後遺症にはどのようなものがあるのか / 安保雅博
Ⅱ章 脳卒中上肢麻痺のEBM / 上出杏里,安保雅博
Ⅲ章 新たな治療手段TMSとは / 角田 亘
TMSによる刺激の原理
1)TMSが大脳皮質を刺激する原理
2)TMSが大脳に与える影響―刺激頻度によって効果が異なる
3)低頻度rTMSによって大脳半球間抑制を減弱させる
4)治療手段としてのrTMS―直接的アプローチと間接的アプローチ
5)rTMSの安全性
Ⅳ章 慈恵医大方式 rTMS+集中的作業療法(NEURO)の考え方
1.NEUROとは / 角田 亘
1)独自の治療戦略―NEUROの考案
2)NEUROの適応基準
3)NEUROを行うためのスタッフ・施設の体制
4)NEUROの治療スケジュール
5)当科で用いているNEURO患者に対する上肢機能の評価スケール
2.rTMSの適応方法 / 角田 亘
1)rTMSの機器
2)刺激部位と刺激強度の決定
3)rTMSの施行
4)rTMSに関する注意点
3.脳卒中における障害機能の回復メカニズム / 安保雅博
1)神経組織の可塑性・再生と機能的再構築
2)fMRIから考えられる機能の可塑性とリハビリテーション
3)われわれの基礎的研究から得られた知見に基づく磁気刺激療法
4.集中的作業療法のオーバービュー / 角田 亘
1)集中的作業療法の現状―CI療法のこれまで
2)CI療法の課題
3)NEUROのために当科で考案した集中的作業療法
5.NEUROにおける集中的作業療法 / 横井安芸,伊東寛史
1)随意運動のメカニズムとそれが障害されたときの回復過程
2)脳卒中後上肢麻痺に対するリハビリテーションのこれまで
3)NEUROにおける随意運動を引き出すための作業療法プログラム
6.当科におけるNEURO-15の現状と今後 / 横井安芸,伊東寛史
Ⅴ章 症例シリーズ
症例 NEURO-15により調理動作が自立 / 梅森拓磨
症例 CI療法を行った後にNEURO-15を施行 / 亀田有美
症例 NEURO-15により生活上の役割を再獲得 / 福田明子
症例 若年性脳卒中に対するNEURO-15 / 冨永あゆ美
症例 NEURO-6により麻痺側上肢機能が顕著に改善 / 田口健介
症例 外来通院下でNEURO-6を施行 / 石川 篤
症例 重度感覚障害を伴う症例に対するNEURO-15 / 伊東寛史
Ⅵ章 脳卒中上肢麻痺の回復に限界はあるのか
1.適応基準の変遷 / 安保雅博
2.上肢麻痺にプラトーはあるのか / 安保雅博
3.攻めるリハビリテーションの勧め-Intensive Neurorehabilitationとは / 角田 亘
4.rTMS治療のさらなる発展を目指して-rTMS治療のこれから / 角田 亘
索引
- ジャンル:
- 医学 > 臨床医学一般
- 販売開始:
- 2021/04/17
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