
対話の害
概要:
脊髄反射で答える学生でいいのか。「白熱教室」批判を軸に自由かつ緻密に考える力の育成を説くさまは鮮烈。
マイケル・サンデル氏の教育実践「ハーバード白熱教室」で謳われる「対話」。
しかしそれは、学生からの質問を許さず、何を考え何を考えないかの制約条件を氏が一方的に決め、学生が自由に考えることを禁じている「対話」であり、根源まで考え抜く力を鍛えるべき哲学の授業として適切なのだろうか?
外国の「偉い」思想家の言うことに容易になびく「知的植民地性」を指摘し、単なるサンデル批判に留まることなく教育方法についての無自覚・無知への反省を促す、骨太な教育論。
【目次】
はじめに
序論(導入)
第一章 考える自由 ――これは尋問だ
第1節 私はどう授業したか
第2節 比較する
第3節 これは尋問だ
第4節 考える自由が奪われている
第二章 問いの正義 ――教師の問いを疑わせよ
第1節「どちらか。」では、だめだ
第2節 構造の正義を問え
第3節 正義を問う資格があるか
第三章 例の悪用 ――実は思考封じなのだ――
第1節 責任回避のための例
第2節 例の氾濫
第3節 自分を隠すための例
第四章 学習活動の構想 ――発言は要るのか――
第1節 考える時、話は途切れる
第2節 対話は何を思考させるのか
第3節 ゆっくり読ませる
第4節 ゆっくり書かせる
第5節 メタ対話が要る
第五章 学生の自己 ――反射的に答える学生でいいのか
補論
あとがき
【著者】
宇佐美寛
1934年神奈川県横須賀市生まれ。東京教育大学教育学部卒業、同大学大学院教育学研究科博士課程修了、教育学博士。千葉大学名誉教授。東京教育大学助手、千葉大学講師、同助教授、教授(1993-97年教育学部長、1998-2000年東京学芸大学教授併任)。1961~62年米国、州立ミネソタ大学大学院留学(教育史・教育哲学専攻)。九州大学、山梨大学、岩手大学、山形大学、秋田大学、茨城大学、上智大学、立教大学、早稲田大学等の非常勤講師(客員教授)を務めた。2023年没。
池田久美子
東京生まれ。1974年東京教育大学教育学部教育学科卒業。1978年東京大学大学院教育学研究科修士課程終了。1981年慶應義塾大学大学院社会学研究科博士課程単位修得満期退学。信州豊南短期大学教授、三育学院大学講師を務めた。専攻は教育哲学、国語教育。2019年没。 (閉じる)
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