筧の話
概要:
私は散歩に出るのに二つの路を持っていた。
一つは渓に沿った街道で、もう一つは街道の傍から渓に懸った吊橋を渡って入ってゆく山径だった。
街道は展望を持っていたがそんな道の性質として気が散り易かった。
それに比べて山径の方は陰気ではあったが心を静かにした。
どちらへ出るかはその日その日の気...
(本文冒頭より抜粋)
筧の話
販売(無期限): ¥ 0(税込)
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私は散歩に出るのに二つの路を持っていた。
一つは渓に沿った街道で、もう一つは街道の傍から渓に懸った吊橋を渡って入ってゆく山径だった。
街道は展望を持っていたがそんな道の性質として気が散り易かった。
それに比べて山径の方は陰気ではあったが心を静かにした。
どちらへ出るかはその日その日の気...
(本文冒頭より抜粋)