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坂口安吾

検索結果400件中136件から180件までを表示
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  • タイトル: をみな
    著者: 坂口安吾
    出版社: ConTenDo
    概要:  母。 ――異体の知れぬその影がまた私を悩ましはじめる。  私はいつも言ひきる用意ができてゐるが、かりそめにも母を愛した覚えが、生れてこのかた一度だつてありはしない。 ひとえに憎み通してきたのだ「あの女」を。 母は「あの女」でしかなかつた。  九つくらゐの小さい小学生のころで...
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  • タイトル: 桜枝町その他
    著者: 坂口安吾
    出版社: ConTenDo
    概要:  拙作「逃げたい心」で長野市桜枝町の位置が間違つてゐることを、本誌前号に長野の人が指摘してゐるのを読んだ。  僕は桜枝町へ行つたことがないのだから話にもならないわけで、長野の人に怒られても仕方がないのである。  然しあの小説の中の一々が出鱈目ではないので、たとへば読者が最も眉......
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  • タイトル: 西東
    著者: 坂口安吾
    出版社: ConTenDo
    概要:  路上で煙次郎と草吉が出会つた。 草吉は浮かない顔付であつた。 「どうした? 顔色が悪いな。 胃病か女か借金か?」 「数々の煩悶が胸にあつてね、黙つてゐると胸につかへて自殺の発作にかられるのだ。 誰かをつかまへて喋りまくらうと思つてゐたが、君に出会つたのは、けだし天祐だな」 「...
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  • タイトル: 文章の一形式
    著者: 坂口安吾
    出版社: ConTenDo
    概要:  私は文章を書いてゐて、断定的な言ひ方をするのが甚だ気がかりの場合が多い。 心理の説明なぞの場合が殊に然うで、断定的に言ひきつてしまふと、忽ち真実を掴み損ねたやうな疑ひに落ちこんでしまふ。 そこで私は、彼はかう考へた、と書くかはりに、かう考へたやうであつた、とか、かう考へたらしいと言......
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  • タイトル: 分裂的な感想
    著者: 坂口安吾
    出版社: ConTenDo
    概要: 分裂的な感想 坂口安吾  私にとつての文学は、いはゞ私個人だけの宗教であるかも知れない。 もともと文学は、作家にとつてはその人個人の宗教のやうなものらしいが、それはとにかくとして、私は元来なんとなく宗教的な自分の体臭を感じることが多いのである。 愉快ではない。  私は数年間....
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  • タイトル: 逃げたい心
    著者: 坂口安吾
    出版社: ConTenDo
    概要: 一  蒲原氏は四十七歳になつてゐた。 蒲原家は地方の豪農で、もとより金にこまる身分ではなかつたが、それにしても蒲原氏のやうに、四十七といふ年になるまで働いて金をもらつた例がなく、事業や政治に顔を出した例もなく、かういふ身分の人々にありがちな名誉職にたづさはつた例もないといふ人... ...
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  • タイトル: 金談にからまる詩的要素の神秘性に就て
    著者: 坂口安吾
    出版社: ConTenDo
    概要: 一の巻  椋原孔明とよぶ尊厳な弁護士があつた。 とある屋根裏に棲んでゐたといふのであるが、東京には欧羅巴の安宿なみの屋根裏なんぞ見当らないといきりたつ性質のよろしくない読者のためには、BON! それでは地下室に棲んでゐたと言ひかへてみても一向私の差支えはないのであつて、要する... ...
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  • タイトル: 枯淡の風格を排す
    著者: 坂口安吾
    出版社: ConTenDo
    概要: 「枯淡の風格」とか「さび」といふものを私は認めることができない。 これは要するに全く逃避的な態度であつて、この態度が成り立つ反面には人間の本道が肉や慾や死生の葛藤の中にあり、人は常住この葛藤にまきこまれて悩み苦しんでゐることを示してゐる。 ところが「枯淡なる風格」とか「さび」とかの人......
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  • タイトル: 想片
    著者: 坂口安吾
    出版社: ConTenDo
    概要:  今日雑誌が一口にジアナリズムなる言外に多くの悪徳を暗示した汚名によつて呼ばれる時世となり、文学の本道まで万事浮遊して落付かぬ状態をつづけてゐる時に、一つくらゐジアナリズムに超然とし、正しき流行をつくるとも流行に追はれぬ雑誌が欲しいと思ふ。 「作品」がそれだと言ふほど大袈裟にほめる... ...
