蠅
概要:
一
真夏の宿場は空虚であった。
ただ眼の大きな一疋の蠅だけは、薄暗い厩の隅の蜘蛛の巣にひっかかると、後肢で網を跳ねつつ暫くぶらぶらと揺れていた。
と、豆のようにぼたりと落ちた。
そうして、馬糞の重みに斜めに突き立っている藁の端から、裸体にされた馬の背中まで這い上っ...
(本文冒頭より抜粋)
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蠅
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