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長谷川時雨

検索結果55件中1件から45件までを表示
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  • タイトル: 紫式部 ――忙しき目覚めに
    著者: 長谷川時雨
    出版社: ConTenDo
    概要:  八月九日、今日も雨。  紫式部をもととした随筆の催促が、昨日もあったことを思って、戸をあけてから、蚊帳のなかでそんなことを考える。  水色の蚊帳ばかりではない、暁闇ばかりではない。 連日の雨に暮れて、雨に明ける日の、空が暗いのだ。 それが、簀戸を透して、よけいに、ものの隈が濃...
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  • タイトル: 古い暦 私と坪内先生
    著者: 長谷川時雨
    出版社: ConTenDo
    概要:  坪内先生は、御老齢ではあったけれど、先生の死などということを、考えもしなかったのは我ながら不覚だった。 去年朝日講堂で、あの長講朗読にもちっとも老いを見せないで、しかもお帰りのおり、差上げた花束を侍者に持たせて、人ごみの出口で後から、とてもはっきりとした声で私の名を呼ばれ、笑い顔... ...
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  • タイトル: 菜の花 ――春の新七草の賦のその一ツ――
    著者: 長谷川時雨
    出版社: ConTenDo
    概要: 水油なくて寢る夜や窓の月(芭蕉)  の句は、現代のものには、ちよつとわかりにくいほど、その時代、またその前々代の、古い人間生活と、菜の花との緊密なつながりを語つてゐる。 いま、わたしたちが菜の花を愛するのもさうした祖先の感謝をもつて、心の底に暖かみを感じてゐるのかも知れない。 日の......
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  • タイトル: 尼たちへの消息 ――よく生きよとの――
    著者: 長谷川時雨
    出版社: ConTenDo
    概要:  日蓮聖人の消息文の中から、尼御前たちに對へられた書簡を拾つてゆくと、安産の護符をおくられたり、生れた子に命名したりしてゐて、哲人日蓮、大詩人日蓮の風貌躍如として、六百六十餘年の世をへだてた今日、親しく語りかけられる心地がする。 もとよりこの尼御前たちは在家の尼たちであるが、送られ... ...
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  • タイトル: 私の顔
    著者: 長谷川時雨
    出版社: ConTenDo
    概要:  寫眞を出して並べたわたくしの顏は、どれもこれも、みんな違つてゐる。 それは、自分の顏であるから、見違へるわけはないが、體つきと、着物と、髮の具合をとりかへたらばちよいと自分でも分明らなからうと思ふのさへある。  その時の氣分がこんなにムラなのかしら、と、反省させられるのだが、わ......
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  • タイトル: 吾が愛誦句
    著者: 長谷川時雨
    出版社: ConTenDo
    概要:  六歳のをり、寺小屋式の小學校へはいりまして、その年の暮か、または一二年たつてかのお席書きに、「南山壽」といふのを覺えました。 だが、この欄に書かうと思ひますのは、それよりもまた一年位たつてから書きました、 百尺竿頭更一歩進  といふのでございます。 これは、わたくしが、物を覺え......
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  • タイトル: 裸女の画
    著者: 長谷川時雨
    出版社: ConTenDo
    概要:  シヤガールの裸の女の繪を床の間においた。 こんないい繪をわたしが持つてゐるのではない。 『近代美人傳』の口繪を拜借した某氏から、この繪も添へて貸してくださつたのを、丁寧に床の間においたのだつた。  送つて來てくれた人たちに、門口で挨拶して主人が歸つて來たのは、もう夜更けだつたが、....
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  • タイトル: 四人の兵隊
    著者: 長谷川時雨
    出版社: ConTenDo
    概要:  出征文人の一員、林芙美子のリユツクサツクのなかへはいつて、わたしの心持も行くといふと奇矯にきこえるが、わたくしの兵隊さん慰問文が、おぶつていつてもらふことになつた。 思ひがけない嬉しさなので、どうしてもそのことから書かなければ氣がすまない。  芙美子は電話で優しくいつてくれた。 ....
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  • タイトル:
    著者: 長谷川時雨
    出版社: ConTenDo
    概要:  桃。  わたしは、桃の實と女性とを、なにとなく特殊なむすびつきがある氣がして、心をひかれてゐる。 それが、なんであるかを、まだはつきりしないのに、とにかく、その大切にしてあるものを、心に熟さないうちに、まだ青い實のうちに、ともかく「明日香」發行のお祝ひに捧げるやうになつた。 ....
