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豊島与志雄

検索結果207件中181件から207件までを表示
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  • タイトル: 蝦蟇
    著者: 豊島与志雄
    出版社: ConTenDo
    概要:  五月頃から私の家の縁先に、大きい一匹の蝦蟇が出た。 いつも夕方であった。 風雨の日や、妙に仄白く暮れ悩んだ日や、月のある夕方などには、出なかった。 夕闇が濃く澱んでいる時や、細かい雨がしとしと降る時などに、出た。 垣根に沿ってのそりのそりと匐っていった。 それが如何にも悠然としてい...
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  • タイトル: 春の幻
    著者: 豊島与志雄
    出版社: ConTenDo
    概要:  春を想うと、ただもやもやっとした世界の幻が浮んでくる。 それは日向に蹲ってる猫で象徴される。 日向の猫の眼が、細い瞳をぼんやり開きかけては、またうっとりと閉じていくように、春の息吹きは、あらゆるものの眼を閉じさせる。 冷い空気と暖い空気とがもつれ合って、なま温い靄を蒸発させ、光と影と....
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  • タイトル: 梅花の気品
    著者: 豊島与志雄
    出版社: ConTenDo
    概要:  梅花の感じは、気品の感じである。  気品は一の芳香である。 眼にも見えず、耳にも聞えない、或る風格から発する香である。 甘くも酸くも辛くもなく、それらのあらゆる刺戟を超越した、得も云えぬ香である。 人をして思わず鼻孔をふくらませる、無味無臭の香である。 それと明かに捉え得ないが...
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  • タイトル: 真夜中から黎明まで
    著者: 豊島与志雄
    出版社: ConTenDo
    概要:  時の区劃から云えば、正子が一日と次の日との境界であるけれども、徹夜する者にとっては、この境界は全く感じられない。 彼にとっては、午前二時頃までは前夜の連続である。 遠い汽笛の音、空気の乱れ、何かしら動いてるもののどよめき、一日の生活の余喘、……それらのものが大気中に漂っている。 試み....
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  • タイトル: 大自然を讃う
    著者: 豊島与志雄
    出版社: ConTenDo
    概要:  人の生活に最も大事なのは、自分の生を愛し慈むの感情である。 生きてるということに対する自覚的な輝かしい感情である。 なぜならば、そういう感情からこそ、本当に純な素直な力強い生活心境が生れてくるのだから。  この自分の生を愛する心を、吾々は忙忽たる人事のうちにあって、往々にして失い....
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  • タイトル: 最近の菊池寛氏
    著者: 豊島与志雄
    出版社: ConTenDo
    概要:  ――菊池君は屡々瞬きをする。 人の云った言葉に対して、自分の云った言葉に対して、または周囲の事物に対して、心のうちに何等かの愛情が動く時、あの眼鏡の奥の、小さな底深い可愛いい眼が、ぱっぱっと瞬きをする。 一体、人の感情の動きは、口許の陰影や、頬の筋肉や、顔の色や、眼の輝きなどに、現......
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  • タイトル: 作品の倫理的批評
    著者: 豊島与志雄
    出版社: ConTenDo
    概要:  私は今茲に作品の倫理的批評に就いて一二のことを云ってみたい。 此の頃大分倫理的批評ということが人の口に上ってきたし、また将来も益々深く進んでゆかなければならないと思うので。 但し茲で云う所はほんの雑感という位のものに止めておく。  私はよく、作者の態度が徹底していないとか、体験が....
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  • タイトル: 食慾
    著者: 豊島与志雄
    出版社: ConTenDo
    概要:  同じ高原でも、沓掛の方は軽井沢より、霧も浅く湿気も少ないので、私の身体にはよいだろうと、そう野口は申しましたが、実際、私もそのように感じました。 けれども、私の身体によろしいのと同じ程度に、野口の身体にもよろしいので、私達の間の健康の差は前と同様でした。 ……おう、うっかり口に出ま......
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  • タイトル: 父の形見
    著者: 豊島与志雄
    出版社: ConTenDo
    概要:  正夫よ、君はいま濃霧のなかにいる。 眼をつぶってじっとしていると、古い漢詩の句が君の唇に浮んでくるだろう。 幼い頃、父の口からじかに君が聞き覚えたものだ。  その頃君の父は、土地の思惑売買に失敗し、更に家運挽回のための相場に失敗し、広い邸宅を去って、上野公園横の小さな借家に移り住....
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  • タイトル: 死ね!