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  • タイトル: 蒼茫夢
    著者: 坂口安吾
    出版社: ConTenDo
    概要: 一  冬の明方のことだつた。 夜はまだ明けない。 然し夜明けが近づかうとしてゐるのだ。 夜の不気味な妖しさが衰へて、巨大な虚しい悲しさが闇の全てに漲りはじめてゐる。 草吉はそのとき自然に目を覚した。  室内も窓の彼方も一色の深い暗闇ではあつたが、重量の加はりはじめた寒気と、...
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  • タイトル: 天才になりそこなつた男の話
    著者: 坂口安吾
    出版社: ConTenDo
    概要:  東洋大学の学生だつたころ、丁度学年試験の最中であつたが、校門の前で電車から降りたところを自動車にはねとばされたことがあつた。 相当に運動神経が発達してゐるから、二三間空中に舞ひあがり途中一回転のもんどりを打つて落下したが、それでも左頭部をコンクリートへ叩きつけた。 頭蓋骨に亀裂がは......
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  • タイトル: 淫者山へ乗りこむ
    著者: 坂口安吾
    出版社: ConTenDo
    概要:  その娘の父は独力相当の地位と富を築きあげた実業家でありました。 外見は豪放磊落にみえるが実際は至つて気の小さな善人だつたのです。 一見豪放の裏側では細かいことに気がつきすぎたり拘泥しすぎたりして結局大きいことができないたちの、相当のところまでは漕ぎつけるが一流の大立物にはなれないや......
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  • タイトル: 無題
    著者: 坂口安吾
    出版社: ConTenDo
    概要:  K君。  御便り越中魚津の貧乏寺にて拝読。 当所は旧友の今は行ひすました草庵であります。 八月一杯滞在。 九月にこの坊主の紹介で黒部山中の酒造家へ草鞋をぬぐ予定です。 頃しも酒のなんとやらいふ季節でありますが、さういへば流浪の餞別にと君から貰つた酒盃、君の店で最も高価な珍器とい...
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  • タイトル: 夏と人形
    著者: 坂口安吾
    出版社: ConTenDo
    概要:  貴方は南国の傀儡を御存じですか? (と物識りの旅行家が私に話してきかせました)  文楽の舞台に比べては余り原始的でみすぼらしいものの、まことの名人気質と名も知られない人形造りが一心こめて残した霊妙な人形はむしろ棄てられた傀儡師に伝へられてゐるのです。  七年前のことです。 四......
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  • タイトル: 遠大なる心構
    著者: 坂口安吾
    出版社: ConTenDo
    概要:  不平、希望、有るといへば多々ありますけれど、小さなことでごて/\言ひたくありません。 私は黙つて立派な仕事をしたいのであります。 けれども、私のこのなかなかに愛すべき心構えをすら脅やかさうとする悪気には(――ああ、小人故男子一生の心構えすらぐらつかされてしまふ!)憤りを覚えずにゐら......
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  • タイトル: 訣れも愉し
    著者: 坂口安吾
    出版社: ConTenDo
    概要:  私はあの頃の自分の心が良く分らない。 色々のことを考へてゐた一聯の憂鬱な月日が遥かに思ひ出されるのであるが、どんなことを考へてゐたのやら、どんな気持でゐたのやら、それが失はれた夢の記憶を辿るやうでたよりないのだ。 余り考へすぎたために其の考へが段々私自身から遠距かり、結局私はまるで......
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  • タイトル: 姦淫に寄す
    著者: 坂口安吾
    出版社: ConTenDo
    概要:  九段坂下の裏通りに汚い下宿屋があつた。 冬の一夜、その二階の一室で一人の勤め人が自殺した。 原因は色々あつたらうが、どれといつて取立てて言ふほどの原因もない、いはば自殺に適した生れつきの、生きてゐても仕様のない湿つぽい男の一人であつたらしい。 第一、書置もなかつたのである。 そんなあ...
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  • タイトル: 文章その他
    著者: 坂口安吾
    出版社: ConTenDo
    概要:  私は元来、浅学と同時に物臭の性で、骨を折つてまで物事を理解しようなぞといふ男らしい精神は余り恵まれてゐない。 そのせいで、観賞に時代の割引を余儀なくされ、その理解に一々なにがしの造詣を必要とする古典芸術なるものは、見ない先から逃げたがる風であつた(ある)。 順つて、その方面の知識は......
