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文芸 > 日本文学/国文学

検索結果3,993件中3,826件から3,870件までを表示
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  • タイトル: 写生紀行
    著者: 寺田寅彦
    出版社: ConTenDo
    概要:  去年の春から油絵の稽古を始めた。 冬初めごろまでに小さなスケッチ板へ二三十枚、六号ないし八号の画布へ数枚をかいた。 寒い間は休んでことし若葉の出るころからこの秋までに十五六枚か、事によると二十枚ほどの画布を塗りつぶした。 これらのものの大部分はみんなうちの庭や建物の一部を写生したもの....
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  • タイトル: 春寒
    著者: 寺田寅彦
    出版社: ConTenDo
    概要:  スカンジナヴィアの遠い昔の物語が、アイスランド人の口碑に残って伝えられたのを、十二世紀の終わりにスノルレ・スツール・ラソンという人が書きつづった記録が Heimskringla という書物になって現代に伝えられている。 その一部が英訳されているのをおもしろそうだと思って買って来た... ...
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  • タイトル: 自画像
    著者: 寺田寅彦
    出版社: ConTenDo
    概要:  四月の始めに山本鼎氏著「油絵のスケッチ」という本を読んで急に自分も油絵がやってみたくなった。 去年の暮れに病気して以来は、ほとんど毎日朝から晩まで床の中で書物ばかり読んでいたが、だんだん暖かくなって庭の花壇の草花が芽を吹き出して来ると、いつまでも床の中ばかりにもぐっているのが急に... ...
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  • タイトル: 丸善と三越
    著者: 寺田寅彦
    出版社: ConTenDo
    概要:  子供の時分から「丸善」という名前は一種特別な余韻をもって自分の耳に響いたものである。 田舎の小都会の小さな書店には気のきいた洋書などはもとよりなかった、何か少し特別な書物でもほしいと言うと番頭はさっそく丸善へ注文してやりますと言った。 中学時代の自分の頭には実際丸善というものに対す......
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  • タイトル: 病室の花
    著者: 寺田寅彦
    出版社: ConTenDo
    概要:  発病する四五日前、三越へ行ったついでに、ベコニアの小さい鉢を一つ買って来た。 書斎の机の上へ書架と並べて置いて、毎夜電燈の光でながめながら、暇があったらこれも一つ写生しておきたいと思っていたが、つい果たさずに入院するようになった。  入院の日に妻がいろいろの道具といっしょにこの......
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  • タイトル: 病院の夜明けの物音
    著者: 寺田寅彦
    出版社: ConTenDo
    概要:  朝早く目がさめるともうなかなか二度とは寝つかれない。 この病院の夜はあまりに静かである。 二つの時計――その一つは小形の置き時計で、右側の壁にくっつけた戸棚の上にある、もう一つは懐中時計でベットの頭の手すりにつるしてある――この二つの時計の秒を刻む音と、足もとのほうから聞こえて来る......
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  • タイトル: 先生への通信
    著者: 寺田寅彦
    出版社: ConTenDo
    概要:      ヴェニスから  お寺の鳩に豆を買ってやることは日本に限ることと思っていましたがここのサンマルコのお寺の前でも同じことをやっています。 ただし豆ではなくてとうもろこしを細長い円錐形の紙袋につめたのを売っています。  大道で鍋を煮立たせて、ゆでだこを売っている男がいま......
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  • タイトル: 文芸の主義
    著者: 森鴎外
    出版社: ConTenDo
    概要: 文芸の主義 森鴎外  芸術に主義というものは本来ないと思う。 芸術そのものが一の大なる主義である。  それを傍から見て、個々別々の主義があるように思うに過ぎない。  Emile Zola(エミール・ゾラ)なんぞは自家の芸術に自然主義という名をつけていた。 そうして書...
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  • タイトル: 農民芸術概論綱要
    著者: 宮沢賢治
    出版社: ConTenDo
    概要: 序論 ……われらはいっしょにこれから何を論ずるか…… おれたちはみな農民である ずゐぶん忙がしく仕事もつらい もっと明るく生き生きと生活をする道を見付けたい われらの古い師父たちの中にはさういふ人も応々あった 近代科学の実証と求道者たちの実験とわれらの直観の一致... ...
