和算の解法 －美しい幾何の問題を解く楽しみ－

概要：

　およそ１００年前までの日本の数多くの一般民衆が修め、親しんでいた和算、とりわけ幾何学を多くの人々に紹介したい。
　江戸時代から神社や寺社に奉納された算額は、一般民衆の間に「和算」が浸透していたことを物語っている。明治新政府により西洋数学「洋算」が取り入れられてから「和算」は衰退していくこととなるが、日本の歴史的な文化遺産と伝統がこのまま消えて行ってしまうのは何とも惜しい。
　ここに選んだ問題は、「解答」あるいはその途中の「解法」のどこかに「美しさ」を持ったものを厳選してある。高等学校の数学程度で解けるか、理解出来るものばかりである。「洋算」しか学んだことのない者とって、はじめは「和算」は戸惑いを覚えさせるかもしれないが、和算家の「方法」に触れていくうちに、驚くほど「解法」が見えてくる。
　また、算額・和算書にある「問題文・術文」をはじめとするさまざまな和算史情報も紹介したので、その部分は「和算史読本」のつもりで読んでいただきたい。