
偸盗
概要:
一
「おばば、猪熊のおばば。」
朱雀綾小路の辻で、じみな紺の水干に揉烏帽子をかけた、二十ばかりの、醜い、片目の侍が、平骨の扇を上げて、通りかかりの老婆を呼びとめた。
――
むし暑く夏霞のたなびいた空が、息をひそめたように、家々の上をおおいかぶさった、七月...
(本文冒頭より抜粋)
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偸盗
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