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  • タイトル: 温泉
    著者: 梶井基次郎
    出版社: ConTenDo
    概要:      断片 一  夜になるとその谷間は真黒な闇に呑まれてしまう。 闇の底をごうごうと溪が流れている。 私の毎夜下りてゆく浴場はその溪ぎわにあった。  浴場は石とセメントで築きあげた、地下牢のような感じの共同湯であった。 その巌丈な石の壁は豪雨のたびごとに汎濫する溪の水を支...
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  • タイトル: 学者と名誉
    著者: 夏目漱石
    出版社: ConTenDo
    概要:  木村項の発見者木村博士の名は驚くべき速力を以て旬日を出ないうちに日本全国に広がった。 博士の功績を表彰した学士会院とその表彰をあくまで緊張して報道する事を忘れなかった都下の各新聞は、久しぶりにといわんよりはむしろ初めて、純粋の科学者に対して、政客、軍人、及び実業家に譲らぬ注意を一... ...
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  • タイトル: 博士問題の成行
    著者: 夏目漱石
    出版社: ConTenDo
    概要:  二月二十一日に学位を辞退してから、二カ月近くの今日に至るまで、当局者と余とは何らの交渉もなく打過ぎた。 ところが四月十一日に至って、余は図らずも上田万年、芳賀矢一二博士から好意的の訪問を受けた。 二博士が余の意見を当局に伝えたる結果として、同日午後に、余はまた福原専門学務局長の来訪......
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  • タイトル: マードック先生の『日本歴史』
    著者: 夏目漱石
    出版社: ConTenDo
    概要:        上  先生は約の如く横浜総領事を通じてケリー・エンド・ウォルシから自著の『日本歴史』を余に送るべく取り計われたと見えて、約七百頁の重い書物がその後日ならずして余の手に落ちた。 ただしそれは第一巻であった。 そうして巻末に明治四十三年五月発行と書いてあるので、余は始......
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  • タイトル: 虚子君へ
    著者: 夏目漱石
    出版社: ConTenDo
    概要:  昨日は失敬。 こう続けざまに芝居を見るのは私の生涯において未曾有の珍象ですが、私が、私に固有な因循極まる在来の軌道をぐれ出して、ちょっとでも陽気な御交際をするのは全くあなたのせいですよ。 それにも飽き足らず、この上相撲へ連れて行って、それから招魂社の能へ誘うと云うんだから、あなたは......
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  • タイトル: 明治座の所感を虚子君に問れて
    著者: 夏目漱石
    出版社: ConTenDo
    概要: ○虚子に誘われて珍らしく明治座を見に行った。 芝居というものには全く無知無識であるから、どんな印象を受けるか自分にもまるで分らなかった。 虚子もそこが聞きたいので、わざわざ誘ったのである。 もっとも幼少の頃は沢村田之助とか訥升とかいう名をしばしば耳にした事を覚えている。 それから猿若町...
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  • タイトル: 文壇の趨勢
    著者: 夏目漱石
    出版社: ConTenDo
    概要:  近頃は大分方々の雑誌から談話をしろしろと責められて、頭ががらん胴になったから、当分品切れの看板でも懸けたいくらいに思っています。 現に今日も一軒断わりました。 向後日本の文壇はどう変化するかなどという大問題はなかなか分りにくい。 いわんや二三日前まで『文学評論』の訂正をしていて、頭が....
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  • タイトル: 田山花袋君に答う
    著者: 夏目漱石
    出版社: ConTenDo
    概要:  本月の「趣味」に田山花袋君が小生に関してこんな事を云われた。 ――「夏目漱石君はズーデルマンの『カッツェンステッヒ』を評して、そのますます序を逐うて迫り来るがごとき点をひどく感服しておられる。 氏の近作『三四郎』はこの筆法で往くつもりだとか聞いている。 しかし云々」  小生はいまだ....
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  • タイトル: 戦争からきた行き違い
    著者: 夏目漱石
    出版社: ConTenDo
    概要:  十一日の夜床に着いてからまもなく電話口へ呼び出されて、ケーベル先生が出発を見合わすようになったという報知を受けた。 しかしその時はもう「告別の辞」を社へ送ってしまったあとなので私はどうするわけにもいかなかった。 先生がまだ横浜のロシアの総領事のもとに泊まっていて、日本を去ることので......