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  • タイトル: むぐらの吐息
    著者: 長谷川時雨
    出版社: ConTenDo
    概要:  十二月廿五日夜、東京日日新聞主催の「大東京座談會」の席上で、復興の途上にある大東京は、最初の豫算三十億の時から十億に削られた時まで、一千萬圓の國立劇場建築費が保存されてあつたが、終に最後の七億になつて消滅してしまつたといふことを、復興局長官の堀切善次郎氏によつて語られた。  ... ...
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  • タイトル:
    著者: 長谷川時雨
    出版社: ConTenDo
    概要:  趣味とは、眺めてゐるものと、觸はつて見るもの、觸れなければ堪能できないものと、心に養つてゐるものとがある。 それを大づかみに一括して「趣味」といふのだらうが、自分に出來ないことを羨ましがるのも、いい意味での趣味だ。 それは羨望には、ものねたみをふくむ憂ひはあるが、こんなのは甚だ罪が......
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  • タイトル: 北京の生活
    著者: 長谷川時雨
    出版社: ConTenDo
    概要:  そのころ、義弟の住居は、東三條胡同といふ、落着いた小路にあつて、名優梅蘭芳の邸とおなじ側にあつたが、前住のふらんす婦人の好みで、多少ふらんす風に改築された支那家屋だつた。  であるからかも知れないが、玄關をはいると、水族館とも箱庭式ともどつちともつかない、噴水と泉水と、花壇と... ...
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  • タイトル: 凡愚姐御考
    著者: 長谷川時雨
    出版社: ConTenDo
    概要:  義理人情の美風といふものも歌舞伎芝居の二番目ものなどで見る親分子分の關係などでは、歪んだ――撓めた窮屈なもので、無條件では好いものだといひかねる。 立てなくつてもいい義理に、無理から無理を生ませてゐる。 人情にしてもまことに低級卑俗だ。 大局とか、大義とか、さういふものには眞つくらで....
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  • タイトル: 花火と大川端
    著者: 長谷川時雨
    出版社: ConTenDo
    概要:  花火といふ遊びは、金を飛散させてしまふところに多分の快味があるのだから、經濟の豐なほど豪宕壯觀なわけだ。 私といふ子供がはじめて記憶した兩國川開きの花火は、明治二十年位のことだから、廣告花火もあつたではあらうが、資本力の充實した今日から見れば、三業組合――花柳界の支出費だけで、大... ...
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  • タイトル: 日本橋あたり
    著者: 長谷川時雨
    出版社: ConTenDo
    概要:  その時分、白米の價が、一等米圓に七升一合、三等米七升七合、五等米八升七合。 お湯錢が大人二錢か一錢五厘といふと、私は、たいした經濟觀念の鋭い小娘であつたやうであるが、お膳の前へ坐ると、頂きますとお辭儀をするし、お終ひになると、御馳走さまといつたり、さうでもないと、默つて一禮して、... ...
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  • タイトル: 夏の夜
    著者: 長谷川時雨
    出版社: ConTenDo
    概要:   暗い窓から  地球が吸ひよせる雨――そんなふうな降りだ。  六十年ぶりだといふ暑熱に、苦しみ通した街は、更けてからの雷雨に、なにもかもがぐつすりと濡れて、知らずに眠つてゐる人も快げだ。  叩きつける雨の勢ひは、遮るものにあたつて彈きかへされ、白い霧になつてゐる... ...
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  • タイトル: 夏の女
    著者: 長谷川時雨
    出版社: ConTenDo
    概要:  一夏、そのころ在阪の秋江氏から、なるみの浴衣の江戸もよいが、上布を着た上方の女の夏姿をよりよしと思ふといふ葉書が來たことがある。 ふといま、そのことを思ひだした。  上布には、くつきりした頸あし、むつちりした乳房のあたりの豐けさをおもはされる。 落附いた御内室さんである。 な...
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  • タイトル: 東京に生れて
    著者: 長谷川時雨
    出版社: ConTenDo
    概要:  大東京の魅力に引かれ、すつかり心醉しながら、郷里の風光に思ひのおよぼすときになると、東京をみそくそにけなしつける人がある。 どうもそんな時はしかたがないから、默つて、おこがましいが、土地ツ子の代表なやうに拜聽してゐる。  大震災のあとであつた、ある劇作家が言つた。 「東京つて....
