石川啄木
検索結果56件中46件から56件までを表示
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タイトル: 悲しき玩具出版社: ConTenDo概要: 呼吸すれば、 胸の中にて鳴る音あり。 凩よりもさびしきその音! 眼閉づれど、 心にうかぶ何もなし。 さびしくも、また、眼をあけるかな。 途中にてふと気が変り、 つとめ先を休みて、今日も、 河岸をさまよへり。 咽喉がかわき、 まだ起きてゐる果物...商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: 初めて見たる小樽出版社: ConTenDo概要: 新らしき声のもはや響かずなった時、人はその中から法則なるものを択び出ず。 されば階級といい習慣といういっさいの社会的法則の形成せられたる時は、すなわちその社会にもはや新らしき声の死んだ時、人がいたずらに過去と現在とに心を残して、新らしき未来を忘るるの時、保守と執着と老人とが夜の梟... ...商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: 氷屋の旗出版社: ConTenDo概要: 親しい人の顔が、時として、凝乎と見てゐる間に見る見る肖ても肖つかぬ顔――顔を組立ててゐる線と線とが離れ/\になつた様な、唯不釣合な醜い形に見えて来る事がある。 それと同じ様に、自分の周囲の総ての関係が、亦時として何の脈絡も無い、唯浅猿しく厭はしい姿に見える。 ――恁うした不愉快な感......商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: 札幌出版社: ConTenDo概要: 半生を放浪の間に送つて来た私には、折にふれてしみ/″\思出される土地の多い中に、札幌の二週間ほど、慌しい様な懐しい記憶を私の心に残した土地は無い。 あの大きい田舎町めいた、道幅の広い、物静かな、木立の多い、洋風擬ひの家屋の離れ/″\に列んだ――そして甚麽大きい建物も見涯のつかぬ大... ...商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: 菊池君出版社: ConTenDo概要: 一 私が釧路の新聞へ行つたのは、恰度一月下旬の事、寒さの一番酷しい時で、華氏寒暖計が毎朝零下二十度から三十度までの間を昇降して居た。 停車場から宿屋まで、僅か一町足らずの間に、夜風の冷に頤を埋めた首巻が、呼気の湿気で真白に凍つた。 翌朝目を覚ました時は、雨戸の隙を潜......商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: 足跡出版社: ConTenDo概要: 冬の長い国のことで、物蔭にはまだ雪が残つて居り、村端の溝に芹の葉一片青んではゐないが、晴れた空はそことなく霞んで、雪消の路の泥濘の処々乾きかゝつた上を、春めいた風が薄ら温かく吹いてゐた。 それは明治四十年四月一日のことであつた。 新学年始業式の日なので、S村尋常高等小学校の代......商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: 葉書出版社: ConTenDo概要: ××村の小学校では、小使の老爺に煮炊をさして校長の田辺が常宿直をしてゐた。 その代り職員室で用ふ茶代と新聞代は宿直料の中から出すことにしてある。 宿直料は一晩八銭である。 茶は一斤半として九十銭、新聞は郵税を入れて五十銭、それを差引いた残余の一円と外に炭、石油も学校のを勝手に用ひ、家....商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: 葬列出版社: ConTenDo概要: 久し振で帰つて見ると、嘗ては『眠れる都会』などと時々土地の新聞に罵られた盛岡も、五年以前とは余程その趣を変へて居る。 先づ驚かれたのは、昔自分の寄寓して居た姉の家の、今裕福らしい魚屋の店と変つて、恰度自分の机を置いた辺と思はれるところへ、吊された大章魚の足の、極めてダラシなく垂れ... ...商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: 一利己主義者と友人との対話出版社: ConTenDo概要: B おい、おれは今度また引越しをしたぜ。 A そうか。 君は来るたんび引越しの披露をして行くね。 B それは僕には引越し位の外に何もわざわざ披露するような事件が無いからだ。 A 葉書でも済むよ。 B しかし今度のは葉書では済まん。 A どうしたんだ。 何日かの...商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: 火星の芝居出版社: ConTenDo概要: 『何か面白い事はないか?』 『俺は昨夜火星に行って来た』 『そうかえ』 『真個に行って来たよ』 『面白いものでもあったか?』 『芝居を見たんだ』 『そうか。 日本なら「冥途の飛脚」だが、火星じゃ「天上の飛脚」でも演るんだろう?』 『そんなケチなもんじゃない。 第一劇場か......商品価格: ¥0(税込)
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タイトル: 我等の一団と彼出版社: ConTenDo概要: 一 人が大勢集つてゐると、おのづから其の間に色分けが出來て來る――所謂黨派といふものが生れる。 これは何も珍らしいことではないが、私の此間までゐたT――新聞の社會記者の中にもそれがあつた。 初めから主義とか、意見とかを立てゝ其の下に集つたといふでもなく、又誰もそん......商品価格: ¥0(税込)