野上豊一郎
検索結果16件中1件から16件までを表示
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タイトル: レンブラントの国出版社: ConTenDo概要: 一 オランダには三日半きりいなかったけれども、小さな国だから、毎日車で乗り廻して、それでも見たいと思っていたものはあらかた見てしまった。 五月一日(一九三九年)の昧爽、フーク・ファン・ホランドに上陸した時の第一印象は、いかにも物静かな、どことなく田舎くさい、い... (本文冒頭より抜粋)商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: 聖ロヨラ出版社: ConTenDo概要: 一 イタリアでアシジの聖フランチェスコの遺跡を見たので、エスパーニャでは聖ロヨラの遺跡を見たいものだと思つてゐた。 聖ロヨラはヂェズイタ派(耶蘇會)の開祖であり、その同志で後輩なるハヴィエル(ザベリヨ)は天文年間に初めて日本に耶蘇教を持つて來て猛烈な布教をした人であり、私の... ...商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: キフホイザー出版社: ConTenDo概要: 一 ブロッケンに登つて、麓のシールケに泊つた次の朝、おびただしい鈴の音で目をさまされた。 寢臺から這ひ出して窓をあけて見ると、下の川沿ひの道を一人の牧人が、牧場へであらう、牛の群をつれて通つてゐた。 これを見ないとハルツの旅の氣分は完成しないやうな氣がしたので、L公使と谷口君......商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: ウォリクの城出版社: ConTenDo概要: This castle hath a pleasant seat ; the air Nimbly and sweetly recommends itself Unto our gentle senses. ―― Macbeth 一 ウォリクは城で持つ町で... ...商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: 大戦脱出記出版社: ConTenDo概要: 一 パリとの通話 エスパーニャに居る間に中歐の形勢はどんどん惡化して行つた。 ドイツが突然ソヴィエトと握手したといふ報道がサン・セバスティアン(公使館所在地)に傳はつたのは八月二十二日(一九三九年)だつた。 その朝私たちは食卓で前の日に見た鬪牛の話をしてゐ... ...商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: 「漱石のオセロ」はしがき出版社: ConTenDo概要: はしがき これは故夏目金之助先生が明治三十八年九月から東京帝國大學文科大學英文學科の講義として讀まれた Othello の筆記である。 先生の Shakespeare の講義は、今一つの文學史の講義と同樣に、一週三時間であつた。 私は、明治四十年三月に先生が大學... ...商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: 「草衣集」はしがき出版社: ConTenDo概要: 『草衣集』は私の最初の隨筆集である。 此の中に收められてあるやうな種類のものは、以前からかなりたくさん書いたものであるが、舊いものは後になつて見ると、自分の未成熟の昔の姿を見るやうで、たまに人に勸められてもまとめて本にするやうな氣にもなれず、自分の過ぎ去つた月日と共に、忘却の中へ過... ...商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: 奈良二題出版社: ConTenDo概要: 社交團 正倉院の曝凉は途中で雨が降りだすと追ひ出されて拜觀劵がそれきり無效になるので天氣を見定めて出かけねばならなかつた。 それに、拜觀時間は十時から三時までと限られてあつたので、時間を有效に利用しなければ、私の計畫してゐたものは全部調べられるかどうかわからな... (本...商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: 桂離宮出版社: ConTenDo概要: 障子の影 桂離宮の書院から庭に面して、折れまがりに小さい三つの部屋が、一ノ間・二ノ間・三ノ間とつづいてゐる。 その一ノ間の障子に、折からの小春の西日があかるくさしてゐた。 障子は、左右が半間づつの板戸に仕切られ、腰板のないのが二枚、つつましやかに、も... ...商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: 演出出版社: ConTenDo概要: 能の芸術価値は、ひとへにそれが舞台芸術としての存在の上に係つてゐるものであるから、演出が殆んど能の全価値であるといつてもよい。 それほど重大な演出の問題が、従来能の研究者の間に於いて等閑視されて来たのは、能の研究といへば多くは文学的に能の台本(謡曲)の訓詁註釈に没頭するとか... ...商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: 吹雪のユンクフラウ出版社: ConTenDo概要: 一 アルプス連峰の容姿の目ざめるような美しさにいきなり打たれたのは、ベルンに着いてベルヴュー・パラース(ホテル)の二階の部屋に通された瞬間だった。 南東を受けた大きな窓一ぱいに遠く雪を戴いた山々が一列に並んで、時刻はもう十九時(午後七時)を過ぎているのに日中の光のま... ...商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: パラティーノ出版社: ConTenDo概要: 一 まだローマになじまないうちは、あまりに多く見るべき物があるので、どこへ行っても、何を見ても、いつもあたまが混迷して、年代史的に地理的に整理しながらそれ等を見ようとするのにかなり骨が折れた。 例えばフォーロ・ロマーノ(フォルム・ロマヌム)一つ見るにしてもそうである... ...商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: 闘牛出版社: ConTenDo概要: 一 エスパーニャに来て闘牛を見ないで帰るのは心残りのような気がしていた。 しかし見るまでは、生き物を殺すのを見て楽しむということがひどく残酷に考えられ、それに対する反感もあって、見なくともよいというような心持もあった。 その反感は、私よりも弥生子の方が強く、彼女は闘牛... ...商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: エトナ出版社: ConTenDo概要: 一 イタリアとシチリアの海岸は、どこへ行っても、南国らしい澄み透った空と紺碧の海があって、強烈な陽光が燦々と降り濺ぎ、その下に骨ばった火山系の山彙が変化の多い形貌で展開し、古い石造の家屋が密集したり、散在したりして、橄欖・扁桃・柘榴・ぬるで・いちじく等の果樹、或い... (...商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: 湖水めぐり出版社: ConTenDo概要: 大正八年八月四日。 青楓君と大月に下りたのは午前九時三十三分だつた。 停車場の前に並んでゐる小さい低い赤と青で塗つた平たい馬車と宿屋の前に吊してある無數の雜色の手拭みたいな講中のビラがまづ目についた。 次の汽車で來る二人の同行者を待つために、私たちは濱野屋といふ家の二階の奧の間....商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: 北信早春譜出版社: ConTenDo概要: 碓氷を越すと一面の雪で、急に冬へ逆戻りしたやうな感じであつた。 さつきまでぽかぽかと早春の陽光を浴びながら上州平野を通つてゐた時とは、まるでちがつた心がまへにならないではゐられなかつた。 輕井澤のプラットフォームに飛び下りて、蕎麥のどんぶりを抱へて湯氣を吹き吹き食つてゐる人たちは、......商品価格: ¥0(税込)