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  • タイトル: 佃のわたし
    著者: 長谷川時雨
    出版社: ConTenDo
    概要: 暗の夜更にひとりかへる渡し船、殘月のあしたに渡る夏の朝、雪の日、暴風雨の日、風趣はあつてもはなしはない。 平日の並のはなしのひとつふたつが、手帳のはしに殘つてゐる。  一日のはげしい勞働につかれて、機械が吐くやうな、重つくるしい煙りが、石川島の工場の烟突から立昇つてゐる。 佃か....
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  • タイトル: 住居
    著者: 長谷川時雨
    出版社: ConTenDo
    概要:  松岡映丘畫伯の晩年の作によく見えた丘の段々畑。 あの新大和繪風な色彩そつくりの山畑を遠くから見て、絣のやうなと形容したのを、笑はれたことがあるが、郊外などの、田園都市の近代風の建物の遠景などは、更紗模樣とも眺められる。  ところで、わたくしの家の好みは、どこかばかげた、間の拔け......
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  • タイトル: 春宵戯語
    著者: 長谷川時雨
    出版社: ConTenDo
    概要:  ふと、ある日、菜の花のお漬けものがございますかとAさんにお目にかかつたとき、關西の郊外の話から、お訊ねしたことがあつた。 それは、ずつと前に、たしかに菜の花であらうと思ふのを食べた、その風味を忘れないでゐたからだつた。  ありますとも、しかし、あれは、はじめに出たしんを止めて、......
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  • タイトル: 下町娘
    著者: 長谷川時雨
    出版社: ConTenDo
    概要:  江戸の女を語るには、その階級から語らなければならない。  武家と町人――それはその時代の何處にもカツキリとされた區別であるが、江戸にはもひとつの別階級がある、職人である。  下町娘の總稱は、町人、職人を一つにまとめて、日本橋、京橋、芝、神田、下谷、淺草、本所、深川に住んでゐ......
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  • タイトル: こんな二人
    著者: 長谷川時雨
    出版社: ConTenDo
    概要:  一人は太古からかれない泥沼の底の主、山椒の魚でありたいといひ、ひとりは、夕暮、または曉に、淡く、ほの白い、小さな水藻の花でありたいと言ふ、こんな二人。  一人は澎湃奔放たる濁流を望み、ひとりは山影の苔清水をなつかしむ。 『水清ければ魚すまず、駄目だよ。 』 『そのかはりに月....
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  • タイトル: 桑摘み
    著者: 長谷川時雨
    出版社: ConTenDo
    概要:  庭木の植込みの間に、桑の細い枝が見える。 桑畑に培はれたものよりは、葉がずつと細かい。 山桑とでもいふのかもしれぬ。  おお、さういへば、かつて、兵庫の和田の岬のほとりが、現今ほどすつかり工場町になつてしまはないで、松林に梅雨の雨が煙り、そのすぐ岸近くを行く汽船の、汽笛の音が松の....
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  • タイトル: 河風
    著者: 長谷川時雨
    出版社: ConTenDo
    概要:  江東水の江村の、あのおびただしい蓮が、東京灣の潮がさして枯れさうだといふ、お米も枯れてしまつたといふ、葛飾の水郷もさうして、だん/″\と工場町になるのだらう。 龜井戸の後など汽車の窓からみると、紅白の花が可哀さうなほど汚ならしくぎら/″\した蓮田がある。  隅田川流域――たつた......
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  • タイトル:
    著者: 長谷川時雨
    出版社: ConTenDo
    概要:  秋雨のうすく降る夕方だつた。 格子戸の鈴が、妙な音に、つぶれて響いてゐるので、私はペンをおいて立つた。  臺所では、お米を磨いでゐる女中が、はやり唄をうたつて夢中だ。 湯殿では、ザアザア水音をさせて、箒をつかひながら、これも元氣な聲で、まけずに郷土の唄をうたつてゐる。 私は細目に...
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  • タイトル: おとづれ
    著者: 長谷川時雨
    出版社: ConTenDo
    概要:  十五夜の宵だつた。 新らしい借家に移つてから、ちよつと一度歸つて來て、そそくさと徹夜で書物をして出ていつたままのあるじから、幾日ぶりかで二度目の速達便が來た。 丁度其日の新聞に連載ものが休みになつてゐたので、どこぞで病氣でもしてゐるのではないかと案じてゐたところなので、居所不明の手......