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  • タイトル: イズムの功過
    著者: 夏目漱石
    出版社: ConTenDo
    概要:  大抵のイズムとか主義とかいうものは無数の事実を几帳面な男が束にして頭の抽出へ入れやすいように拵えてくれたものである。 一纏めにきちりと片付いている代りには、出すのが臆劫になったり、解くのに手数がかかったりするので、いざという場合には間に合わない事が多い。 大抵のイズムはこの点におい......
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  • タイトル: 『東洋美術図譜』
    著者: 夏目漱石
    出版社: ConTenDo
    概要:  偉大なる過去を背景に持っている国民は勢いのある親分を控えた個人と同じ事で、何かに付けて心丈夫である。 あるときはこの自覚のために驕慢の念を起して、当面の務を怠ったり未来の計を忘れて、落ち付いている割に意気地がなくなる恐れはあるが、成上りものの一生懸命に奮闘する時のように、齷齪とこ... ...
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  • タイトル: 隣の家
    著者: 与謝野晶子
    出版社: ConTenDo
    概要:  私達が去年から借りて住んで居る家の左隣は我国の二大富豪の一として知られた某家の一族の邸である。 私の家との間に高さ一丈余りの厚い煉瓦塀が立つて、其上に忍び返しが置かれて居る。 その塀に接近して建てられた私の家は全く風通しが悪いので今日此頃の暑さが非常である。 おまけに塀の上部に隣の庭....
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  • タイトル: 夢の影響
    著者: 与謝野晶子
    出版社: ConTenDo
    概要:  小野小町に夢の歌の多いのを見て、小町は特に夢を愛したのだと云ふ説があります。 私は特に夢を尊重もしませんが、夢見が好いと其日一日の氣分が何となく嬉しく愉快で、心に張りがあり、仕事をするのに勇氣が自然に伴つて、それがために仕事が意外に捗ると云ふやうな經驗は月の中に二三度もあります。 ......
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  • タイトル: 黙示のページ
    著者: 横光利一
    出版社: ConTenDo
    概要:  終始末期を連続しつつ、愚な時計の振り子の如く反動するものは文化である。 かの聖典黙示の頁に埋れたまま、なお黙々とせる四騎手はいずこにいるか。 貧、富、男、女、層々とした世紀の頁の上で、その前奏に於て号々し、その急速に於て驀激し、その伴奏に於てなお且つ奔闘し続ける、黙示の四騎士はこれ......
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  • タイトル: 頭ならびに腹
    著者: 横光利一
    出版社: ConTenDo
    概要:  真昼である。 特別急行列車は満員のまま全速力で馳けてゐた。 沿線の小駅は石のやうに黙殺された。  とにかく、かう云ふ現象の中で、その詰み込まれた列車の乗客中に一人の横着さうな子僧が混つてゐた。 彼はいかにも一人前の顔をして一席を占めると、手拭で鉢巻をし始めた。 それから、窓枠を...
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  • タイトル: 詩集『花電車』序
    著者: 横光利一
    出版社: ConTenDo
    概要:  今まで、私は詩集を読んでゐて、涙が流れたといふことはない。 しかし、稀らしい。 私はこの「花電車」を読みながら涙が頬を伝って流れて来た。 極暑の午後で、雨もなく微風もない。 ひいやりと流れて来たのはひと条の涙だけ――ああこれは、おれの涙かなと私は思ひ、詩人の貌をしばらく遠空に描いてゐ...
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  • タイトル: 夢もろもろ
    著者: 横光利一
    出版社: ConTenDo
    概要:     夢  私の父は死んだ。 二年になる。  それに、まだ私は父の夢を見たことがない。     良い夢  夢は夢らしくない夢がよい。 人生は夢らしくない。 それがよい。     性欲の夢  トルストイがゴルキーに君はどんな恐ろしい夢を見たかと...
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  • タイトル: 洋灯
    著者: 横光利一
    出版社: ConTenDo
    概要:  このごろ停電する夜の暗さをかこっている私に知人がランプを持って来てくれた。 高さ一尺あまりの小さな置きランプである。 私はそれを手にとって眺めていると、冷え凍っている私の胸の底から、ほとほとと音立てて燃えてくるものがあった。 久しくそれは聞いたこともなかったものだというよりも、もう二....
