詩集『花電車』序
概要:
今まで、私は詩集を読んでゐて、涙が流れたといふことはない。
しかし、稀らしい。
私はこの「花電車」を読みながら涙が頬を伝って流れて来た。
極暑の午後で、雨もなく微風もない。
ひいやりと流れて来たのはひと条の涙だけ――ああこれは、おれの涙かなと私は思ひ、詩人の貌をしばらく遠空に描いてゐた...
(本文冒頭より抜粋)
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