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堀辰雄

検索結果124件中91件から124件までを表示
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  • タイトル: 新人紹介
    著者: 堀辰雄
    出版社: ConTenDo
    概要: 新人紹介 堀辰雄  一、履歴、僕は千九百四年十二月東京に生れた。  芥川龍之介は僕の最もよき先生だつた。 彼の死くらゐ僕を感動させたものはない。  彼の死後、まもなく、僕はひどい肺炎にかかり、長いあひだ生と死との間にあつた。  僕の肉體はやがて恢復した。 しかし僕...
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  • タイトル: おもかげ
    著者: 堀辰雄
    出版社: ConTenDo
    概要:  アトリエとその中庭は、節子の死後、全く手入れもせずに放つておかれたので、彼女が繪に描くために丹精して育てられてゐた、さまざまな珍らしい植木は、丁度それらの多くがいま花をさかせる季節なのでごちやごちやにそれぞれの花を簇がらせながら、一層そこいらの荒れ果てた感じを目立たせてゐた。 彼... ...
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  • タイトル: 絵はがき
    著者: 堀辰雄
    出版社: ConTenDo
    概要: 一九三〇年八月十七日、K村にて  僕がホテルのベッドに横になつて、讀書をしてゐたら、窓から、向日葵の奴がしきりにそれをのぞきこむのだ。  どうもうるさくつてしかたがない。  そこで僕は立ち上つていつて、窓をしめてきてやつた。  うすぐらくなる。 本なんか讀んでゐるよりは晝...
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  • タイトル: 雨後
    著者: 堀辰雄
    出版社: ConTenDo
    概要: 六月二十日  これでもう山小屋に雨に降りこめられてゐること一週間。 ――「雨の輕井澤もまたいいです」などと友達に手紙を書いてゐた女房も、きのふあたりから少し氣が變になつてゐはしないかと思ふ位。  ――何しろ、樅の木なんぞの多い山のなかの一軒家だものだから、雨の音が騷がしいほど大......
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  • タイトル: 風景
    著者: 堀辰雄
    出版社: ConTenDo
    概要:  波止場の附近はいつものやうに、ぷんぷん酒臭い水夫や、忙しさうに陸揚してゐる人夫どもで一ぱいだつた。 僕はさういふさなかを窮窟さうに歩くといふよりも、むしろ人氣のなささうなところを、ところを、と拾ひながら歩いてゐた。 すると突然、僕は或るへんてこな一區域に迷ひ込んでしまつたのである。 ....
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  • タイトル: 馬車を待つ間
    著者: 堀辰雄
    出版社: ConTenDo
    概要: 1 「やあ綺麗だなあ……」  埃りまみれの靴の紐をほどきながら、ひよいと顏を上げた私は、さう思はずひとりごとを言つた。  崖ばらに一かたまり、何んの花だか、赤やら白やら咲きみだれてゐるのが、夕闇を透かしながらくつきりと見えたのである。 「その躑躅でございませう? ――......
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  • タイトル: 眠れる人
    著者: 堀辰雄
    出版社: ConTenDo
    概要:  その女が僕を見てあんまり親しげに微笑したので、僕はその女について行かずにゐられなかつた。 もうすべてのものは眠つてゐた。 ただ風だけが眼ざめてゐた。 が、それとても、町中に散らばつてゐる紙屑をすら動かすほどのものではなかつた。 それはむしろ空氣の流れと云つた方がいい。 それが僕をう...
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  • タイトル:
    著者: 堀辰雄
    出版社: ConTenDo
    概要:  彼等は鼠のやうに遊んだ。  彼等はある空家の物置小屋の中に、どこから見つけてきたのか、數枚の古疊を運んできて、それを一枚一枚天井の梁の上に敷きつめた。 するとそのおかげで、そこには――天井と梁との空間には、一種の部屋のやうなものが出來あがつた。 それは祕密好きな子供らが誰にも見つ....
