「資源ベースアプローチによるIT投資マネジメント序説」松島桂樹著作集 第5巻
概要:
多くのIT投資は、直接的な企業業績の向上に役立たないかもしれません。企業戦略の実施の支援をするものだからです。しかし支援機能を数値で表現することは極めて難しいことです。様々な要因が関係しIT投資がそれを支援したと言うことがなかなかできません。むしろ直接にはITを活用して社員の能力がアップした、すなわちケイパビリティの向上に焦点を当てるべきであると考え、このような人的資源に着目する理論として、資源ベースアプローチを取り上げてみました。
私たちの資源ベースのIT投資マネジメントでは、企業戦略、capability、そしてIT投資の関連付けを行うことが基本です。このようなアプローチは消して新しいものではないかもしれませんが、IT投資の評価を財務的で行う限り新しい分野のIT投資に関する効果評価が適切に行われません。むしろどのような能力を向上させるかを明確にすることがより直接的なIT投資の効果の測定を可能にします。この視点が資源ベースによるIT投資マネジメントの根幹です。
従来のIT投資マネジメントは、投資意思決定のための採算性評価に関する研究がもっぱらで、意思決定支援に限定されていたと言ってよいでしょう。資源ベースのIT投資マネジメントはこの領域に初めて、「実践」の視点を取り入ることになりました。具体的に何を志向して投資するのかを問うものだからです。
事前にどんなに採算性が高いと評価されても、効果的な実践が伴わなければ、成果は限定的です。私たちのIT投資マネジメントが机上の理論構築ではなく、実務者が適切なIT投資の実践に向けて、スタートする動機を議論するようになりました。そのような意味で、画期をなす論文といえます。
目次:
電子書籍化にあたって
はじめに
1.資源ベースアプローチによるIT戦略
2.インタンジブル・アセットの重要性
3.IT投資マネジメントへのインプリケーション
おわりに
参考文献
- ジャンル:
- ビジネス > IT・Eビジネス 経営 > 経営・経営学
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