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  • タイトル: 能とは何か
    著者: 夢野久作
    出版社: ConTenDo
    概要:  二三年前の事、或る若いエスペランチストが私の処へ遊びに来ました序に、瑞西とかのエスペラントの雑誌へ「能」の事を投稿したいから、話してくれないかと頼みました。 ところが生憎、私は能というものを外国人に紹介する程の頭も学問も持合わせておりません。 東京で行われる一流の能さえもあまり見た......
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  • タイトル: 謡曲黒白談
    著者: 夢野久作
    出版社: ConTenDo
    概要:      謡曲嫌いの事  世の中には謡曲嫌いと称する人が大層多くて、到る処謡曲の攻撃を為て廻わって、甚だしきに到っては謡曲亡国論なぞを唱える人がある。 それ程でなくとも、謡曲が始まるとすぐにお尻をモジモジさせて、やがて妙な用事を思い出して御免を蒙る程度の人に到っては、浜の真砂... ...
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  • タイトル: 父杉山茂丸を語る
    著者: 夢野久作
    出版社: ConTenDo
    概要:  白ッポイ着物に青い博多織の帯を前下りに締めて紋付の羽織を着て、素足に駒下駄を穿いた父の姿が何よりも先に眼に浮かぶ。 その父は頭の毛をクシャクシャにして、黒い関羽鬚を渦巻かせていた。  筆者は幼少から病弱で、記憶力が強かったらしい。 満二歳の時に見た博多駅の開通式の光景を故老に話し....
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  • タイトル: 創作人物の名前について
    著者: 夢野久作
    出版社: ConTenDo
    概要:  これは探偵小説に限らない。 小説を書く人は誰でも経験するところであろう。  如何なる作家の場合でも小説の中の主人公や相手役、端役の人物が決定するのと、その人物の名前が決定するのは殆んど同時ではあるまいかと思う。  AともBとも名前をきめないで書いて行く事は、ちょっと不可能のよ....
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  • タイトル: 私の好きな読みもの
    著者: 夢野久作
    出版社: ConTenDo
    概要:  こんな事を書くと文学青年じみるが、事実文学青年の古手に相違ないのだから仕方がない。 しかも五十近くになって頭の天辺がコッ禿げて来ているのに恋愛小説なんかアホらしくって読む気になれない。 寝がけに読み初めた探偵小説に昂奮しちゃって翌る朝まで睡むらず、翌る日は終日胃が悪くなって砂を噛む......
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  • タイトル: 甲賀三郎氏に答う
    著者: 夢野久作
    出版社: ConTenDo
    概要:  ぷろふいる誌、九月号所載、甲賀三郎氏の「探偵小説講話」末尾に於て、特に私が文芸通信誌上に書いた「探偵小説の真使命」と称する一文のために「夢野久作君に問う」の一項を設けられたについて御回答申上る事を近頃の欣快とし且つ光栄とするところである。  ところが実を云うと私は「御回答申上... ...
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  • タイトル: 探偵小説の真使命
    著者: 夢野久作
    出版社: ConTenDo
    概要:  探偵小説が下火になって来た。 曾ての勃興当時、作者と読者とが熱狂して薪を投じ油を注いだ炬火は、今や冷めたい灰になりかかっている。  曾ての自然主義文芸がそうであったように……。  自由民権思想がそうであったように……。  人類の趣味傾向が、かくして遂にドン底を突いてしまっ...
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  • タイトル: スランプ
    著者: 夢野久作
    出版社: ConTenDo
    概要:  ――ぷろふいる社御中――  申訳ありません。 このあいだ御下命の原稿、一度、御猶予願っておきながら、まだ書けずにおります。 ひどいスランプに陥ってしまったのです。  いささか広告に類しますが、私はスランプに陥った経験がまだ一度もないのです。  九州日報社で編輯と外交の中ブラ...
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  • タイトル: 探偵小説の正体
    著者: 夢野久作
    出版社: ConTenDo
    概要:  探偵小説はジフテリヤの血清に似ている。 ジフテリヤの血清をジフテリヤ患者に注射するとステキに利く。 百発百中と云ってもいい位おそろしい効果を以て、ジフテリヤの病源体をヤッツケてしまうらしい。  それでいてジフテリヤの病源体はまだ発見されていない。 近代医学の威力を以てしても正体が...