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  • タイトル: 水族館
    著者: 堀辰雄
    出版社: ConTenDo
    概要: 1  私は諸君に、このなんとも説明のしやうのない淺草公園の魅力を、出來るだけ完全に理解させるためには、私の知つてゐるかぎりの淺草についての千個の事實を以てするより、私の空想の中に生れた一個の異常な物語を以てした方が、一そう便利であると信ずる。 ところで、さういふ物語をするため... ...
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  • タイトル: 死の素描
    著者: 堀辰雄
    出版社: ConTenDo
    概要:  僕は、ベツドのかたはらの天使に向つて云つた。 「蓄音機をかけてくれませんか?」  この天使は、僕がここに入院中、僕を受持つてゐるのだ。 彼女は白い看護婦の制服をつけてゐる。 「何をかけますか?」 「シヨパンのノクタアンを、どうぞ――」  蓄音機の穴から、一羽の眞赤な小鳥....
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  • タイトル:
    著者: 堀辰雄
    出版社: ConTenDo
    概要:  路易はすぐ顏をぱあつと赤くした。  自分でもいやな癖だと思つてゐたけれど、どうしやうもないのであつた。 何でもないのに「そら、また……」といふ氣がひよいとする。 が、その時はもう遲い。 見る見るうちに彼の頬は薔薇色になつてしまふ。 同級生たちには「吸取紙」といふ綽名までつけられ...
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  • タイトル: 木の十字架
    著者: 堀辰雄
    出版社: ConTenDo
    概要: 「こちらで冬を過すのは、この土地のものではない私共には、なかなか難儀ですが、この御堂が本当に好きですので、こうして雪の深いなかに一人でそのお守りをしているのもなかなか愉しい気もちがいたします。 ……」  この雪に埋まった高原にある小さな教会の管理をしている、童顔の、律儀そうなHさ... ...
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  • タイトル: 楡の家
    著者: 堀辰雄
    出版社: ConTenDo
    概要:    第一部 一九二六年九月七日、O村にて  菜穂子、  私はこの日記をお前にいつか読んで貰うために書いておこうと思う。 私が死んでから何年か立って、どうしたのかこの頃ちっとも私と口を利こうとはしないお前にも、もっと打ちとけて話しておけばよかったろうと思う時が来るだろ... ...
    商品価格: ¥0(税込)
  • タイトル: 雉子日記
    著者: 堀辰雄
    出版社: ConTenDo
    概要: 雉子日記 一  去年の暮にすこし本なんぞを買込みに二三日上京したが、すぐ元日にこちらに引っ返して来た。 汽車がひどく混んで、私はスキイの連中や、犬なんぞと一しょに貨物車に乗せられてきたが、嫌いなスティムの通っていないだけでも、少し寒くはあったが、この方がよっぽど気持... ...
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  • タイトル: あいびき
    著者: 堀辰雄
    出版社: ConTenDo
    概要:  ……一つの小径が生い茂った花と草とに掩われて殆ど消えそうになっていたが、それでもどうやら僅かにその跡らしいものだけを残して、曲りながらその空家へと人を導くのである。 もう人が住まなくなってから余程になるのかも知れぬ。 それまで西洋人の住まっていたらしいことは、そのささやかな御影石の......
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  • タイトル:
    著者: 堀辰雄
    出版社: ConTenDo
    概要:  或る秋の午後、私は、小さな沼がそれを町から完全に隔離している、O夫人の別荘を訪れたのであった。  その別荘に達するには、沼のまわりを迂回している一本の小径によるほかはないので、その建物が沼に落しているその影とともに、たえず私の目の先にありながら、私はなかなかそれに達することが... ...
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  • タイトル: 不器用な天使
    著者: 堀辰雄
    出版社: ConTenDo
    概要:           1  カフエ・シヤノアルは客で一ぱいだ。 硝子戸を押して中へ入つても僕は友人たちをすぐ見つけることが出來ない。 僕はすこし立止つてゐる。 ジヤズが僕の感覺の上に生まの肉を投げつける。 その時、僕の眼に笑つてゐる女の顏がうつる。 僕はそれを見にくさうに見つめる...
