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葉山嘉樹

検索結果13件中1件から13件までを表示
  • タイトル: 死屍を食う男
    著者: 葉山嘉樹
    出版社: ConTenDo
    概要:  いろんなことを知らないほうがいい、と思われることがあなた方にもよくあるでしょう。  フト、新聞の「その日の運勢」などに眼がつく。 自分が七赤だか八白だかまるっきり知らなければ文句はないが、自分は二黒だと知っていれば、旅行や、金談はいけない、などとあると、構わない、やっつけはする......
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  • タイトル: 坑夫の子
    著者: 葉山嘉樹
    出版社: ConTenDo
    概要:  発電所の掘鑿は進んだ。 今はもう水面下五十尺に及んだ。  三台のポムプは、昼夜間断なくモーターを焼く程働き続けていた。  掘鑿の坑夫は、今や昼夜兼行であった。  午前五時、午前九時、正午十二時、午後三時、午後六時には取入口から水路、発電所、堰堤と、各所から凄じい発破の轟音...
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  • タイトル: 労働者の居ない船
    著者: 葉山嘉樹
    出版社: ConTenDo
    概要:  こう云う船だった。  北海道から、横浜へ向って航行する時は、金華山の燈台は、どうしたって右舷に見なければならない。  第三金時丸――強そうな名前だ――は、三十分前に、金華山の燈台を右に見て通った。  海は中どころだった。 凪いでると云うんでもないし、暴化てる訳でもなかった...
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  • タイトル: 乳色の靄
    著者: 葉山嘉樹
    出版社: ConTenDo
    概要:  四十年来の暑さだ、と、中央気象台では発表した。 四十年に一度の暑さの中を政界の巨星連が右往左往した。  スペインや、イタリーでは、ナポレオンの方を向いて、政界が退進した。  赤石山の、てっぺんへ、寝台へ寝たまま持ち上げられた、胃袋の形をしたフェットがあった。  時代は賑か...
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  • タイトル: 浚渫船
    著者: 葉山嘉樹
    出版社: ConTenDo
    概要:  私は行李を一つ担いでいた。  その行李の中には、死んだ人間の臓腑のように、「もう役に立たない」ものが、詰っていた。  ゴム長靴の脛だけの部分、アラビアンナイトの粟粒のような活字で埋まった、表紙と本文の半分以上取れた英訳本。 坊主の除れたフランスのセーラーの被る毛糸帽子。 印度...
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  • タイトル: 遺言文学
    著者: 葉山嘉樹
    出版社: ConTenDo
    概要:     無名作家Nの情熱(上)  プロレタリア作家が、現在、どんなに困難な道を歩いてゐるか、といふ事は、クド/\と述べ立てる必要の無い事であらう。  それにしても、私は、今、一つの話をしないではをれない。  私たちの友人のNは、無名作家である。 Aといふ批評家が紹介して、....
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  • タイトル: 井戸の底に埃の溜つた話
    著者: 葉山嘉樹
    出版社: ConTenDo
    概要:  よく田舎にある、野つ原の真ん中に、灌木だの歯朶だのに、穴の縁を茂らせて、底には石や土が、埋めかけて匙を投げてある、あの古井戸の底になら、埃が溜つたつて、別に面白くも可笑しくもない。  ところが、私の今云はうとしてゐる井戸は、一方には夫婦と三人の子供、もう一方には夫婦と二人の子... ...
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  • タイトル: 運動会の風景
    著者: 葉山嘉樹
    出版社: ConTenDo
    概要:     上  あくまでも蒼く晴れ上つた空であり、渓谷には微風さへもない。  表で遊んでゐる子等が「春が来た、春が来た」と唄ひ出した。 十一月三日の明治節の国民運動会の日である。  木曾川は底まで澄みきつて、両岸の紅葉を映してゐる。  私が此夏、鮎釣りに泳ぎ渡つた際、大...
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  • タイトル: 万福追想
    著者: 葉山嘉樹
    出版社: ConTenDo
    概要:  渓流は胡桃の実や栗の実などを、出水の流れにつれて持つて来た。 水の引きが早いので、それを岩の間や流木の根に残して行く。  工事場の子供たちは、薪木にする為に、晒されて骨のやうになつた流木や、自分たちのお八つにする為に、胡桃や栗の実を拾ひ集めるのだつた。  胡桃の実も栗も、黒く....
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  • タイトル: 工場の窓より
    著者: 葉山嘉樹
    出版社: ConTenDo
    概要:      一  兄弟よ! もう眼を覚さなければならない。 午前五時だ。 起きて工場へ働きに行かねばならぬ。 さうしないと人類は物資の欠乏に苦しむから。 おとなしくわれ等は待たう。 今までも待つたやうに。 軈て資本家達も良心を眼覚すであらうから。  また兄弟よ。 われ等...
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  • タイトル: 淫売婦
    著者: 葉山嘉樹
    出版社: ConTenDo
    概要: 此作は、名古屋刑務所長、佐藤乙二氏の、好意によって産れ得たことを附記す。 ――一九二三、七、六――     一  若し私が、次に書きつけて行くようなことを、誰かから、「それは事実かい、それとも幻想かい、一体どっちなんだい?」と訊ねられるとしても、私はその中のどちらだ... ...
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  • タイトル: 氷雨
    著者: 葉山嘉樹
    出版社: ConTenDo
    概要:     一  暗くなつて来た。 十間許り下流で釣つてゐる男の子の姿も、夕暗に輪廓がぼやけて来た。 女の子は堤の上で遊んでゐたが、さつき、 「お父さん、雨が降つて来たよ」  と、私に知らせに来た。 「どこかで雨を避けておいで」  と返事をしたまま、私は魚を釣り続けてゐたの....
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  • タイトル: セメント樽の中の手紙
    著者: 葉山嘉樹
    出版社: ConTenDo
    概要:  松戸与三はセメントあけをやっていた。 外の部分は大して目立たなかったけれど、頭の毛と、鼻の下は、セメントで灰色に蔽われていた。 彼は鼻の穴に指を突っ込んで、鉄筋コンクリートのように、鼻毛をしゃちこばらせている、コンクリートを除りたかったのだが一分間に十才ずつ吐き出す、コンクリートミ......
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