今野大力
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タイトル: 立待岬にいたりて出版社: ConTenDo概要: 露西亜の船の沈んだ片身に残したと聞く石を抱いて われは又ある日のざんげをするか 函館山は高く 要塞地として秘密を冠る おごそかな 壮大なる岩礁の牢たる屹立は 東方に面して 何をひそかに語りつつあるか 黒鳥のあまた 岩に群がり 波に浮び 魚を捕う かつてここら立... ...商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: ある時出版社: ConTenDo概要: ある時 今野大力 「未曾有のキキン」 「大水害」 「餓死の年」 遠いほんとうに遠い 父と息子の住んで居る土地は 時代をとりちがえて生きて居るようにほんとうに遠い 手紙の封筒は ほご紙を飯粒のりでこさえておくる 切手はどこかのすみからさがして来たようにすすけ... ...商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: 馬を愛す出版社: ConTenDo概要: 馬を愛す 地表を走らせて競馬という 桜のすぐる頃 葉桜の蔭に 人々 金を懸て馬をひょろひょろと走らす 競馬という そして 人間 『馬を愛す』という 底本:「今野大力作品集」新日本出版社 1995(平成7)年6月30日初版 初出:「旭川新聞」 ... ...商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: 生る出版社: ConTenDo概要: 父あり 母あり 病児生る 父あり 母あり 白痴生る 父あり 母あり 天才生る 父あり 母あり 盲児生る 父あり 母あり 死児生る 底本:「今野大力作品集」新日本出版社 1995(平成7)年6月30日初版 初出:「旭川新聞」 1927(昭和... (本...商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: ある歴史に就て出版社: ConTenDo概要: ある歴史に就て 今野大力 星が一つ 森林の中の 忘れられた静かな湖水へ降りて来て 暫く思案にくれていた (それを知っていたものは誰もいない天空にいる星達さえも存じなかった) 星にも厭世があるのかしら? 星は湖水へ沈んで行った 底本:「今野大力作品集」新日... ...商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: 亜米利加出版社: ConTenDo概要: アメリカは正義人道を看板にして 非道な国際を売ってしまった 排日は夢の日本に対するしくみだ、あなどりだ 夢も幻ももたない トラウベル、ホイットマンを理想の詩人に祭りあげたアメリカ人 資産の外にはのぞみもない彼等は 貧しい夢の日本なぞ用もない あたり前の成行きだ あ... ...商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: 私の母出版社: ConTenDo概要: そこにこうかつな野郎がいる そこにあいつの縄工場がある 縄工場で私の母は働いていた 私の母はその工場で 十三年 漆黒い髪を真白にし 真赤な血潮を枯らしちまった 私の母はそれでも子供を生んだ 私達の兄弟は肉付が悪くって蒼白い 私達は神経質でよく喧嘩をした ... ...商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: 胸に手を当てて出版社: ConTenDo概要: かつて私は 悪事をやった立場に立たされた時 こう憎々しげに吐きつけられたものだ、 「胸に手を当てて、よっく考えて見ろ!」 私は今、胸に手を当てて 静かに激しく想っている。 私は悪事をやった為だろうか。 いや、私は悪事をやったのではない 悪事は彼等がやったの......商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: 百姓仁平出版社: ConTenDo概要: 何つう病気だか知らねいが、 俺家のたけ子奴病気だどって帰って来た 何でも片足だけは血が通わねえんだって そしてくさりこんでさ うみが出て うみが出て、 血の通うところまでぶった切って 生れにもない片輪になりやがって 二十一の働き盛り 嫁盛りに 何つうこった 俺あ... ...商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: 花に送られる出版社: ConTenDo概要: 小金井の桜の堤はどこまでもどこまでもつづく もうあと三四日という蕾の巨きな桜のまわりは きれいに掃除され、葭簀張りののれんにぎやかな臨時の店店は 花見客を待ちこがれているよう 私の寝台自動車はその堤に添うて走る 春めく四月、花の四月 私は生死をかけて、むしろ死を覚... ...商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: 金属女工の彼女出版社: ConTenDo概要: 小がらで元気がみちみち 眼と口と顔の据えられた位置が やや水平の彼方の空に向い 希望の、言葉ではなし、文章ではなし、絵でもなし ただ五尺たらずのからだに みちみてる熱意ある要求の表情。 私はそこで 彼女の出ている工場で、 一日 一杯、 牛馬のような搾取労働が、... ...商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: 一疋の昆虫出版社: ConTenDo概要: 一疋の足の細長い昆虫が明るい南の窓から入ってきた 昆虫の目指すは北 薄暗い北 病室のよごれひびわれたコンクリートの部厚い壁、 この病室には北側にドアーがありいつも南よりはずっと暗い 昆虫は北方へ出口を見出そうとする 天井と北側の壁の白堊を叩いて ああ幾度往復しても... ...商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: 組織された力出版社: ConTenDo概要: どこからか捲き起された風 渦になり、平になり、縦になり 吹きまくってゆく、突風! 疾風! 屋根柾が矢のように走ってゆく 塗炭板がぐうおうと引ぺがされて 空をうなりながら飛んでゆく ぐう、おう、ひゅう ひゅう、おう、ぐう 物凄い力となって 粉々と雪を掻っ飛ばし... ...商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: トンカトントンカッタカッタ出版社: ConTenDo概要: トンカトンカトン トンカトンカトン これは隣りのシャフトから樋を通って来るベルトが樋板を叩いている音だ。 女工の一人はその音が可笑しいと言って側の女工と顔を見合せてウフフ、ウフフと唇をゆるめて笑っていた。 もげ落ちそうな狸腹をしている首には白粉を付けている若い女工が......商品価格: ¥0(税込)