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  • タイトル: 幼年時代
    著者: 堀辰雄
    出版社: ConTenDo
    概要: 無花果のある家  私は自分の幼年時代の思い出の中から、これまで何度も何度もそれを思い出したおかげで、いつか自分の現在の気もちと綯い交ぜになってしまっているようなものばかりを主として、書いてゆくつもりだ。 そして私はそれらの幼年時代のすべてを、単なるなつかしい思い出としては取り... ...
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  • タイトル: ルウベンスの偽画
    著者: 堀辰雄
    出版社: ConTenDo
    概要:  それは漆黒の自動車であった。  その自動車が軽井沢ステエションの表口まで来て停まると、中から一人のドイツ人らしい娘を降した。  彼はそれがあんまり美しい車だったのでタクシイではあるまいと思ったが、娘がおりるとき何か運転手にちらと渡すのを見たので、彼は黄いろい帽子をかぶった娘......
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  • タイトル: 麦藁帽子
    著者: 堀辰雄
    出版社: ConTenDo
    概要:  私は十五だった。 そしてお前は十三だった。  私はお前の兄たちと、苜宿の白い花の密生した原っぱで、ベエスボオルの練習をしていた。 お前は、その小さな弟と一しょに、遠くの方で、私たちの練習を見ていた。 その白い花を摘んでは、それで花環をつくりながら。 飛球があがる。 私は一所懸...
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  • タイトル: 恢復期
    著者: 堀辰雄
    出版社: ConTenDo
    概要:      第一部  彼はすやすやと眠っているように見えた。 ――それは夜ふけの寝台車のなかであった。 ……  突然、そういう彼が片目だけを無気味に開けた。  そうして自分の枕もとの懐中時計を取ろうとして、しきりにその手を動かしている。 しかしその手は鉄のように重いのだ。...
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  • タイトル: 朴の咲く頃
    著者: 堀辰雄
    出版社: ConTenDo
    概要:         一  あたりはしいんとしていて、ときおり谷のもっと奥から山椒喰のかすかな啼き声が絶え絶えに聞えて来るばかりだった。 そんな谷あいの山かげに、他の雑木に雑って、何んの木だか、目立って大きな葉を簇がらせた一本の丈高い木が、その枝ごとに、白く赫かしい花を一輪々々ぽっ... ...
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  • タイトル: 花を持てる女
    著者: 堀辰雄
    出版社: ConTenDo
    概要: 一  私はその日はじめて妻をつれて亡き母の墓まいりに往った。  円通寺というその古い寺のある請地町は、向島の私たちのうちからそう離れてもいないし、それにそこいらの場末の町々は私の小さい時からいろいろと馴染のあるところなので、一度ぐらいはそういうところも妻に見せておこうと思... ...
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  • タイトル: 三つの挿話
    著者: 堀辰雄
    出版社: ConTenDo
    概要:      墓畔の家  これは私が小学三四年のころの話である。  私の家からその小学校へ通う道筋にあたって、常泉寺(註一)という、かなり大きな、古い寺があった。 非常に奥ゆきの深い寺で、その正門から奥の門まで約三四町ほどの間、石甃が長々と続いていた。 そしてその石甃の両側には、....
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  • タイトル: 雪の上の足跡
    著者: 堀辰雄
    出版社: ConTenDo
    概要:  主 やあ、どこへ行ったかと思ったら、雪だらけになって帰って来たね。  学生 林の中を歩いて来ました。 雑木林の中なぞは随分雪が深いのですね。 どうかすると、腰のあたりまで雪の中に埋まってしまいます。 獣の足跡が一めんについているので、そんな上なら大丈夫かとおもって、足を踏みこむと...