    著者: 豊島与志雄
    出版社: ConTenDo
    概要:  私と彼とは切っても切れない縁故があるのだが、逢うことはそう屡々ではない。 私はいつもひどく忙しい。 貧乏で、わき目もふらず働き続けなければ、飯が食えないのだ。 ところが彼は、いつも隙だ。 のんきに、夢想したり、歩き廻ったり、酒を飲んだりして、日を送っている。 それかって、財産がある...
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  • タイトル: 操守
    著者: 豊島与志雄
    出版社: ConTenDo
    概要:      一  吉乃は、いつものんきで明るかった。 だから或る男たちは、彼女をつまらないと云った。 のんきで明るいだけなら、人形と同じだ。 人形を相手に遊ぶのは、子供か老人――ロマンチックな初心者か、すれっからしの不能者か……。 だが普通の者にとっては、酒の後では、煙草の味が一層...
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  • タイトル: 溺るるもの
    著者: 豊島与志雄
    出版社: ConTenDo
    概要:      一 或る図書館員の話  掘割の橋のたもとで、いつも自動車を乗り捨てた。  眼の届く限り真直な疏水堀で、両岸に道が通じ、所々に橋があって、黒ずんだ木の欄干が水の上に重り合って見える。 右側は大きな陰欝な工場、左側は小さな粗末な軒並……。 その軒並の彼方、ぼうっとして明....
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  • タイトル: 裸木
    著者: 豊島与志雄
    出版社: ConTenDo
    概要:  佐野陽吉には、月に一度か二度、彼の所謂「快活の発作」なるものが起った。  初めはただ、もやもやっとした、煙のような、薄濁りのした気分……。 それが次第に濃くどんよりと、身内に淀んできて、二つの異った作用を起した。 一つは、頭脳がひどく鈍ってきた。 一種の毒気みたいなものが、頭の中...
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  • タイトル: 阿亀
    著者: 豊島与志雄
    出版社: ConTenDo
    概要:  電車通りから狭い路地をはいると、すぐ右手に一寸小綺麗な撞球場があった。 電車通りに面した表の方は、煙草店になっていて、各国産の袋や缶の雑多な色彩が、棚の上に盛り上っていた。 その店から、磨硝子の戸を距てて、撞球台が二つ並んでいる広間となり、奥は障子越しに、家の人達の住居になっていた......
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  • タイトル: 公孫樹
    著者: 豊島与志雄
    出版社: ConTenDo
    概要: 「この頃の洋式の建築は可笑しなことをするもんだね。 砂利を煮て何にするんだろう。」  そう云って、吉住が煙草に火をつけながら立止ったので、私も一緒に立って、やはり煙草に火をつけた。 「まさか砂利だけを煮るつもりでもなかろう。」  だが、実際砂利だけを煮てるのだった。 長方形の大....
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  • タイトル: 同胞
    著者: 豊島与志雄
    出版社: ConTenDo
    概要:  恒夫は四歳の時父に死なれて、祖父母と母とだけの家庭に、独り子として大事に育てられてきた。 そして、祖父から甘い砂糖菓子を分けて貰い、祖母から古い御伽話や怪談を聞き、母の乳首を指先でひねくることの出来るうちは、別に何とも思わなかったが、小学校から中学校へ進んで、それらのことがいつし... ...
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  • タイトル: 都会の幽気
    著者: 豊島与志雄
    出版社: ConTenDo
    概要:  都会には、都会特有の一種の幽気がある。 暴風雨の時など、何処ともなく吹き払われ打ち消されて、殆ど姿を見せないけれども、空気が凪いで澱んでいる時には、殊に昼間よりは夜に多く、ぼんやりと物影に立現れたり、ふらふらと小路を彷徨したりする。  幽気があるのは、必ずしも都会に限ったもので......
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  • タイトル: 人の国
    著者: 豊島与志雄
    出版社: ConTenDo
    概要:  久保田さんは、六十歳で某大学教授の職を辞して以来、いつしか夜分に仕事をする習慣がついてしまった。 夜分に仕事をするのは、必ずしも盗人や小説家のみに限ったことではない。 久保田さんが従事していた仕事は、人類理想史という尨大な著述で、天上の神話的楽園から地上の無政府的共産主義の理想郷に......
