続・昭和と平成の今昔物語-子供のころの情景-
概要:
私は「団塊の世代」に生まれた。その頃戦後復興で、「所得倍増計画」のもと大人達は額に汗を流していた。このような時代に私は香川県の農村で幼少期を送ったといえる。食べるものは空腹を満たす以上ではなく、交通機関も少なく、自家車は特別の家が持っているに過ぎなかった。道は細く曲がりくねり、夜になると真っ暗になった。家の照明は白熱電球であった。
田舎には電話がついている家は皆無であり、近所といっても何百メートルも離れていた。また、テレビ(白黒)も出回るようになる前で、ラジオが主であった。電気洗濯機、ガスコンロやトースターもなかった。ご飯を炊くには、かまどで火を起こすことからはじめ、魚などを焼き、やかんで湯をわかすにしても七輪で火をおこした。火を使うからかまどがある土塀は煤で黒ずんでいた。風呂に入るにしても、井戸からつるべで水をくみ上げ、バケツで風呂釜まで運び、藁を燃やして暖めた。このような生活であったから、冬場の火鉢やこたつは必要な器具であったし、昼間ひなたぼっこやたき火をすることは日常的といえる光景であった。
ところがその後数十年の間に、日本中が大きく変わった。大家族が普通であったのが、いつの頃からか核家族になった。顔を合わせることなく、電話で話すようになった。田舎でも夜は概して明るくなった。テレビも白黒からカラーになり、さらに画面も広くなった。電化製品は普及し、近年は洗濯板を使う人や、かまどでご飯を炊く人はまずいないであろう。どこへ行くにも車を使うようになったし、車が通る広い道路が整備された。鉄道も新幹線網が広がり、一日がかりで移動していたことが、数時間できるようになった。もはや都会・田舎の区別は明確でなくなり、農家でも作っている農作物以外は買うようになった。コンビニエンスストアーがいたるところに出来、飽食の時代になったといえる。
社会構造が変わると、いろいろな問題が新たに浮上している。この半世紀でどのように社会が変化したかを、私なりに綴ってみた。
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- 人文・思想 > 歴史
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