蒲原有明
検索結果17件中1件から17件までを表示
-
タイトル: 機縁 (友なる画家の画稿に題す)出版社: ConTenDo概要: その一 大海かたち定めぬ劫初の代に 水泡の嵐たゆたふ千尋の底。 折しも焔はゆるき『時』の鎖、 まひろく永き刻みに囚れつつ、 群鳥翔る翼のその噪ぎと、 その疾さあらめ、宛も眠り転び、 無際の上枝下枝を火の殻負ひ 這ひもてわたる蝸牛の姿しめす。 火と水、相遇......商品価格: ¥0(税込)
-
タイトル: 夢は呼び交す ――黙子覚書――出版社: ConTenDo概要: 書冊の灰 二月も末のことである。 春が近づいたとはいいながらまだ寒いには寒い。 老年になった鶴見には寒さは何よりも体にこたえる。 湘南の地と呼ばれているものの、静岡で戦災に遭って、辛い思いをして、去年の秋やっとこの鎌倉へ移って来たばかりか、静岡地方と比べれば気温の差......商品価格: ¥0(税込)
-
タイトル: 都喜姫出版社: ConTenDo概要: つき姫とは仮に用ひし名なり、もとの事蹟悽愴むしろきくに忍びず、口碑によれば「やよがき姫」なり、領主が寵をうけしものから、他の嫉みを招くにいたり、事を構へて讒する者あり、姦婬の罪に行はる。 身には片布をだに着くるを允さず馬上にして城下に曝す、牽きゆくこと数里、断崖の上より擲ちて死にい... ...商品価格: ¥0(税込)
-
タイトル: 泣菫氏が近業一篇を読みて出版社: ConTenDo概要: 穉態を免れず、進める蹤を認めずと言はるる新詩壇も、ここに歳華改りて、おしなべてが浴する新光を共にせむとするか、くさぐさの篇什一々に数へあげむは煩はしけれど、めづらしき歌ごゑ殊に妙なるは、秀才泣菫氏が近作、「公孫樹下にたちて」と題せる一篇なるべし。 はしがきによりて窺へば、氏が黄塵... ...商品価格: ¥0(税込)
-
タイトル: 『二十五絃』を読む出版社: ConTenDo概要: 詩はこれを譬ふれば山野の明暗、海波の起伏なり。 新しき歌の巻を読むは、また更にわが身に近くして、さながら胸の鼓動を聴くここちす。 今『二十五絃』を繙いて、泣菫子が和魂の帰依に想ひ到れば、この荒びし世をつつむは黄金の靄、白がねの霧――幻夢倐ちに湧きのぼれり。 四季の移りかはりばか....商品価格: ¥0(税込)
-
タイトル: 虚妄と真実出版社: ConTenDo概要: 「食後」の作者に ――君。 僕は僕の近來の生活と思想の斷片を君に書いておくらうと思ふ。 然し實を云へば何も書く材料はないのである。 默してゐて濟むことである。 君と僕との交誼が深ければ深いほど、默してゐた方が順當なのであらう。 舊い家を去つて新しい家に移つた僕は、こ...商品価格: ¥0(税込)
-
タイトル: ジヨオジ・ムウア出版社: ConTenDo概要: わたくしはこのごろジヨオジ・ムウアの書いたものを讀んでゐる。 それについての話を少しして見よう。 別にムウアの書物が珍らしいといふのではない。 今まであまり人の口にかゝらなかつたと云ふまでゝあるが、むかふでも多少評判になつてきてゐるやうである。 なかなか變つたことを書いてゐる。 そ...商品価格: ¥0(税込)
-
タイトル: 緑蔭叢書創刊期出版社: ConTenDo概要: 藤村君のこれまでの文壇的生涯を時代わけにして、みんなが分擔して書きたいことを書きとめておくのもよい企である。 わたくしには「若菜集」の出るやうになつた頃のことを書かぬかどうかといふ相談があつた。 しかし藤村君とのつきあひは「夏草」出版直後からであるから、若菜集時代、即ち文學界末期頃......商品価格: ¥0(税込)
-
