
をみな
概要:
母。
――異体の知れぬその影がまた私を悩ましはじめる。
私はいつも言ひきる用意ができてゐるが、かりそめにも母を愛した覚えが、生れてこのかた一度だつてありはしない。
ひとえに憎み通してきたのだ「あの女」を。
母は「あの女」でしかなかつた。
九つくらゐの小さい小学生のころであつた...
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