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  • タイトル: 書けない探偵小説
    著者: 夢野久作
    出版社: ConTenDo
    概要:  素晴らしい探偵小説が書きたい。  ピカピカ光る太陽の下を傲華な流線スターがスウーと横切る。 その中に色眼鏡をかけて済まし返っているスゴイような丸髷美人の横顔が、ハッキリと網膜に焼付いたまま遠ざかる。 アトからガソリンの臭いと、たまらない屍臭とがゴッチャになってムウとするほど鼻を撲....
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  • タイトル: 路傍の木乃伊
    著者: 夢野久作
    出版社: ConTenDo
    概要:  私は遠からず路傍の木乃伊になってしまいそうな気がする。 口をポカンと開いた……眼の前の空間を凝視した……。  私は中学を卒業した切り上の学校に行かないが、その中学時代が小説の耽読時代であった。 漱石、蘆花、紅葉、馬琴、為永、大近松、世阿弥、デュマ、ポー、ホルムズ、一千一夜物語、イ....
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  • タイトル: 挿絵と闘った話
    著者: 夢野久作
    出版社: ConTenDo
    概要: 「犬神博士」は私が何等の自信もないままに、突然福日社から頼まれたものです。 むろん一度ならず、お断りしかけましたし、福日社も私の危虞を察して「それじゃ止そうか」と云われたものですが、旧知の青柳君がどこかで「挿絵は生れて初めてだが、夢野君のものなら扱ってみたい」と云った事を洩れ聞きま... ...
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  • タイトル: 涙香・ポー・それから
    著者: 夢野久作
    出版社: ConTenDo
    概要:  探偵小説作家なぞと呼ばれて返事を差出すのは、如何にも烏滸がましい気がして赤面します。 けれども元来が探偵小説好きなのですから、ソウ呼ばれますと何がなしに嬉しいことも事実です。  ところで私は今でも探偵小説の定義がわからずに困っているのです。 阿呆らしい話ですが、自分の書いているも....
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  • タイトル: 江戸川乱歩氏に対する私の感想
    著者: 夢野久作
    出版社: ConTenDo
    概要:  江戸川乱歩氏に「久作論」を頼んだから、私はそれに対する「乱歩論」を書けという註文が猟奇社から来ました。  私はとりあえずドキンとしましたが、あとから直ぐに「これは書けない」と思いました。  乱歩氏は私の未見の恩人の一人なのです。  乱歩氏はズット前に、私が生れて初めて書い....
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  • タイトル: ナンセンス
    著者: 夢野久作
    出版社: ConTenDo
    概要:  私には「探偵趣味」という意味がハッキリとわからない。 同時に「猟奇趣味」という言葉も甚だアイマイなように感じている。 しかもその癖に、そんな趣味の小説や絵画はナカナカ好きな方で、つまらないと思う作品にまでもツイ引きつけられて行く。 自分でも可笑しいと思っているが仕方がない。 ...
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  • タイトル: 所感
    著者: 夢野久作
    出版社: ConTenDo
    概要: 「アヤカシの鼓」当選後の所感を書けとのことですが、只今のところ私のあたまは諸大家の御評を拝してすっかりたたきつけられていまして、いくらか残っていた自画自讃みたような気もちまでもパンクしてしまったばかりのところなので、所感なぞいう気もちにはとてもなれません。 ですからここには只、私が... ...
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  • タイトル: みちの記
    著者: 森鴎外
    出版社: ConTenDo
    概要:  明治二十三年八月十七日、上野より一番汽車に乗りていず。 途にて一たび車を換うることありて、横川にて車はてぬ。 これより鉄道馬車雇いて、薄氷嶺にかかる。 その車は外を青「ペンキ」にて塗りたる木の箱にて、中に乗りし十二人の客は肩腰相触れて、膝は犬牙のように交錯す。 つくりつけの木の腰掛は...
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  • タイトル:
    著者: 森鴎外
    出版社: ConTenDo
    概要:  カントが発狂の階梯だと恐れた夢を自身に検究する事に再び着目したるは、新約克のジユリウス、ネルソン Julius Nelson です、既に記録した夢の数は四千あつて、短いのは一語で写され、長いのには百語を費す、ネルソンは夢を区別して晩夢、夜夢、朝夢の三としたり、晩夢は疲労の日に継... ...
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