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  • タイトル: 愉しい夢の中にて
    著者: 坂口安吾
    出版社: ConTenDo
    概要:  昨夜、ちやうど河田の夢を見た。  私は見知らない藁屋根のある農家の庭をぶら/″\してゐた。 旅先であつたらしい。 ひどい旅愁に苦しめられてゐたのである。 どつちを眺めていいのか分らなかつたり、どの見知らない方角を眺めることも苦しかつたり怖ろしかつたり、身体が蒼白く痩せてしまひさう...
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  • タイトル: 神童でなかつたラムボオの詩
    著者: 坂口安吾
    出版社: ConTenDo
    概要:  私は中原が訳すまで、ラムボオに『学校時代の詩』といふもののあることを知らなかつた。 仏蘭西の全集には載つてゐないものである。 日本流に数へて十五歳から十七歳までの作品らしい。  私は今までラムボオは神童だつたに違ひないと考へてゐたが、この詩集を読んでみると私の考へがまちがつてゐた....
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  • タイトル: 長島の死
    著者: 坂口安吾
    出版社: ConTenDo
    概要:  長島に就て書いてみたところが、忽ち百枚を書いたけれども、重要なことが沢山ぬけてゐるやうな気がして止してしまつた。 長島は私の精神史の中では極めて特異な重大な役割を持つてゐるので、私の生きる限りは私の中に亡びることがないのである。 従而、今あわただしく長島の全てに就て書き尽すまでもな......
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  • タイトル: ドストエフスキーとバルザック
    著者: 坂口安吾
    出版社: ConTenDo
    概要:  散文に二種あると考へてゐるが、一を小説、他を作文とかりに言つておく。  小説としての散文の上手下手は、所謂文章――名文悪文と俗に言はれるあのこととは凡そ関係がない。 所謂名文と呼ばれるものは、右と書くべき場合に、言葉の調子で左と書いたりすることの多いもので、これでは小説にならな......
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  • タイトル: 山の貴婦人
    著者: 坂口安吾
    出版社: ConTenDo
    概要:  上州、信濃、越後、丁度三国の国境のあたりに客の希な温泉がある。 私の泊つた宿には、県知事閣下御腰懸けのイスといふのが大切に保存されてゐて、村の共同湯に出没する人々にはドブチンスキーやボブチンスキーの面影があつた。 近い停車場へも十数里の距離があつて、東京の客なぞ登山の季節にも滅多に......
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  • タイトル: 宿命の CANDIDE
    著者: 坂口安吾
    出版社: ConTenDo
    概要:  六七年前、菱山と机を並べて仏蘭西語を学んでゐた頃、彼は強度の神経衰弱のやうであつた。 眼は濁り、鋭かつた。 身体はいつもふらついてゐた。 終日読み耽り、考へ耽り、書き疲れて、街頭へ出たものらしい。 友達の顔さへ見れば暴風の激しさで語り、その全身の動きと共に論じだしたが、私達に殆んど一...
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  • タイトル: 新らしき文学
    著者: 坂口安吾
    出版社: ConTenDo
    概要:  (一) その本質に就て  近年、新興芸術の名に於て幾多の文芸運動が試みられてきたが、徒らに皮相の新奇を追ふほかに為すところを知らなかつた。 従来幾多の此の如き新(?)文学運動の完全な失敗は、「新らしさ」を誤らしめ、同時に文学を過らしめた。  私の考へによれば、芸術は反... ...
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  • タイトル:
    著者: 坂口安吾
    出版社: ConTenDo
    概要: 1 「ごらんなさい。 あの男ですよ」  村役場の楼上で老村長と対談中の鮫島校長は早口に叫んで荒涼とした高原を指さした。  なだらかに傾斜する見果てない衰微。 白樺の葉は落ちて白い木肌のみ冷めたい高原の中を、朽葉を踏み、紆るやうに彷徨ふ人影が見えた。 「毎日ああして放課後...
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  • タイトル: 新らしき性格感情
    著者: 坂口安吾
    出版社: ConTenDo
    概要:  最近私は、N・R・Fの新年号に於て、イリヤ・エレンブルグが「青年期ロシヤ」といふ一種の報告書を寄せてゐるのを読んだ。 U・R・S・Sも生誕十五年をむかへてゐる。 あそこでは、学生達は学ぶことの報酬として給料を貰ひ、その給料で老いたる両親を扶養することも出来るらしい。 こんなに我々とか....
