国枝史郎
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タイトル: 十二神貝十郎手柄話出版社: ConTenDo概要: ままごと狂女 一 「うん、あの女があれなんだな」 大髻に黒紋付き、袴なしの着流しにした、大兵の武士がこういうように云った。 独り言のように云ったのであった。 そこは稲荷堀の往来で、向こうに田沼主殿頭の、宏大の下屋敷が立っていた。 「....商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: 稚子法師出版社: ConTenDo概要: 一 木曽の代官山村蘇門は世に謳われた学者であったが八十二才の高齢を以て文政二年に世を終った。 謙恭温容の君子であったので、妻子家臣の悲嘆は殆ど言語に絶したもので、征矢野孫兵衛、村上右門、知遇を受けた此両人などは、当時の国禁を窃に破って追腹を切った程である。 で......商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: 首頂戴出版社: ConTenDo概要: 一 サラサラサラと茶筌の音、トロリと泡立った緑の茶、茶碗も素晴らしい逸品である。 それを支えた指の白さ! と、茶碗が下へ置かれた。 茶を立てたのは一人の美女、立兵庫にお裲襠、帯を胸元に結んでいる。 凛と品のある花魁である。 むかいあっているのは一人の乞食、...商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: 鵞湖仙人出版社: ConTenDo概要: 一 時は春、梅の盛り、所は信州諏訪湖畔。 そこに一軒の掛茶屋があった。 ヌッと這入って来た武士がある。 野袴に深編笠、金銀こしらえの立派な大小、グイと鉄扇を握っている、足の配り、体のこなし、将しく武道では入神者。 「よい天気だな、茶を所望する」 ト...商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: 天草四郎の妖術出版社: ConTenDo概要: 一 天草騒動の張本人天草四郎時貞は幼名を小四郎と云いました。 九州天草大矢野郷越野浦の郷士であり曾ては小西行長の右筆まで為た増田甚兵衛の第三子でありましたが何より人を驚かせたのは其珠のような容貌で、倫を絶した美貌のため男色流行の寛永年間として諸人に渇仰されたことは... ...商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: 赤格子九郎右衛門出版社: ConTenDo概要: 一 江川太郎左衛門、名は英竜、号は坦庵、字は九淵世々韮山の代官であって、高島秋帆の門に入り火術の蘊奥を極わめた英傑、和漢洋の学に秀で、多くの門弟を取り立てたが、中に二人の弟子が有って出藍の誉を謳われた。 即ち、一人は川路聖謨、もう一人は佐久間象山であった。 象山の弟......商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: 生死卍巴出版社: ConTenDo概要: 占われたる運命は? 「お侍様え、お買いなすって。 どうぞあなた様のご運命を」 こういう女の声のしたのは享保十五年六月中旬の、後夜を過ごした頃であった。 月が中空に輝いていたので、傍らに立っている旗本屋敷の、家根の甍が光って見えた。 土塀を食み出して夕顔の花が、それこそ女の顔の....商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: 怪しの者出版社: ConTenDo概要: 一 乞食の権七が物語った。 尾張の国春日井郡、庄内川の岸の、草の中に寝ていたのは、正徳三年六月十日の、午後のことでありました。 いくらか靄を含んでいて、白っぽく見えてはおりましたが、でもよく晴れた夏の空を、自分の遊歩場ででもあるかのように、鳶が舞っており......商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: 北斎と幽霊出版社: ConTenDo概要: 一 文化年中のことであった。 朝鮮の使節が来朝した。 家斉将軍の思し召しによって当代の名家に屏風を描かせ朝鮮王に贈ることになった。 柳営絵所預りは法眼狩野融川であったが、命に応じて屋敷に籠もり近江八景を揮毫した。 大事の仕事であったので、弟子達...商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: 日置流系図出版社: ConTenDo概要: 帷子姿の半身 トントントントントントン……トン。 表戸を続けて打つ者がある。 「それまた例のお武家様だ……誰か行って潜戸を開けてやんな」 こう忠蔵は云いながらズラリと仲間を見廻したが俺が開けようというものはない。 トントントントンとそう云っている間も....商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: 猿ヶ京片耳伝説出版社: ConTenDo概要: 痛む耳 「耳が痛んでなりませぬ」 と女は云って、掌で左の耳を抑えた。 年増ではあるが美しいその武士の妻女は、地に据えられた駕籠の、たれのかかげられた隙から顔を覗かせて、そう云ったのであった。 もう一挺の駕籠が地に据えられてあり、それには、女の良人らしい立......商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: 開運の鼓出版社: ConTenDo概要: 一 将軍家斉の時代であった。 天保の初年から天候が不順で旱天と洪水とが交〻《こもごも》襲い夏寒く冬暑く日本全国の田や畑には実らない作物が枯れ腐って凶年の相を現わしたが、俄然大飢饉が見舞って来た。 将軍家お膝元大江戸でさえ餓莩道に横たわり死骸から発する腥い匂いが......商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: 犬神娘出版社: ConTenDo概要: 一 安政五年九月十日の、午の刻のことでございますが、老女村岡様にご案内され、新関白近衛様の裏門から、ご上人様がご発足なされました際にも、私はお附き添いしておりました。 (と、洛東清水寺成就院の住職、勤王僧月照の忠実の使僕、大槻重助は物語った)さて裏門から出て... ...商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: 一枚絵の女出版社: ConTenDo概要: 一 ご家人の貝塚三十郎が、また芝山内で悪事をした。 一太刀で仕止めた死骸から、スルスルと胴巻をひっぱり出すと、中身を数えて苦笑いをし、 (思ったよりは少なかった) でも衣更の晴着ぐらいは、買ってやれるとそう思った。 歌麿が描いた時もそうだった......商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: 怪しの館出版社: ConTenDo概要: 一 ここは浅草の奥山である。 そこに一軒の料理屋があった。 その奥まった一室である。 四人の武士が話している。 夜である。 初夏の宵だ。 「どうでも誘拐す必要がある」 こういったのは三十年輩の、いやらしいほどの美男の武士で、寺侍かとも思わ...商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: 甲州鎮撫隊出版社: ConTenDo概要: 滝と池 「綺麗な水ですねえ」 と、つい数日前に、この植甚の家へ住込みになった、わたりの留吉は、池の水を見ながら、親方の植甚へ云った。 「これが俺んとこの金箱さ」 と、石に腰をかけ、煙管をくわえながら、矢張り池の水を見ていた植甚は、会心の笑いという、あの笑いか... ...商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: 八ヶ嶽の魔神出版社: ConTenDo概要: 邪宗縁起 一 十四の乙女久田姫は古い物語を読んでいる。 (……そは許婚ある若き女子のいとも恐ろしき罪なりけり……) 「姫やどうぞ読まないでおくれ。 妾聞きたくはないのだよ」 「いいえお姉様お聞き遊ばせよ。 これからが面白いのでございますもの....商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: 神州纐纈城出版社: ConTenDo概要: 第一回 一 土屋庄三郎は邸を出てブラブラ条坊を彷徨った。 高坂邸、馬場邸、真田邸の前を通り、鍛冶小路の方へ歩いて行く。 時は朧ろの春の夜でもう時刻が遅かったので邸々は寂しかったが、「春の夜の艶かしさ、そこはかとなく匂ひこぼれ、人気なけれど賑かに思はれ」で、陰気......商品価格: ¥0(税込)