タイの開発・環境・災害 繋がりから読み解く防災社会
概要:
環境社会学の立場からインド洋大津波を分析。開発→環境破壊→災害というサイクルに潜む人災要因。被害を最小限にとどめる方策を探る
本書は、このインド洋大津波との遭遇を契機に研究の使命(ミッション)を深めた「タイの開発、環境、災害」を、環境社会学の視点から述べていくものである。特徴は、「開発」「環境」「災害」というものが実は繋がり深い関係にあることを示し、その繋がりをマクロ的な視点から述べること、さらにその視点から長期にわたるフィールドワークをベースとしたタイ社会との相互作用の分析、さらには日本との比較を加えていることにある。
そのため、本書のキーワードは、「繋がり」となる。すなわち、(1)タイの開発・環境・災害はそれぞれどのように繋がっているか。(2)タイの開発・環境・災害と社会は、どのように繋がっているのか。そして、(3)それらが、どう日本と繋がっているのか、を、社会システム及び比較の視点を通して述べることにある。(本文より抜粋)
【目次】
一 はじめに
1 インド洋大津波との遭遇から
2 本書の主題
二 災害とは何か
1 災害とは何か
2 リスク
3 リスク社会論
4 環境クズネッツ曲線
5 災害からの復興に関する理論
三 タイの開発・環境・災害とその繋がり
1 開発・環境・災害の全体像
2 タイの開発・環境・災害の繋がり
四 タイ・日本における環境社会変革の発展過程
1 タイの国家計画及び開発・環境・災害事例の潮流
2 タイの環境運動の発展過程
3 タイの環境政策の発展過程
4 日本の環境社会変革過程の潮流
5 環境社会変革過程の時間軸での繋がり──タイ・日本の比較
6 タイと日本の環境社会変革過程における繋がり
五 インド洋大津波の被害
1 被害の概観
2 被害のインパクト
3 タイにおける被害
4 インド洋大津波とタイの開発・環境・災害の繋がり
5 インド洋大津波とタイの開発・環境・災害と社会の繋がり
6 インド洋大津波とタイの開発・環境・災害と日本の繋がり
六 おわりに
【著者】
中須正
東京都立大学大学院社会科学研究科社会学専攻博士後期課程単位取得満期退学。
現在、独立行政法人防災科学技術研究所研究員。
主な論文に「災害調査と東日本大震災」(『社会と調査』10号)、「シリーズ「我が国を襲った大災害」:伊勢湾台風災害と災害対策基本法の成立その意味と教訓」(『水利科学』第55巻第2号)、「環境社会学における自然災害研究の視角」(『環境社会学研究』16号)、「復興は災害にあう前から始まっている」(『都市問題』第100巻第12号)などがある。(2014年現在)
販売(無期限): ¥ 880(税込) / ギフト購入: ¥880 (税込)
