
舌
概要:
四丁目の角で二人を見はぐれたのを幸と、川田はぐんぐん勝手な方向へ進んだ。
振返ったらまた彼等がやって来さうなので、傍目も振らなかった。
眼は怒り、額は愁ひ、短靴はやたらに急いだが、搾めつけられた胸は今やうやく緩んで来た。
高層建築の上に濁った秋空が、茫漠とした観念のやうに横はってゐた...
(本文冒頭より抜粋)
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舌
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