ベトナム「おかげさま」留学記 「異文化」暮らしのフィールドノート
概要:
本当の異文化を理解するフィールドとは市民の中の日常生活であった。縁に感謝しつつ綴ったユニークな民族誌。
ベトナムを理解しているのか、いないのか。日常に埋没しながらもそう自問するうち、徐々に、「これがベトナム」といいきることはできなくても、私が出会った風景や人々のことなら何か語れるのではないか、ときに納得のいかない理不尽さに対面することもあるけれど、そうした経験を含めてベトナムにいることをまるごと味わい、楽しみたい、と考えるようになったのです。そして、それは、どんなに「文化」の内を揺れ動こうとも、多くの「おかげ」――人々から直接的、間接的に与えられる恩恵や刺激、あるいは叱責や無視であっても、そうした触れ合いによって、私そのものがある、それを私なりに表現すれば「おかげ」という言葉になるのですが――によって与えられている「今」への感謝を忘れないでいたい、という私の小さな決意であったようにも思います。(本文より抜粋)
【目次】
はじめに
一 犬も歩けば「ベトナム」に当たる
トゥイさんの美容室
みずたま民間療法
風呂敷一枚でベトナムビジネス
秋の秘密
二 ニャッ・ザー・トゥイ・トゥッ(郷に入れば、郷に従え)――家族と暮らして
ハノイ下宿生活
ベトナム育児考
扉の秘密
風邪の特効薬
三 ディー・ドゥォン・モッ・ガイ・ダン・ハォッ・モッ・サン・ホン (一日旅すれば、ザルいっぱいの賢さを得る)――旅して学ぶ
お土産失敗談
ベトナム南部バスの旅(1)――バックおばさんの万能薬
ベトナム南部バスの旅(2)――「快適」バストラベル
昼寝時間
不法乗車の旅
四 所変われば何が変わる?――「文化」と「文化」の狭間で
女心と文化の間
ベトナム「セクハラ」会話
文化とは?――大家さんの見た日本
お料理一年生
五 河に入れば、波に乗れ
ベトナム買い物指南/至難
愛しのブン
新年の結婚式
想い出のバインチュン
新年と結婚の相関関係
イゥ・ドーイ、人生を愛するということ
おわりに
あとがき
【著者】
川越道子
大阪大学大学院文学研究科文化形態論専攻日本学博士後期過程単位取得退学。
現在、ベトナム語通訳翻訳者。
主な論文に「『多文化共生』の経験―神戸市長田のケミカルシューズ産業の現場から」(『日本学報』第21号)、「ベトナムにおける戦争の記憶の形成過程―ドイモイ政策以降の戦死者墓地を中心として」(富士ゼロックス小林節太郎基金2003年度研究助成論文)などがある。(2014年現在)
販売(無期限): ¥ 880(税込) / ギフト購入: ¥880 (税込)