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  • タイトル: 大和路・信濃路
    著者: 堀辰雄
    出版社: ConTenDo
    概要: 樹下  その藁屋根の古い寺の、木ぶかい墓地へゆく小径のかたわらに、一体の小さな苔蒸した石仏が、笹むらのなかに何かしおらしい姿で、ちらちらと木洩れ日に光って見えている。 いずれ観音像かなにかだろうし、しおらしいなどとはもってのほかだが、――いかにもお粗末なもので、石仏といっ... ...
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  • タイトル: 菜穂子
    著者: 堀辰雄
    出版社: ConTenDo
    概要: 楡の家 第一部 一九二六年九月七日、O村にて  菜穂子、  私はこの日記をお前にいつか読んで貰うために書いておこうと思う。 私が死んでから何年か立って、どうしたのかこの頃ちっとも私と口を利こうとはしないお前にも、もっと打ちとけて話しておけばよかったろうと思う時が... ...
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  • タイトル: 姨捨
    著者: 堀辰雄
    出版社: ConTenDo
    概要: わが心なぐさめかねつさらしなや をばすて山にてる月をみて           よみ人しらず 一  上総の守だった父に伴なわれて、姉や継母などと一しょに東に下っていた少女が、京に帰って来たのは、まだ十三の秋だった。 京には、昔気質の母が、三条の宮の西にある、父の古い屋... ...
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  • タイトル: 風立ちぬ
    著者: 堀辰雄
    出版社: ConTenDo
    概要: 〔Le vent se le`ve il faut tenter de vivre.〕 〔PAUL VALE'RY〕 序曲  それらの夏の日々、一面に薄の生い茂った草原の中で、お前が立ったまま熱心に絵を描いていると、私はいつもその傍らの一本の白樺の木蔭に身を横たえ.....
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  • タイトル: 聖家族
    著者: 堀辰雄
    出版社: ConTenDo
    概要:  死があたかも一つの季節を開いたかのようだった。  死人の家への道には、自動車の混雑が次第に増加して行った。 そしてそれは、その道幅が狭いために、各々の車は動いている間よりも、停止している間の方が長いくらいにまでなっていた。  それは三月だった。 空気はまだ冷たかったが、もうそ...
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  • タイトル: かげろうの日記
    著者: 堀辰雄
    出版社: ConTenDo
    概要: なほ物はかなきを思へば、あるかなきかの心地する かげろふの日記といふべし。                     蜻蛉日記 その一  半生も既に過ぎてしまって、もはやこの世に何んのなす事もなく生きながらえている自分だが、――一たい顔かたちだって人並でないし、これ... ...
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  • タイトル: ほととぎす
    著者: 堀辰雄
    出版社: ConTenDo
    概要: われぞげにとけて寐らめやほととぎす   ものおもひまさりこゑとなるらん               蜻蛉日記 その一 「昔、殿のお通いになっていらしった源の宰相某とか申された殿の御女の腹に、お美しい女君が一人いらっしゃるそうでございます。 その女君なんぞをお引き取り... ...
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  • タイトル: 晩夏
    著者: 堀辰雄
    出版社: ConTenDo
    概要:  けさ急に思い立って、軽井沢の山小屋を閉めて、野尻湖に来た。  実は――きのうひさしぶりで町へ下りて菓子でも買って帰ろうとしたら、何処の店ももう大概引き上げたあとで、漸っと町はずれのアメリカン・ベエカリイだけがまだ店を開いていたので、飛び込んだら、欲しいようなものは殆ど何も無か... ...
    商品価格: ¥0(税込)
  • タイトル: 曠野
    著者: 堀辰雄
    出版社: ConTenDo
    概要: 忘れぬる君はなかなかつらからで いままで生ける身をぞ恨むる                拾遺集 一  そのころ西の京の六条のほとりに中務大輔なにがしという人が住まっていた。 昔気質の人で、世の中からは忘れられてしまったように、親譲りの、松の木のおおい、大きな屋形の... ...
    商品価格: ¥0(税込)
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