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  • タイトル: 大川ばた
    著者: 長谷川時雨
    出版社: ConTenDo
    概要:  大川は、東京下町を兩斷して、まつすぐに流れてゐる。  その古の相貌は、まことに美しい潮入り川で、蘆荻ところどころ、むさしの側は、丘は鬱蒼として、下總野の、かつしかあがたは、雲手の水に水郷となり、牛島の御牧には牛馬が放牧されてゐた。 北には筑波が朝紫に、西に富士はくれなゐの夕照に......
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  • タイトル:
    著者: 長谷川時雨
    出版社: ConTenDo
    概要:  ある日、婦人ばかりといつてよい招待の席で、小林一三氏が、吉屋信子さんの新築の家を絶讃された。  ――私は、隨分澤山好い家を見てゐるが、その私が褒めるのだから、實際好い家なのだ。 たいがいの家は、茶室好みか、もしくは待合式なのかだか、吉屋さんの家はいかにも女性の主人で外國の好いと......
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  • タイトル: 「郭子儀」異変
    著者: 長谷川時雨
    出版社: ConTenDo
    概要:  柳里恭の「郭子儀」の對幅が、いつのころかわたくしの生家にあつた。 もとより柳里恭の眞筆ではない。 ほんものならば、その頃でも萬といふ級の取引であつたらう。 或はわたくしのうちにあつた、その寫しものでも今日の賣立などであつたら、矢張り萬とか千とかいふ代物であつたかも知れない。  そ...
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  • タイトル: 人魂火
    著者: 長谷川時雨
    出版社: ConTenDo
    概要:  これは私の父が、幼いころの気味の悪るかったことという、談話のおりにききましたことです。 場処は通油町でした。 祖母が目をかけてやっていた、母子二人世帯の者が、祖母の家の塀外に住んでいた、その息子の方のことです。 母親という人は後家で通して来たので、名代の気丈なものだったそうですが、あ....
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  • タイトル: 糸繰沼
    著者: 長谷川時雨
    出版社: ConTenDo
    概要:  湖、青森あたりだとききました、越中から出る薬売りが、蓴菜が一ぱい浮いて、まっ蒼に水銹の深い湖のほとりで午寐をしていると、急に水の中へ沈んでゆくような心地がしだしたので、変だと思っていると、何処でか幽かに糸車を廻す音がきこえたともうします。 おやと気をつけると、暗いところがほんのり... ...
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  • タイトル: モルガンお雪
    著者: 長谷川時雨
    出版社: ConTenDo
    概要:  一  まあ!  この碧い海水の中へ浸ったら体も、碧く解けてしまやあしないだろうか――  お雪は、ぞっとするほど碧く澄んだ天地の中に、呆やりとしてしまった。 皮膚にまで碧緑さが滲みこんでくるように、全く、此処の海は、岸に近づいても藍色だ。 空は、それにもまして碧... ...
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  • タイトル: 芳川鎌子
    著者: 長谷川時雨
    出版社: ConTenDo
    概要:  一  大正六年三月九日朝の都下の新聞紙は筆を揃えて、芳川鎌子事件と呼ばれたことの真相を、いち早く報道し、精細をきわめた記事が各新聞の社会面を埋めつくした。 その日は他にも、平日ならば読者の目を驚かせる社会記事が多かった。 たとえば我国の飛行界の第一人者として、また... ...
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  • タイトル: 松井須磨子
    著者: 長谷川時雨
    出版社: ConTenDo
    概要:  一  大正八年一月五日の黄昏時に私は郊外の家から牛込の奥へと来た。 その一日二日の私の心には暗い垂衣がかかっていた。 丁度黄昏どきのわびしさの影のようにとぼとぼとした気持ちで体をはこんで来た、しきりに生の刺とか悲哀の感興とでもいう思いがみちていた。 まだ燈火もつけず... ...
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  • タイトル: 平塚明子(らいてう)
    著者: 長谷川時雨
    出版社: ConTenDo
    概要:  一  らいてうさま、  このほどお体は如何で御座いますか。 爽やかな朝風に吹かれるといかにもすがすがしくて、今日こそ、何もかもしてしまおうと、日頃のおこたりを責められながら、私は、貧乏な財袋よりもなお乏しい頭の濫費をしつつ無為な日を送っております。  御あた... ...