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  • タイトル: 山麓
    著者: 坂口安吾
    出版社: ConTenDo
    概要:  あの頃私は疲れてゐた。 遠い山麓の信夫の家で疲れた古い手を眺めてゐた、あの頃。  山麓の一人の女、信夫の奥さんと顔をあはせる。 さうすると、ひつそりした山麓の空気が私の鼻先の部分だけ小さくびる/\と震え、そこに出来た小つちやな真空の中へ冷めたい花粉が溢れてきて、空気の隙間をとほり....
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  • タイトル: 小さな部屋
    著者: 坂口安吾
    出版社: ConTenDo
    概要: 「扨て一人の男が浜で死んだ。 ところで同じ時刻には一人の男が街角を曲つてゐた」――  といふ、これに似通つた流行唄の文句があるのだが、韮山痴川は、白昼現にあの街角この街角を曲つてゐるに相違ない薄気味の悪い奴を時々考へてみると厭な気がした。 自分も街角を曲る奴にならねばならんと思つた......
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  • タイトル: 傲慢な眼
    著者: 坂口安吾
    出版社: ConTenDo
    概要:  (一)  ある辺鄙な県庁所在地へ、極めて都会的な精神的若さを持つた県知事が赴任してきた。 万事が派手であつたので、町の人々を吃驚させたが、間もなく夏休みが来て、東京の学校へ置き残した美くしい一人娘が此の町へ来ると、人々は初めて県知事の偉さを納得した。  一夕町... ...
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  • タイトル: 村のひと騒ぎ
    著者: 坂口安吾
    出版社: ConTenDo
    概要:  その村に二軒の由緒正しい豪家があつた。 生憎二軒も――いや、二軒しか、なかつたのだ。 ところが、寒川家の婚礼といふ朝、寒原家の女隠居が、永眠した。 やむなく死んだのであつて、誰のもくろみでもなかつたのである。 ことわつておくが、この平和な村落では誰一人として仲の悪いといふ者がなく、慧...
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  • タイトル:
    著者: 坂口安吾
    出版社: ConTenDo
    概要:  畏友辰夫は稀に見る秀才だつたが、発狂してとある精神病院へ入院した。 辰夫は周期的に発狂する遺伝があつて、私が十六の年彼とはぢめて知つた頃も少し変な時期だつた。 これ迄は自宅で療養してゐたが、この時は父が死亡して落魄の折だから三等患者として入院し、更に又公費患者に移されてゐた。 家族達....
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  • タイトル: 群集の人
    著者: 坂口安吾
    出版社: ConTenDo
    概要:  雑沓の街は結局地上で一番静寂な場所であるかも知れない。 斑猫蕪作先生は時々恁んな風に思ひつかれることもあつたが、兎に角斑猫先生はアッサリと銀座裏のアパアトへ引越してきた。 行方杳として知れず――つまり斑猫先生は風のやうに消息を断つて、ひそかに雑沓の街へ隠遁したわけであつた。 これで清....
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  • タイトル: FARCE に就て
    著者: 坂口安吾
    出版社: ConTenDo
    概要:  芸術の最高形式はファルスである、なぞと、勿体振つて逆説を述べたいわけでは無論ないが、然し私は、悲劇や喜劇よりも同等以下に低い精神から道化が生み出されるものとは考へてゐない。 然し一般には、笑ひは泪より内容の低いものとせられ、当今は、喜劇といふものが泪の裏打ちによつてのみ危く抹殺を... ...
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  • タイトル: 竹藪の家
    著者: 坂口安吾
    出版社: ConTenDo
    概要: 一  ――首縊つて死んぢまへ! お前が、さう言つたんぢやないか。 早く首縊れつたら。 莫迦莫迦莫迦ア! なぜ早く首縊らないのだ――  家の裏手には一面に、はや年を経た孟宗のひつそりとした林が深い。 朝朝の陽射しが水泡のやうにキラキラと濡れて、深い奥にもまばらに零れ、葉が落ち....
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  • タイトル: 霓博士の廃頽
    著者: 坂口安吾
    出版社: ConTenDo
    概要: 1  星のキラキラとした夜更けのことで、大通りの睡り耽つたプラタナの陰には最早すつかり濡れてしまつた街燈が、硝子の箱にタラタラと綺麗な滴を流してゐたが、――シルクハットを阿弥陀に被り僕の腕に縋り乍らフラフラと千鳥足で泳いでゐた霓博士は、突然物凄い顔をして僕を邪慳に突き飛ばし... ...
