独身各駅停車　ぶらぶら独身五十男日常紀行随筆　４

概要：

独身のまま五十歳代後半まで生きてきたとき
はじめての結婚するにはどうすればいいのか？

　山本さんをここで褒めたからってどうなるわけでもないのですが、本編の［ぶらぶら独身五十男日常紀行随筆］とは別の「花ぶら紀行文章」の出版社への売り込みは、東京や関西で七〇~八〇件アタックしたそうです。しかし、これらはいまだ日の目をみていません。けれども、山本さんはまだまだ書き続けています。
　そんなある日、中野でカレーを食べていたら、山本さんが最近になって使い始めたスマホをちらっと見せてきました。そのスマホのなかに「五十歳代後半で結婚するにはどうすればいいのか？」のプロローグがあったというわけです。
　さらにこんなことを言っていたのも思い出します。
「お金もかつかつで、仕事もろくになくて社会的信用なんてものからのはじき飛ばされるだけで自分がもし結婚するとしたらどうすればいいか整理してみたんですよ。そしたら、そうだよな、そうだ、まず自分が誰かを好きになることを恐れてはいけないんだってことなわけで……聞いてます？　ここ結構良いこと言ってるつもりなんですけど……」
　果たしてその結末やいかに。
　本編にはその結末があるのですが、それは正直事実でありまして、「おお山本さんやるね～」なのですが、人はシャーデンフロイデ（人の不幸は蜜の味）とどう向き合って行けば良いのかということを最初に本編の原稿をまとめながらふと考えたものです。
　自分が誰かを好きになることを恐れてはいけない。
　山本研二、五九歳の夏と秋、人生のどんでん返しを、起こします。