後の日の童子
概要:
一
夕方になると、一人の童子が門の前の、表札の剥げ落ちた文字を読み上げていた。
植込みを隔てて、そのくろぐろした小さい影のある姿が、まだ光を出さぬ電燈の下に、裾すぼがりの悄然とした陰影を曳いていた。
童子は、いつも紅い塗のある笛を手に携えていた。
しかしそれを曾て吹いたこ...
(本文冒頭より抜粋)
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後の日の童子
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