
冬
概要:
僕は重い外套にアストラカンの帽をかぶり、市ヶ谷の刑務所へ歩いて行った。
僕の従兄は四五日前にそこの刑務所にはいっていた。
僕は従兄を慰める親戚総代にほかならなかった。
が、僕の気もちの中には刑務所に対する好奇心もまじっていることは確かだった。
二月に近い往来は売出しの旗などの残っ...
(本文冒頭より抜粋) (閉じる)
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