火
概要:
一
初秋の夜で、雌のスイトが縁側の敷居の溝の中でゆるく触角を動かしていた。
針仕事をしている母の前で長火鉢にもたれている子は頭をだんだんと垂れた。
鉄壜の手に触れかかると半分眼を開けて急いで頭を上げた。
「もうお寝。」
母は縫目をくけながら子を見てそういった...
(本文冒頭より抜粋)
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火
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