二人の友
概要:
私は豊前の小倉に足掛四年いた。
その初の年の十月であった。
六月の霖雨の最中に来て借りた鍛冶町の家で、私は寂しく夏を越したが、まだその夏のなごりがどこやらに残っていて、暖い日が続いた。
毎日通う役所から四時過ぎに帰って、十畳ばかりの間にすわっていると、家主の飼う蜜蜂が折々軒のあたりを...
(本文冒頭より抜粋)
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