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  • タイトル: 海の霧
    著者: 坂口安吾
    出版社: ConTenDo
    概要: 1  波の上に夜が落ちる。 海に沿ふた甃の路に靄の深い街燈の薄明り、夜の暗色と一緒に、噎つぽい磯の匂ひが、急にモヤモヤした液体のやうに、灯のある周囲に浮きながら流れはじめる。 ときどき、外国の船員が、影と言葉を置き去りにして、闇の中へ沈没しながら紛れてしまふ。  黄昏が下りる....
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  • タイトル: 帆影
    著者: 坂口安吾
    出版社: ConTenDo
    概要:  凡そ退屈なるものの正体を見極めてやらうと、そんな大それた魂胆で、私はこの部屋に閉ぢ籠つたわけではないのです。 それとは全く反対に、凡そ憂鬱なるものを忘却の淵へ沈め落してしまほふと、それは確かに希望と幸福に燃えて此の旅に発足したのでした。 それも所詮単なる決心ではありますが――とにか......
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  • タイトル: 黒谷村
    著者: 坂口安吾
    出版社: ConTenDo
    概要:  矢車凡太が黒谷村を訪れたのは、蜂谷龍然に特殊な友情や、また特別な興味を懐いてゐたためでは無論ない。 まして、黒谷村自体に就ては、その出発に先立つて、已に絶望に近いものを感じてゐたのだが、それでも東京に留まるよりはましであると計算して、厭々ながら長い夜汽車に揺られて来たのだ。  ......
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  • タイトル: ピエロ伝道者
    著者: 坂口安吾
    出版社: ConTenDo
    概要:  空にある星を一つ欲しいと思ひませんか? 思はない? そんなら、君と話をしない。  屋根の上で、竹竿を振り廻す男がゐる。 みんなゲラゲラ笑つてそれを眺めてゐる。 子供達まで、あいつは気違ひだね、などと言ふ。 僕も思ふ。 これは笑はない奴の方が、よつぽどどうかしてゐる、と。 そし...
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  • タイトル: 今後の寺院生活に対する私考
    著者: 坂口安吾
    出版社: ConTenDo
    概要:  寺院に特殊な生活があるとすれば禁欲生活より外にはないと思はれます。 しかし一般人間に即した生活即ち情欲や物欲に即した生活のあることを忘れる訳には行きません。 寺院の人々は禁欲生活を過重し勝ちでとかく所謂煩悩に即した生活の中にも道徳律や悟脱の力のあることを忘れてゐる様です。 禁欲生活が....
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  • タイトル: 意識と時間との関係
    著者: 坂口安吾
    出版社: ConTenDo
    概要:  序論 一、人は意識す。 二、意識ある時に於てのみ意識がある。 意識なき時には意識はない。 三、意識は必ず意識された内容(意識内容)を持つ。 意識なき時は意識内容を持たぬ。 四、意識の対象がなければ意識は意識内容を生ずることが出来ない。  系 意識の対象がなけ...
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  • タイトル: 私の探偵小説
    著者: 坂口安吾
    出版社: ConTenDo
    概要:  私は少年時代から探偵小説の愛好者であったが、日本で発行されたほぼ全部の探偵小説を読むに至ったのは戦争のおかげであった。  戦争中は酒も飲めなくなり、遊ぶ所もなくなり、雑誌もなくなって小説を書く当もなくなったから、残されたのは読書だけ。 私はその頃「現代文学」という集りの同人であ......
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  • タイトル: 歴史と事実
    著者: 坂口安吾
    出版社: ConTenDo
    概要: 以前新井白石の「西洋紀聞」によってシドチ潜入に就て小説を書いたとき、屋久島はどんな島かしらと考えた。 切支丹の事蹟を辿って天草までは行ったが、屋久島は行かなかった。 幸いこの小説は島の風物を叙述する必要がなかったので史料の記事だけで間に合ったが、後日、深田久弥氏の屋久島旅行記を読んで......
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  • タイトル: 予告殺人事件
    著者: 坂口安吾
    出版社: ConTenDo
    概要:  敵は中小都市の予告爆撃というものをやりだしたが、これはつまり予告殺人事件と同じ性質のものだと思われる。 予告殺人事件といえば概して復讐などの場合、ただ殺しては面白くないというので予告を与え、恐怖混乱せしめ苦痛を多くして満足しようという悪質残忍なものである。  尤も、予告すること......
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