タイトル: 詩の将来について出版社: ConTenDo概要: こゝに掲げた標題が私に課せられた難問である。 私は答案に窮するより外はない。 近頃は社會萬般に亙つて何事も見透しがつきかねるといふ噂さである。 詩も多分さうであらうことは、この出題によつても推測されるとほりに、私にも少しばかり思當りがないでもない。 囘顧すれば自由詩が舊詩壇に取...商品価格: ¥0(税込)
-
タイトル: 劇壇の新機運出版社: ConTenDo概要: わたくしは劇壇の新しい運動が自由劇場の試演とまで漕ぎつけたことに就ては、勿論贊意を表し且つその成功を祈つてゐた。 それと同時にかういふ運動は我邦に於て全く破天荒のことではあるし、第一囘の試演が蓋を開けるまではこの運動の効果に對し多少の疑懼を擁かないでもなかつた。 即ち成功とは云はれ......商品価格: ¥0(税込)
-
タイトル: 小山内謝豹出版社: ConTenDo概要: 小山内君は一時謝豹といふ雅號を用ゐてゐました。 それをおぼえてゐる人は恐らく稀でせう。 もう十五六年も前のことになります。 そのころ生田葵君のやつてゐた「活文壇」といふ雜誌に、知與子とか謝豹とか署名して、ちよくちよくシエレエの詩の飜譯が出たものです。 「わが靈は魔に醉ふ舟か、夢を見る...商品価格: ¥0(税込)
-
タイトル: 「あひびき」に就て出版社: ConTenDo概要: わたくしが長谷川二葉亭氏の名を知りはじめたのは「國民之友」に出た「あひびき」からである。 明治二十一年の夏のころであつたが、わたくしは未だ中學の初年級であり、文學に對する鑑賞力も頗る幼稚で、その頃世間にもてはやされてゐた「佳人の奇遇」などを高誦してゐたぐらゐであるから、露西亞の小... ...商品価格: ¥0(税込)
-
タイトル: 龍土会の記出版社: ConTenDo概要: 龍土會といつても誰も知る人のないぐらゐに、いつしか影も形もひそめてしまつてゐる。 そのやうに會はたとへ消滅したものであるにしても、會員であつた人々は殘つてゐなくてはならないが、さて自分が會員であつたと名のりを揚げる特志者はまづ無いといつてよいだらう。 然しどうやら會合のやうなものが......商品価格: ¥0(税込)
-
タイトル: 長谷川二葉亭出版社: ConTenDo概要: 長谷川二葉亭氏にはつい此あひだ上野精養軒で開かれた送別會の席上で、はじめてその風丰に接したぐらゐであるから、わたくしには氏に對して別に纏つた感想などのありやうもない。 だが、質素な身なりと、碎けた物言ひぶりと、眉根に籠つた深く暗い顰みと、幅のある正しい肩つきと、これだけがわたくし... ...商品価格: ¥0(税込)
-
タイトル: 狂言綺語出版社: ConTenDo概要: 諸君子のひそみに倣つて爆彈のやうな詩を書いて見ようと思はぬでもない。 も少し穩かなところで、民衆詩あたりでも惡くはなからうと思はぬでもない。 さうは思ふが、さてどうにもならない。 格にはまつた詩も、格にはづれた詩も、いづれにしても、わたくしには今作れない。 わたくしは言葉の探究...商品価格: ¥0(税込)
-
タイトル: 仙人掌と花火の鑑賞出版社: ConTenDo概要: わたくしはいつもの瞑想をはじめる。 ――否、瞑想ではない、幻像の奇怪なる饗宴だ。 雜然たる印象の凝集と發散との間に感ずる夢の一類だ。 さうしてゐるうちに突然とわたくしの腦裡に、仙人掌と花火といふ記號的な概念が浮んでくる。 その概念が内容を摸索する。 人間の日常生活には、さして交渉を...商品価格: ¥0(税込)
-
タイトル: 「有明集」前後出版社: ConTenDo概要: 明治三十八年に「春鳥集」を出したときには、多少の自信もあり自負もあつた。 わたくしのやうな氣弱なものも詩作上思ひきつて因襲に反撥を試みたのである。 あの稚拙な自序を卷頭に置いたのもその爲で、少しきおつたところが見えて落ちつかぬが、それも致しかたない。 さて象徴詩がどういふ筋道を....商品価格: ¥0(税込)