科学はひとつ 宇宙物理学者による知的挑戦の記録
概要:
3.11から始まる、一人の科学者の手記。
2011年3月11日、東日本大震災という未曾有の危機に人々が直面したとき、細分化されすぎた科学の専門家集団は、目の前の事態に対して無力であった。その惨状を前に、宇宙物理学を専門とする筆者は「科学者が勇気をもって、社会問題に対して発言する」ことの必要性を痛感し、自身の手記の公開を始める。「本来、科学はひとつである」との思いを支えに、原発事故後の対処策から、津波発生原理の再検討、気候変動、銀河とブラックホール、生命の起源、科学論まで、現代の碩学が12年にわたって語り続けた知的挑戦の記録。
【目次】
はじめに
第1章 福島第一原子力発電所事故
解説
植物による放射性セシウム汚染土壌の浄化について
ほか4篇
第2章 地震と津波防災
解説
東海地震について
ほか6篇
第3章 天体物理学
解説
降着超大質量ブラックホールにおけるZeV(10^21 eV)加速
ほか8篇
第4章 気候変動
解説
過去2,000年の気温変化と王朝の盛衰
ほか10篇
第5章 生命の起源
解説
蛇紋岩化反応による非生物的メタン噴出
ほか11篇
第6章 種の起源と生物進化
解説
人類の起源:放射線被曝と脳容積拡大
ほか9篇
第7章 科学論
解説
佐久間象山、大山益次郎遭難碑
ほか12篇
第8章 書評
解説
サハロフ回想録
ほか6篇
第9章 ルーツと青春
解説
母の故郷訪問
ほか6篇
あとがき
【著者】
戎崎俊一
1958年山口県生まれ。NASA研究員、神戸大学助手、東京大学助手、同助教授を経て、1995年に理化学研究所主任研究員となり、現在に至る。天体物理学と計算科学を中心にそれらを含んだ学際研究に取り組み、分裂しすぎた諸科学の再統合を志向している。著者に『ゼミナール宇宙科学』(東京大学出版会)、訳書に『銀河の世界』(エドウィン・ハッブル著、岩波書店)、『時間・空間・重力 相対論的世界への旅』(ジョン・アーチボルト・フィーラー著、東京化学同人)などがある。
原則、返金不可
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