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  • タイトル: 豊竹呂昇
    著者: 長谷川時雨
    出版社: ConTenDo
    概要:  私は今朝の目覚めに戸の透間からさす朝の光りを眺めて、早く鶯が夢をゆすりに訪れて来てくれるようになればよいと春暁の心地よさを思った。 如月は名ばかりで霜柱は心まで氷らせるように土をもちあげ、軒端に釣った栗山桶からは冷たそうな氷柱がさがっている。 崖の篠笹にからむ草の赤い実をあさりなが......
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  • タイトル: 竹本綾之助
    著者: 長谷川時雨
    出版社: ConTenDo
    概要:  泰平三百年の徳川幕府の時代ほど、義理人情というものを道徳の第一においたことはない。 忠の一字をおいては何事にも義理で処決した。 武家にあっては武士道の義理、市井の人には世間の義理である。 義理のためには親子の間の愛情も、恋人同士の迸しるような愛の奔流も抑圧してきた時代である。 その人...
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  • タイトル: 朱絃舎浜子
    著者: 長谷川時雨
    出版社: ConTenDo
    概要:  一  木橋の相生橋に潮がさしてくると、座敷ごと浮きあがって見えて、この家だけが、新佃島全体ででもあるような感じに、庭の芝草までが青んで生々してくる、大川口の水ぎわに近い家の初夏だった。 「ここが好いぞ、いや、敷ものはいらん、いらん。」  広い室内の隅の方へ... (本...
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  • タイトル: 九条武子
    著者: 長谷川時雨
    出版社: ConTenDo
    概要:  一  人間は悲しい。  率直にいえば、それだけでつきる。 九条武子と表題を書いたままで、幾日もなんにも書けない。 白いダリヤが一輪、目にうかんできて、いつまでたっても、一字もかけない。  遠くはなれた存在だった、ずっと前に書いたものには、気高き人とか麗人とか、... ...
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  • タイトル: 大橋須磨子
    著者: 長谷川時雨
    出版社: ConTenDo
    概要:  霜月はじめの、朝の日影がほがらかにさしている。 澄みきった、落附いた色彩と香があたりに漂い流れている。  朝雨にあらわれたあとの、すがすがしい空には、パチパチと弾ける音がして、明治神宮奉祝の花火があがっている。 小禽が枝から飛立つ羽ぶきに、ふち紅の、淡い山茶花が散った。  今...
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  • タイトル: 大塚楠緒子
    著者: 長谷川時雨
    出版社: ConTenDo
    概要:  もうやがて二昔に近いまえのことでした。 わたしは竹柏園の御弟子の一人に、ほんの数えられるばかりに、和歌をまなぶというよりは、『万葉集』『湖月抄』の御講義を聴講にいっておりました。 すくなくても十人、多いときは二、三十人の人たちが、みんな熱心に書籍の中へ書入れたり、手帖へうつされたり......
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  • タイトル: 遠藤(岩野)清子
    著者: 長谷川時雨
    出版社: ConTenDo
    概要:  一  それは、華やかな日がさして、瞞されたような暖かい日だった。  遠藤清子の墓石の建ったお寺は、谷中の五重塔を右に見て、左へ曲った通りだと、もう、法要のある時刻にも近いので、急いで家を出た。  と、何やら途中から気流が荒くなって来たように感じた。 「こ... ...
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  • タイトル: 江木欣々女史
    著者: 長谷川時雨
    出版社: ConTenDo
    概要:  一  大正五年の三月二日、あたしは神田淡路町の江木家の古風な黒い門をくぐっていた。  旧幕の、武家邸の門を、そのままであろうと思われる黒い門は、それより二十年も前からわたしは見馴れているのだった。 わたしは日本橋区の通油町というところから神田小川町の竹柏園へ稽... ...
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  • タイトル: 一世お鯉
    著者: 長谷川時雨
    出版社: ConTenDo
    概要:  一 「そりゃお妾のすることじゃないや、みんな本妻のすることだ。 姉さんのしたことは本妻のすることなのだ」  六代目菊五郎のその銹た声が室の外まで聞える。  真夏の夕暮、室々のへだての襖は取りはらわれて、それぞれのところに御簾や几帳めいた軽羅が垂らしてあるばか... ...
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