無題Ⅱ
概要:
この部屋には東と北とに窓がある。しかしそれはずつと天上に近い上の方にあるので、太陽の光線は朝の間にほんのちよつと流れ込んで来るだけで、あとは一日中陰気な、物淋しい、薄暗い部屋だ。おまけにこの部屋は動物小屋の内部にあつて、すぐ壁一つ向うの土間続きには、猿や、モルモットや、家兎や、山羊や、二十日鼠などが、朝から晩まで箱の中で、泣いたり喚いたりごとごとと箱の板にぶつかつたりして騒いでゐる。だから部屋の中はそいつらの糞の臭ひがいつぱい沈澱してゐて、慣れないうちは息がつまりさうなほどだ。私はこんな部屋の中で、もう二年も前から、じつと坐り続けてゐる。
(本文冒頭より抜粋)
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無題Ⅱ
販売(無期限): ¥ 0(税込)
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