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  • タイトル: 或る男の手記
    著者: 豊島与志雄
    出版社: ConTenDo
    概要:  もう準備はすっかり整っている。 準備と云っても、新らしい剃刀と石鹸と六尺の褌とだけだ。 それが、鍵の掛った書棚の抽出の中にはいっている。 私としては、愈々やれるかどうか、それを試してみるだけのことだ。 然しその前に、一切のことを書き誌してみたい――と云うより寧ろ、文字というはっきりし...
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  • タイトル: 白日夢
    著者: 豊島与志雄
    出版社: ConTenDo
    概要:  晩春の頃だった。  私達――私と妻と男の児と女中との四人――は新らしい住居へ移転した。 まだ道具もそう多くはなかったので、五六日で家の中は一通り片付いて、私はほっとした気持で、縁側に腰掛けて煙草を吹かしながら、庭の面をぼんやり眺めてみた。 庭と云っても僅かに六七坪のものだったが、....
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  • タイトル: 理想の女
    著者: 豊島与志雄
    出版社: ConTenDo
    概要:  私は遂に秀子を殴りつけた。 自然の勢で仕方がなかったのだ。  私は晩食の時に少し酒を飲んだ。 私達は安らかな気持ちで話をした。 食後に私はいい気持ちになって――然し酔ってはいなかった――室の中に寝転んだ。 電灯の光りを見ていると、身体が非常にだるく感じられた。 秀子は室の隅の...
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  • タイトル: 群集
    著者: 豊島与志雄
    出版社: ConTenDo
    概要:  大正七年八月十六日夜――  私は神保町から須田町の方へ歩いて行った。 両側の商店はもう殆んど凡てが戸を締めていた。 大きな硝子戸や硝子窓の前には蓆を垂らしてる家が多かった、間には板を縦横に打ちつけてる家もあった。 街路が妙に薄暗かった。 黙々とした人影が皆須田町の方へ流れていた。 ...
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  • タイトル: 微笑
    著者: 豊島与志雄
    出版社: ConTenDo
    概要:  私は遂に女と別れてしまった。 一つは周囲の事情が許さなかったのと、一つは私達の心も初めの間ほどの緊張を失ってしまっていたのと、二つの理由から互に相談の上さっぱりと別れてしまった。 一切の文通もしないことにした。 其後女は、下谷から芳町の方へ住替えたとも風の便りに聞いたが、別に私の好奇....
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  • タイトル: 蘇生
    著者: 豊島与志雄
    出版社: ConTenDo
    概要:  人物 高木敬助………二十四歳、大学生 中西省吾………二十五歳、大学生、敬助と同居人 山根慶子………二十一歳、敬助の自殺せる恋人 同 秋子………十八歳、慶子の妹 村田八重子………二十一歳、慶子の親友、省吾と許婚の女 其他――老婆(六十三歳、敬助と省吾との召使)、看護婦... ...
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  • タイトル: 少年の死
    著者: 豊島与志雄
    出版社: ConTenDo
    概要:  十一月のはじめ夜遅く馬喰町の附近で、電車に触れて惨死した少年があった。 それが小石川白山に住む大工金次郎のうちの小僧庄吉だと分ったのは、事変の二日後であった。 惨死はこの少年の手ではどうすることも出来ない運命の働きであったらしい。  庄吉は巣鴨の町外れの小百姓の家に生れて育った。 ...
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  • タイトル: 恩人
    著者: 豊島与志雄
    出版社: ConTenDo
    概要:  年毎に彼の身体に悪影響を伝える初春の季節が過ぎ去った後、彼はまた静かなる書斎の生活をはじめた、去ってゆく時の足跡をじっと見守っているような心地をし乍ら。 木蓮の花が散って、燕が飛び廻るのを見守っては、只悠久なるものの影をのみ追った。 然しその影の淡々しいのを彼の心が見た。  前日....
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  • タイトル: 蠱惑
    著者: 豊島与志雄
    出版社: ConTenDo
    概要:  ――私はその頃昼と夜の別々の心に生きていた。 昼の私の生命は夜の方へ流れ込んでしまった。 昼間は私にとって空虚な時間の連続にすぎなかった。 其処には淡く煙った冬の日の明るみと、茫然とした意識と、だらけ切った世界とが、倦怠の存在を続けているばかりだった。 然し夜になると私の心は鏡の面の...
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電子書籍にとどまらず映像、画像なども取り扱います。話題のEPUBおよびPDF形式を揃えています。

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ジャケットがグッドデザインだと買ってしまったりする購買行動のことです。
コンテン堂では、表紙が一番魅力的に見えるようにサイト・デザインされています。
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