郷介法師
概要:
1
初夏の夜は静かに明け放れた。
堺の豪商魚屋利右衛門家では、先ず小僧が眼を覚ました。
眠い眼を渋々こすりながら店へ行って門の戸を明けた。
朝靄蒼く立ちこめていて戸外は仄々と薄暗かったが、見れば一本の磔柱が気味の悪い十文字の形をして門の前に立っていた。
「あっ」と云うと小僧...
(本文冒頭より抜粋)
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郷介法師
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