大正十二年九月一日の大震に際して
概要:
一 大震雑記
一
大正十二年八月、僕は一游亭と鎌倉へ行き、平野屋別荘の客となつた。
僕等の座敷の軒先はずつと藤棚になつてゐる。
その又藤棚の葉の間にはちらほら紫の花が見えた。
八月の藤の花は年代記ものである。
そればかりではない。
後架の窓から裏庭を見る...
(本文冒頭より抜粋)
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